今注目される「自然農」って何? 無農薬・無施肥・不耕起でも作物は育つ!
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    2023.06.01

    今注目される「自然農」って何? 無農薬・無施肥・不耕起でも作物は育つ!

    <img src= “/img.png”  alt=”巨大カボチャ”  />

    直径約30センチの、フランス種カボチャ・Rouge Vif d’Etamps( ルージュヴィフデタンプ)。

    「え?肥料も農薬も無し、耕さなくてもいいの?」

    そんな驚きとともに知った、無農薬・無施肥・不耕起の農法。“自然農”と称されるこの農法は、今でこそ認知も進んできましたが、私が東京でフルタイムで仕事をしながら畑を始めた2009年当時は、ごく限られた人のみ知る農法でした。

    しかし近年、コロナ禍による健康志向の高まりや、エネルギーと食料価格の高騰などを背景に、「農薬や肥料を使わず耕さない」という自然農は、注目されてきています。加えて、コロナ禍による在宅ワークの発達により、地方移住も身近なものになりました。自然農は、地方移住の際の一つの選択肢となっています。

    今回は、東京から移住して15年ほど無農薬・無施肥・不耕起栽培を続けている筆者が、自然農の魅力について、実体験の紹介を交えながら解説します。

    無農薬・無施肥・不耕起の自然農法とは?

    農業における農法は大まかに、慣行農法・有機農法・自然農法の3つに分類されます。

    今回紹介する、無農薬・無施肥・不耕起の農法は、そのうちの自然農法に分類されます。

    慣行農法

    現代、最もポピュラーなのは慣行農法です。田畑を耕し、化学肥料や農薬を使用して作物を栽培します。

    日本では特に1950~60年代以降、高度経済成長による都市部への労働人口移動と農業の兼業化にともない普及しました。質・量ともに安定して生産される農作物を、効率良く流通することを目標とされて発展した農法です。

    有機農法

    化学的な肥料・農薬を使わないのが、有機農法です。

    自然由来ですが自家製だけでなく、大量生産された有機肥料や土質改良剤は使います。収量や品質は、比較的安定しています。

    自然農法

    自然農法は、効率良く食料を大量生産することを求めるのではなく、できるだけ手を加えず、自然の摂理をなるべく妨げず、環境全体のバランスの良い循環を目指す農法です。自然農法にはいくつか流派があり、それぞれやり方は少しずつ異なります。

    無農薬で肥料を全く使わない方法や、天然由来の肥料を少量使用する方法、そして土を耕す場合と耕さない場合などがあります。自然農法の中で、肥料や農薬を全く使わず、土も耕さない農法が「無農薬・無施肥・不耕起」となります。

    筆者は、野菜や豆の栽培時には土を耕しません。そのため基本的には無農薬・無施肥・不耕起で栽培していますが、作物によっては無農薬の肥料を少量用いることもあります。例えば、地力の必要な玉ねぎには無農薬の米ぬかを、アルカリ性の土質を好むほうれん草には、庭のロケットストーブで小枝を燃やした灰を使う、などです。

    こう書くと、自然農法って簡単なの?と想像する方も多いと思います。しかし、もちろん簡単ではありません。

    不耕起での栽培だと、耕せば本来除去される雑草が残っている上に、除草剤無しのため、すぐに草がぼうぼうになってしまいます。また無農薬なので、虫が増えるスピードの方が虫を取るスピードよりも早ければ、作物は全滅してしまうこともあります。このように一筋縄ではいかないのが、自然農法の現実と言えるでしょう。

    なぜ無農薬・無施肥・不耕起で育つのか

    そんな一筋縄ではいかない無農薬・無施肥・不耕起でなぜちゃんと作物が育つのかと言えば、作物は「生きている」からです。

    筆者の場合、土づくりに関しては、

    • 畑や田んぼに生える雑草を刈ってはその場に積んで堆肥にする
    • 無農薬だからこそやってくる虫や動物の糞や死骸も養分とする

    などの工夫を行っています。

    他にも、固く痩せた土質の畑で不耕起栽培を始めるならば、まず小麦を植え、細かい根を張らせて土を柔らかくする。そして、翌年は必要な養分を土中に固定してくれる大豆を植えて土を肥やす。3年目に初めて野菜類を育てる。

    などのように、時間をかけて作物が育ちやすいバランスの良い土を作る工夫を行うことで無農薬・無施肥・不耕起が可能になるのです。

    慣行農法や有機農法のような、即効性のある方法ではありませんが、人体や環境への負荷は圧倒的に少ないというメリットが無農薬・無施肥・不耕起にはあります。

    一方で、草刈りや虫取りの手間は大変なものです。手間が多くかかっても、収穫が不安定な点は大きなデメリットとして挙げられるでしょう。

    自然農で育てた作物を紹介

    ここからは、筆者が実際に自然農で育てた作物を紹介するとともに、自然農の魅力をお伝えしていきます。

    カボチャ

    <img src=”example.png” alt=”カボチャ”  />

    種まきした覚えも無いのに、いつの間にか実ったカボチャ。

    こちらは、畑の隅の堆肥置き場から自然に生えて実ったカボチャです。

    近所の農家でもらった、フランスカボチャの「Rouge Vif d’Etamps(ルージュ ヴィフ エタンプ)」という品種の種が含まれたワタを堆肥に積んでおいたため、分解される前にいつの間にか発芽して実ってくれました。こちらは、完全に放置で水やりもしていませんでした。

    農薬も肥料も与えず土を耕さなくても、水・虫や微生物・土・太陽などのバランスが整い、種がそこに根付けば実りは恵みとしてもたらされることがわかる良い例ですね。

    大根

    <img src=”example.png” alt=”大根”  />

    大根2種。最も作り易い野菜の一つです。

    初心者でも作り易いのは豆類とレタス類、ミニトマトなどです。

    逆に農家さんも苦労するのが、虫の付きやすいアブラナ科の野菜。キャベツ、ブロッコリー、白菜や小松菜など、菜の花が咲く野菜です。

    アブラナ科でも、大根は比較的簡単に栽培できますが、芽が出た後にダイコンハムシという虫がついてしまうとアッという間に全滅してしまうので注意が必要です。筆者も大根がうまく育たなかった時期がありましたが、虫よけに月桂樹の葉や枝が効くと聞き、試したところうまく育つようになりました。

    <img src=”example.png” alt=”春の収穫” />

    春の収穫。私の畑では、例年レタス類、ホウレンソウ、小松菜、菜の花、ニンジン、大根が採れます。

    野菜の他、米も無農薬無施肥で作っています。筆者は苗を育て、耕運して田植えをする、日本の伝統的な方法を教わりました。自然農法ではそれ以外にも、米の種である「種籾(たねもみ)」を直接田んぼに蒔いたり、不耕起で田植えをしたりするやり方などがあります。

    <img src=”example.png” alt=”足踏み脱穀機”

    高齢の農家さんから譲っていただいた足踏み脱穀機。できるだけ石油エネルギーには頼らないことにしています。

    米を大量に生産するには、トラクターや田植え機、コンバイン、脱穀機や収穫後の乾燥機、1年分の収穫物を保存する保冷庫など、様々な農機具が必要です。費用は大変高額で、移住などの新規就農では稲作をあきらめるケースが、実はとても多いのです。

    そこで筆者は、小規模になるべく人力で、農家の仲間と共同栽培をすることで稲作を実現しています。例えば上の写真のような、筆者自前の道具は、エンジン機器が導入される以前の人力機関ばかり。いずれも高齢の農家さんからの放出品です。かつてはこうした人力の道具が主流だったのですから、自家消費分くらいならばこれで十分なのです。

    <img src=”example.png” alt=”唐箕”

    近所の納屋の取り壊しで放出され、譲っていただいた唐箕(とうみ)。稲だけでなく、豆類の脱穀にも大活躍です。

    移住で得た自然農の選択肢

    以上、移住して15年、自然農を続ける筆者が育てた作物を紹介しました。

    ちなみに、移住に興味があれば、まずはその土地に行ってみてどう感じるか試してみることをおすすめします。

    今は短期のお試し住宅など、各地方の移住支援も充実しています。試しに動いてみれば移住の他にも、二拠点やワーケーションなど、自分に合ったスタイルが見えてくると思います。

    移住先では、都会には無い習慣に戸惑うこともあるかもしれません。それでも、都会では感じられない空気感や、夜空の美しさ、土に囲まれて深く息をできる暮らしは、とても気持ちの良いものですよ!

    私が書きました!
    ライター
    Morille (モリーユ)
    食とエネルギー自給の試みがライフワークのライター&フランス語通訳案内士。2009年より続けている自給菜園は、一貫して無農薬無施肥不耕起の、自然農。2度の移住と出産を経て、現在は近畿の田舎に在住。セルフビルドを夢見つつ、仲間とともに、米・大豆栽培の活動中。

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