キャンプスタイルの多様化に伴い、急増中なのが自分で買った山や借りた土地、支援者から募った資金でのキャンプ場の開設。小規模ながら、オーナーの独創性が光る唯一無二の存在となっている。ここではクラウドファンディングで資金を調達しただけでなく、人との結びつきも得たオーナーを紹介しよう。
クラファン支援の達成でスタートアップ!
静岡県
negura campground
住所:静岡県田方郡函南町平井1689-55
HP:https://linktr.ee/negura
営業:通年(日・月曜休)
予約:2か月前より*予約はオンラインのみ
テントサイト:約30
モデル料金(ソロ) 3,000円
坂道を登りきった先に広がる絶景に思わず感嘆の声が漏れる。富士山に沼津アルプス、駿河湾まで一望できる、絶好のロケーション。ここは、伊豆の入口に位置する函南町に、2021年12月にオープンした「negura campground」だ。
「1年かけてこの場所を探し当てました。毎日同じ場所に立ってみると、夕日の落ちる場所が日々変わることに気づく。都会で暮らしていたらこんな感動には出会えないんじゃないかな」
オーナーの渡部さんは、7年前に東京からここ函南町に移住したが、新幹線で都内に通いIT関係の仕事をしていた。
「もともと釣りやキャンプが好きで移住したんですけど、こっちで出会った友達は、デザインの仕事をやっていたり、木工で作品を作っていたりと自由業の人が多くて。自分も好きなことを仕事にしたい、と思いキャンプ場を作ることを決めました」
開拓中も含めたら、総面積は2.1ヘクタールと広大!
場所を探し当てたはいいが、当初の貯金は10万円。そこで、SNSを通してクラウドファンディングで資金を募ったところ、約1か月半で、1200万円の資金調達に成功(’21年9月)。しかも、集まったのはお金だけじゃなく、渡部さんの思いに共感した地域の人や技術者などの開拓仲間。すべての作業は極力DIYで、と公言していた渡部さんにとって、心強い味方だった。
「大学生から50代後半の人まで。職業も地元の園芸屋さんや大工さん、重機会社の人もいたりして。わからないことがあってTwitterで呟くと、みんなが答えてくれる。クラファンとTwitterがなければ、こんなに早く夢を実現できませんでしたね」
管理棟!? がキャンパーとの団欒場所
直火ピットを囲んで豪快な焚き火も
そんな夢のキャンプ場だが、完成度は40%。現在も週末になると有志が集い、開拓を続ける。
「僕はキャンプ場はロケーションが8割だと思っています。なので、ほぼすべてのサイトから富士山が見えるようにしたい。それでいて林間サイトには野趣を残し、トイレなどのインフラも高規格で快適に。今後は管理棟も建てたいですね」
キャンプでテントを立てることはいわば巣作り。その巣作りから連想される「寝ぐら」からこのキャンプ場の名は”negura campground”と名付けられた。
「neguraって、アウトドアの本質を表わす言葉のような気がして。これからも仲間と居心地の良いneguraを作っていきます」
どこでも直火OKの林間サイトもあり
施設&設備はみんなで手作り
このキャンプ場のこだわり3か条
1 自分だけでできると思わず迷わず周りに協力を仰ぐ
2 拡散力とシェア能力が強いTwitterがメインツール
3 景色、野趣、高規格のいいとこ取りがモットー
※この特集のモデル料金とは大人2名+子供2名で1泊する際の目安です。ただし、このページのように(ソロ)と表記があるものは大人1名1泊の料金です(ともに税込み)。
※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎
(BE-PAL 2023年3月号より)