春ですね。
ポカポカ陽気に誘われて、週末に家族で熊本市西区河内町にある「アウトドアフィールドのんねむ」に行ってきました。
私が暮らす福岡県福岡市内からは1時間半、熊本県熊本市の市街地からは30分(いずれもクルマでの所要時間目安)。はじめはちょっと足をのばして出かけようくらいの気分でしたが、現地に到着してみてビックリ。まるで異国にタイムスリップしてきたかのような、非日常空間がそこにはありました。
おとぎ話に出てくるお菓子でつくられたような可愛らしい家、目の前に広がる海、ハンモックに大きなトランポリン、小鳥たちのさえずり。絵本の世界観を目指して、今も進化の途中にある「アウトドアフィールドのんねむ」での一日をご紹介します。
名もなき土地に作られた「絵本の世界」
「アウトドアフィールドのんねむ」は、おとぎ話や絵本の世界をイメージした宿場施設やデイキャンプの利用を提供している場所です。ピンクや黄色のカラフルな色使い、丸くて角のないぽってりとした形、メルヘンな装飾が可愛らしい家に加え、ミカンの段々畑、有明海や雲仙普賢岳、玉名市街地を一望できる絶好のロケーションが魅力のスポットです。
〝のんねむ″という名前の由来は、「no name(ノーネーム)」=〝名もなき土地″からきています。
オーナーの小堺康司さんの本業である、独自デザインのモノづくり技術と、年中夕日の見える立地を生かして、2017年より本格的に制作がスタートしました。翌年夏には第一号として絵本のおうち「ククの家」が完成。2019年には最大10名が宿泊可能な「ノームハウス」も完成しました。現在、3棟目、4棟目の制作を行っており、敷地内でその制作過程を目にすることができます。
アトリエを夢見て出会ったアースバック工法
「アウトドアフィールドのんねむ」は、オーナーの小堺康司さんやパートナーの大山さん、同施設が主催しているモノづくりのワークショップの参加者によって作られています。
幼い頃から絵を描くことが好きだった小堺さんは、自分が書いた絵で人が喜んでくれること、感動してもらえたときに、これで生きていきたいと考えられたそうです。理想とする絵が描けずに、自問自答する日々が続く中で、〝絵を描く場所と自分自身の生き方″という課題を見つけた小堺さんは、自分の理想とする環境、場所を求める中で、最高のアトリエを作ろうとモノづくりの道に入っていきました。
2011年、神奈川県出身の小堺さんは、熊本の自然豊かな環境や〝エコビレッジ″というコンセプトに惚れ込み、熊本県の「三角エコビレッジ サイハテ」に移住します。そこで出会ったのが、自由なフォルムで作れるアースバック工法でした。
絵を描くように自由に空間を描くことができ、且つ、恒久性が期待できる素材で造るため、自分が死んでも何十年何百年と造ったものが残っていく可能性があることに衝撃を受けた小堺さん。以来、アースバッグ工法に夢中になり、10年間愚直に取り組んでこられました。言葉で伝えなくとも空間から自分の想いを感じてもらうことができる。そしてそれを見て感動してくれる人がいることが、小堺さんにとって大きなやり甲斐であり、生き甲斐ともなっているそうです。
そして、自分が好きな空間を一から作るために理想の場所を探していたところ、友人から「景色の良い場所がある」とこの地に連れてきてもらい、一目惚れ。「アウトドアフィールドのんねむ」の開拓が始まったそうです。
曲線構造が生み出すデザイン性と強さをもつ土の家
アースバッグ工法とは、アメリカのカリフォルニア州で生まれた建築工法です。
土を主材として、消石灰や砂などを混合した素材を詰めた土のうを積み上げて構造を造っていく工法です。土はどんな形にもできることから、角の無い、ナチュラルな形状で壁を造ることができ、絵本のような建屋が生まれました。
また、「混合土を袋に入れて叩き、積み上げる」というシンプルなテクニックで、道具もシンプルなため、誰もがものづくりに参加できるのも特徴。丸いフォルムは風を受け流し、土は不燃材、壁は30cm以上あり、さらに構造と壁屋根が一体化した重い建物なので、耐震耐火耐久性にも優れています。また、夏は涼しくて冬は暖かいのも大きな魅力です。
発祥の地、アメリカ式のアースバッグ工法は、セメントを凝固剤として主に使用しています。「アウトドアフィールドのんねむ」では、できるだけコンクリートやプラスチックを使わず、地産の素材を活かした家造りを目指しています。長い年月をかけて編み出した日本式アースバック工法により、元からこの場所にあった土や石を使った家造りを実現しています。
「ククの家」で過ごした夢のようなひととき
現在、「アウトドアフィールドのんねむ」には、宿泊可能な家が2棟あります。
今回私たちは、「ククの家」に泊まりました。
初めて目にしたとき、とても大きなアートに見えました。扉や窓、外観、内観、細かなところまで施された装飾が美しくて、ずっと眺めていたい気持ちになります。7歳の娘は大喜びでしたが、絵本でしか見たことのないような世界観に、大人も心が躍ります。
子どもがいるファミリーにも嬉しい、充実した環境
「アウトドアフィールドのんねむ」では絶好のロケーションを離れることなく、一日をゆっくりと、贅沢に過ごせます。トランポリンやブランコ、ヤギの家も近くにあるので、7歳の娘は一人で遊びに行っていました。「ママー」と呼べば声が届く距離感です。以下、主な特徴を箇条書きで記します。
- 家の横に車を停める事ができる
- 焚火・BBQスペース、キッチン、食事スペース、宿(トイレ・シャワー)が家の中、家の前のスペースで完結できる
- 水回りが充実している(玄関外のキッチンスペースや洗面所、リビングにも水回りがある)
- 冷蔵庫(冷凍有)、包丁、まな板、箸、食器、ザル、ボウル、皮剥き機と基本の調理セットがある(ガスや鍋はないので、必要な場合は持参しましょう)
- BBQグリルの貸出や、ジビエ肉を焚火で味わえるBBQプランもある
- 湯船に浸かりたい際には、温泉施設まで車で5分
- wifiが使えます
- トランポリン、ブランコがある(子どもも大人も楽しいです!)
- ヤギがいる(娘は木の葉や生えている草を摘んで、朝夕、ヤギさんにエサやりをしていました)
当初の予定ではクルマで5分の温泉施設に行く予定でしたが、夕日があまりにキレイで、その場から動けなくなりました。そうこうしているうちに、今度は月や星が出てきて、またまた動けなくなりました。結局、「ククの家」のシャワーでお風呂を済ませることに。
わが家の食事は、持参した「タフまるくん」とメスティンでお米を炊いて、レトルトの味噌汁を入れて、焚火でお肉を焼いて食べました。景色がが美しくて、美味しくて、外で食べるシンプルなごはんが最高でした。
「おとぎの国」を目指して、進化の途中
アウトドアフィールドのんねむ
住所:熊本県熊本市西区河内町白浜1407-1
宿泊棟 :2棟、デイキャンプ(日帰りBBQ)
※利用・見学ともに要事前予約
お問い合わせ先:nonnemoon@gmail.com
HP:https://www.nonnem.com/