リノベからケーキ屋さんまで。限界集落に人が集まる「まめなプロジェクト」の中身とは?
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  • 田舎暮らし・移住

    2023.03.18

    リノベからケーキ屋さんまで。限界集落に人が集まる「まめなプロジェクト」の中身とは?

    「まめにしてる?(※)」元気?調子どう?といった意味で親しみをこめて使われる方言のひとつです。この方言を団体名にしているのが、広島県大崎下島(おおさきしもじま)の久比(くび)を拠点に活動している一般社団法人まめなです。地元住人や移住者をつぎつぎに巻き込んだまめなの活動は年々勢いを増し、限界集落といわれる久比(くび)界隈を盛りあげているといいます。まめなが繰り広げるプロジェクトはまるで、ドキドキワクワクが詰まったお菓子箱のよう。さて、あなたはどのプロジェクトが気になりますか?
    (※まめに/広島県、山口県、富山県などで使われ、意味は地域ごとに諸説あり)

    一般社団法人まめなとは?

    広島県大崎下島にある人口430人ほどの小さな集落・久比(くび)。柑橘類の栽培が盛んで、いまなお美しい原風景が残る地域です。この地を拠点にする一般社団法人まめな。
    多世代による相互扶助コミュニティの創出、未来のライフスタイルの探求と実践の場を創出を目指す、地域創生のプラットホーム的な役割、活動をする団体です。
    「くらしを、自分たちの手に取り戻す」を合言葉に、久比で暮らす地元住民をはじめ、近隣市町村で暮らす人びと、東京や名古屋からの移住者と一緒に、多くのプロジェクトを生み出しています。

    美しい景色が広がる集落・久比。高齢化率は70%を超えるが、70代、80代の住民は畑仕事をしながら活気ある暮らしをしているという。

    「まめな」を始めたのは、久比出身で代表理事、会長の梶岡秀さん(中央)、東京生まれ、代表理事プロデューサーの更科安春さん(左)、広島県呉市出身、代表理事、醸し人(蔵人)の三宅紘一郎さん(右)の3人。それぞれ運命的な出会いや想いが重なり、まめなが誕生しました。現在は理事10名、メンバー10名。東京、横浜、名古屋など、全国から久比の魅力、瀬戸内に気づいた人びとが集まります。

    左から代表理事・プロデューサーの更科安春さん、会長の梶岡秀さん(中央)、代表理事・醸し人(蔵人)の三宅紘一郎さん。

    リノベからケーキ屋さんまで“まめなプロジェクト”のアイデア紹介!

    なぜ限界集落といわれた久比に全国から人が集まるのか? その秘密は、まめなに関わる人びとによる“まめなプロジェクト”があるからこそ。もちろん、そのプロジェクトを生み出すにあたり、久比には最高の環境がある、と言います。

    「最高の財産は、生涯現役で働くことができる環境と穏やかになる時の流れがあること」、と更科さんは言います(まめなマガジンvol.2から引用)。
    人が人を呼ぶ。まさにまめなはその代表的な団体といってもいいかもしれません。

    これまで誕生したプロジェクトは大小さまざま約30を超えます。例えば、島の子どもたちと大学生が一緒につくる新しい学びの形ーいわゆる島の寺子屋をつくった「小さい島から、大きい世界を知る」プロジェクト。

    「まめな手形」と題し、金銭ではない、ありがとうを表す感謝の証を交換しあうプロジェクトも。使い方は、畑の野菜をもらったり、作業の手伝いをしていただいたときに、ありがとうの気持ちとともにまめな手形を渡すのだそう。お金だけではない、人のつながりで得られるあたたかさや価値を繋げていきたいと考えているといいます。

    まめな食堂内で使われる「まめな手形」。気の温もり、形、字体までかわいらしく温かい気持ちになれそうだ(まめな手形の食堂での試験運用は現在終了し、今後の形を検討中)。

    また、「リノベーション」プロジェクトでは、医院として使われていた病棟を宿泊所に、さらに、集落内の古民家を図書館にするなど、これまで12のリノベーションプロジェクトを成し遂げています。現在は、mamena commons(マメナコモンズ)として、リノベーションした宿泊施設での宿泊が可能になっています。

    「リノベーション」プロジェクトの様子。滞在をご検討の方はぜひ実際に足を運んでまめなの空気感を体感してみてほしい。

    ▶︎宿泊施設の予約はこちら → https://mamena-reserve.jp

    開業準備真っ最中!集落初のケーキ屋を目指して
    「クリスマスケーキは車で30分かけてコンビニ”だった」

    最後にご紹介するのは、いままさに開業準備真っ最中!若きパティシエによる“まめなプロジェクト”のひとつ。発起人は、まめな所属、広島県出身の佐々木正旭(ささき まさあき)さん。
    知人を訪ねて久比を訪れた際に、規格外となってしまった柑橘たちが破棄されていることを知った佐々木さん。皮に少し傷がついてしまった柑橘が安く買い取られ、毎年約1000トンを超える柑橘が廃棄されるという現実、さらに「いままでクリスマスケーキは車で30分かけて本土へ行き、コンビニで買っていた」という住民の言葉をきっかけに、ケーキ店を開業しようと思ったそうです。

    発起人・佐々木正旭さん。幼少期、家族で土鍋プリンをつくった楽しい思い出が忘れられず、高校時代はケーキ屋さんで製造のアルバイト、そして製菓の道へ。辻製菓専門学校卒業、2020年から久比でパティシエとして活動中。

    天塩にかけて育てられた柑橘をただ捨てるのではなく、規格外や傷がついてしまっても適正な価格で購入し、商品として加工していけば美味しいスイーツにできる! そんな想いを大切にしている佐々木さんがつくるケーキは、柑橘がもつポテンシャルを最大限活かせるよう、脂肪分と甘みのバランスにこだわってつくっているんだそうです。さらに佐々木さんは働き方にもしっかりと向き合っていきたいと話します。

    「大好きなパティシエという仕事から一時期離れたことがあるんです。長時間労働し過ぎたためです。仕込み、加工、仕上げ…パティシエの仕事は体力勝負なところもあります。これからはこれまでの負の働き方の循環を断ち切って、週休二日を目指したいと思っているんです。良い働き方の循環もできるようなお店づくりもしていきたいですね」

    佐々木さんは、2022年にSunny-side UP合同会社を設立、2023年春ごろの開業を目指し、精力的に活動しています。

    ▶︎クラファン挑戦中!
    リターンは、島でしか食べられない甘夏のパウンドケーキ、 柑橘のボンボンショコラなど。そのほか収穫からお菓子づくりできる体験教室も
    https://motion-gallery.net/projects/Sunny-sidup

    ▶︎インスタで近況報告中!
    https://www.instagram.com/sunny_side_up_sweets/

    自分の人生、自分のものになっていますか?

    まめな代表理事のひとり、プロデューサーの更科安春さんから印象的な言葉を聞くことができました。

    「これからの時代、社会貢献よりも、自分たちが儲けた利益で自分たちが暮らす社会をまわしていく体力が必要なんです。体力とは、お金や人の力、アイデアといったところでしょうか。まめなの課題は自立すること。人もモノも資源も、まずは地域で循環させていくことが必要なんです」

    つぎつぎに自分の人生を切り開き、有言実行していくまめなな人びと。これからもどんどん進化し、プロジェクトを生み出し、自分たちが送りたい人生を循環させていくことでしょう。

    ただやはり、実現させることの難しさ、行動することの難しさ、素直に生きられないのがこの世の中、そして人間…。誰かに少しだけ背中を押してほしい人、新たな挑戦をしたい人、自由な働き方を実践したい人、自らの役割を探求したい人は、いますぐ久比にでかけてみてはいかがでしょうか。

    こちらもおすすめ!
    ▶︎オリジナル冊子「まめなマガジン」も要チェック!
    https://mamena.or.jp/MAMENA%20MAGAZINE

    ライタープロフィール
    澤井理恵。北海道北斗市出身のビデオグラファー&ライター&編集者。立命館大学卒業後、東京キー局ポスプロ(テレビ局)→新聞社→地方ケーブルテレビなど、マスコミ業界を練り歩く。2015年から富士見町のシェアオフィス「富士見 森のオフィス」を拠点に活動中。

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