味わいのある校舎で学んだ遠い日の思い出……。ウン十年前の郷愁に浸るBE-PAL編集部のおじさんトリオが、童心に帰るキャンプ場を見つけた。そこは廃校を活用した施設。懐かしくて楽しい体験をレポート!
レトロさは残しつつ、オシャレで快適に泊まれる設備が充実
栃木県
那須ユートピア 美野沢アートヴィレッジ
住所:栃木県那須町簑沢563-4 旧美野沢小学校
電話:0287(73)5333
営業:通年
予約:随時
テントサイト:13
モデル料金 7,700円〜
那須ユートピア スタッフ 後藤香織さん
明治時代に開校の歴史ある小学校
受付も兼ねているくつろぎスペース
児童数の減少から統廃合を余儀なくされる学校。青春時代を過ごした学び舎が消えるのはなんとも物悲しい。しかし、なかには新たに生まれ変わるケースもある。それが那須ユートピア美野沢アートヴィレッジだ。
「子供たちの声が聞こえなくなってとても寂しい感じがしていました。でも、またこうして人が集まるようになり嬉しいです」
と、話すのはスタッフの後藤香織さん。以前は保護者としてこの小学校にたびたび足を運んでいた。廃校直前の生徒数は全校生徒合わせて十数名。運動会ともなると、親兄弟、地域住民、ご近所が総出で競い合って、校庭を走り回ったのだとか。地域ぐるみで子供たちを見守っていた、そんな雰囲気がうかがえる。
「今も近所の方はグラウンドに遊びに来たりしています。先日は大先輩の卒業生(70代くらい?)がお見えになって校歌を歌ったり、帰省がてら宿泊利用されていました。地域との関わりは形を変えて続いています」
校庭はヘリポートとしても活用でき、小学校のとき同様に地域で重要な役割を果たしている。
かつての教室は客室に! ホテルのような個室も
2016年に閉校し、当初はホテルとしてリノベーションされるはずだった美野沢小学校。だがコロナ禍に突入し、アートやキャンプ、サウナを主軸とした訪れやすい施設として生まれ変わることになった。校舎内のトイレなどは改修されているが、建物は小学校時代の面影を残している。校庭での特別活動(キャンプやサウナ)はもちろんのこと、美術、体育といった学校授業さながらの遊びが楽しめる設備も。屋内外に遊び場があるので、雨天時にも強い。ファミリーやグループで過ごすには絶好の遊び場といえるだろう。
我らがビーパル編集部員たちもアートに心打たれ、バスケですっかり童心に帰り、サウナで日頃の澱を洗い流す。きっと思い出したことだろう、純粋無垢な少年だったあの日のことを。
那須ユートピアがある那須町は、栃木県内の北側に位置しており、車で10分も走れば福島県という立地。周辺には民家が点在する田園風景でとても静か。周囲に街灯はほとんどないので夜は星が綺麗に見える。新たな息吹がもたらされた学び舎は、人びとが集う地域の支柱としての存在感がある。忘れていた遠い記憶がふっと蘇ってくる。そんなユートピアだった。
サウナや五右衛門風呂など癒やしのヴィラも充実!
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国内外のアーティストの作品が各教室で競演
広~い体育館で童心に帰れる!
次世代キャンプ場のこだわり3か条
1 地域や地元住民との関わりを大切にする
2 大人も子供も気軽に集える
3 らしさはそのまま生かし、新しいモノも積極的に導入
※構成/須藤ナオミ 撮影/田渕睦深
(BE-PAL 2023年3月号より)