おいしいBBQに、なくてはならない炭。材料と時間さえあれば簡単に手作りすることができる。余った薪や庭木の剪定で出た木材などを活用して作ってみよう。
炭のDIYは意外と簡単だった!
「キャンプで余った薪。次にまた使えばいいけれど、木炭にできたりしたらいいかもな〜」
そんなお悩みで始まった今企画。日常的な火としては主力ではなくなった炭だが、キャンプ料理には欠かせない存在だ。
「時間はかかるけれど、手順としてはとっても簡単ですよ!」
と、天からの声ならぬアウトドアの駆け込み寺、長谷部雅一さんが炭作りについて教えてくれた。ポイントは酸素が少ない状態で材料に火を入れること。あとは炭化するまでの数時間、ただただ火を燃やし続けるだけ。
「湿度や材料の水分量によっても炭化する時間が変わってきます。市販の薪でも11%ほどの水分がありますから、じっくり火を焚いて過ごしてください」
今回は余った薪のストックに加えて、枝打ちで不要になった木材や庭の手入れの際に出た竹(マダケ)などをご近所でいただき、さらに道で拾った松ぼっくりを炭にしてみることにした。自宅に庭がなくても辺りを見回すと、処分に困っているものが意外とあったりする。ゴミとして捨てられそうなものを活用できるのはなんだか気持ちがいい。
さて、いよいよ炭作り。一斗缶に木と竹を半々、クッキー缶に松ぼっくりを入れて作ってみる。燃やすための薪は、量にして3束ほどを準備した。焚き火台におき火を作り、缶をのせる。あとは火が消えないよう時々薪をくべる。しばらくして、フタの穴から煙が立ち昇ってきた。
「ガスが抜け始めましたね。フタの穴に火がポッと灯ってしまうことがありますが、棒などで押さえてやればすぐ消えるから大丈夫です。酸素が十分にあると燃えてしまいますから、むやみにフタは開けないように」
物質の燃焼には酸素が必要……ハイ、理科の授業で習いました。火を見守り続けること約3時間、缶を持ち上げると少し軽くなっている。炭化が進んでいる証拠だ。煙が出なくなったら火から下ろして冷ます。冷ましている間もフタははずさずに缶内酸素不足状態を保つ。気温10度C前後のこの日、1時間ほど放置すると素手で缶に触れられる状態になった。フタを開けると、真っ黒な炭がコンニチハ。完成だ。
キャンプしながら炭を作り、その炭でおいしい肉を焼く、そんなこともできるかもしれない。
炭ってそもそもナニ?
消臭、浄水……便利な炭ライフ
炭作りの重要ポイント
1 材料を炭化させる際には、酸素が不足気味の状態を作る。
2 燃やし(熱を与え)続けて、じっくり炭化を促すこと。
3 材料が炭化し火から下ろしても冷めるまで酸素不足気味を維持!
炭を作ってみよう!
材料
フタ付きの空き缶……中に入れる材料の長さや量に合わせる。
炭にするもの……竹や枝木や松ぼっくりなど。
薪……炭を焼くための薪は多めに準備。キャンプ場などで売られているものであれば3束ほど。
準備する道具
焚き火台、のこぎり・鉈、ナイフ、缶に穴を開ける道具(ニードルなど)、ライター。
手順1 空き缶のサイズに合わせて材料を切る。
缶の中に隙間を作らないよう長さを合わせて切る。竹は割り、節を取ると重ねやすくなる。
手順2 缶に材料を隙間なく詰める。
炭化すると材料は小さくなり、徐々に隙間ができる。火入れの前はぎちぎちに。
POINT
ひっくり返しても落ちてこないくらいにびっしりと詰める! 曲がった枝だと隙間ができやすいので、なるべく真っすぐなものを。
手順3 フタに穴を開ける。
ガスが抜ける穴を複数確保。穴が少ないとフタが煙で持ち上がるので注意。
手順4 缶を火にくべる。
底と側面から火がまわるように。途中仕上がり具合を確認してもいいがフタはすぐ閉める。
POINT
しばらくすると穴から煙が出てくる。ガスが抜けて炭化している証拠だ!
3時間経過……
途中缶を持ち上げてみると重さの変化(軽くなる)で炭化の進み具合がわかる。
手順5 火から下ろして冷ます。フタはしたまま!
穴から煙が出なくなり、缶の重量が軽くなったら火から下ろす。自然に熱が冷めるのを待つ。
完成!
見事炭化成功、真っ黒に! 完全に冷めるまでは炭はパチッパチッと心地よい音を立てる。
火付けに便利なチャークロスを作る
木炭と同じ要領で着火剤も自作してみよう。材料は必ず綿100%。化繊繊維が混紡していないものを使用する。
材料と道具
飴などの小さい缶、帆布の端布、ガスストーブ、はさみ。
手順1 缶の大きさに合わせて帆布を切り、詰める。
小さめの缶はフタ付きのコーヒー缶やハンドクリーム缶などでも手に入りやすく使える。
手順2 缶に穴を開けて、火にかける。
小さい缶の場合は火の調整がしやすいガスストーブで。約20分燃焼。徐々に煙が出なくなり完成した。
教えてくれた人
アウトドアプロデューサー
長谷部雅一さん
※構成/須藤ナオミ 撮影/小倉雄一郎 イラスト/近常奈央 協力/PICAさがみ湖 https://www.pica-resort.jp/sagamiko/
(BE-PAL 2023年3月号より)