株式会社ユーグレナは、宇宙のような特殊で閉鎖的な環境下でも発育・栽培できる可能性を秘めた食材を活用した即席カップ麺「2040年サステナブルラーメン」を開発。味や内容についてたくさんの方から意見をいただきたいと、試作品を返礼品としたクラウドファンディングを募集している。
地産地消の宇宙食である「宇宙食3.0」への挑戦
民間人の宇宙旅行が話題になるなど、宇宙はより身近になりつつある。ポストSDGsでは、課題解決やテクノロジーの進化が地球規模から宇宙規模へと広がり、2040年には宇宙での長期滞在が具現化されると考えられているそうだ。「アウトドアで宇宙へ」という日も、そう遠くはないかもしれない。
宇宙での長期滞在において課題となるのが、食糧自給だという。地上で調理したものを宇宙空間に持っていく段階である「宇宙食1.0」が進められているが、宇宙食の段階的発展において、地上の食材を宇宙空間で調理する段階の「宇宙食2.0」への進化、そしてその先の目標として宇宙空間での地産地消を達成する「宇宙食3.0」が必要と考えられている。
この「宇宙食3.0」に貢献する食材として注目されているのが、微細藻類である石垣島ユーグレナ(以下、ユーグレナ)だ。ユーグレナは豊富な栄養素を含有する点に加え、他の動物や植物と比べて単位面積当たりの生産性が高く、閉鎖的空間になり得る宇宙での栽培にも適しているという。
また、微細藻類オーランチオキトリウムも注目食材のひとつ。細胞重量の20%近くがDHAで占められるなど、宇宙空間において不足する魚類含有の必須脂肪酸を効率的に供給できるため、宇宙食素材として活用できる可能性が期待されている。
これらの食材を活用して開発されたのが「2040年サステナブルラーメン」だ。栄養補給に留まらず、「美味しさ」と宇宙での地産地消を追求しているという。
「2040年サステナブルラーメン」とは
「2040年サステナブルラーメン」とは、一体どのようなものか詳しく見てみよう。
スープ
特徴:動物性原料不使用で、栄養豊富なスープを飲み干せるよう減塩にこだわったレシピ
・宇宙空間における培養の研究も進められている直径5-20μm程度と非常に小さな藻の一種
・細胞重量の20%近くが魚の油に多く含まれるDHAで、必須脂肪酸を効率的に供給できるのが特徴
・オーランチオキトリウムの魚介系風味を生かした醤油ベースのスープ
麺
特徴:カムット小麦由来のコシに、酵素技術でモチモチとした食感を加えた食べ応えのある麺を実現
・約6000年前に栽培されていたデュラム小麦の原種で、現代の小麦の2倍の大きさ
・生命力が強く、化学肥料や農薬に頼らなくても高品質な生産が可能
チャーシュー
特徴:牛肉のうま味・風味成分を解析し、その味を再現する技術を活用することにより、本物の肉と比べてそん色ない美味しさの完全植物性肉を実現
・代替肉の分野で事業活動を行う日本のスタートアップであるネクストミーツ株式会社の代替肉に、宇宙でも培養可能な微細藻類ユーグレナを加え乾燥させた特別品
野菜
特徴:スープに入れると柔らかくなり、シャキシャキとした食感に。味は小松菜のようなほんのり甘い味わい
・南アメリカや地中海、中東地方などで主に栽培されているウチワサボテンの茎を使用
・暑さや乾燥などの環境に対する耐性が注目され、砂漠化や土壌侵食の防止に利用されているだけでなく、緑黄色野菜と果物の両方の栄養素を含んだスーパーフードとしても注目されている
「2040年サステナブルラーメン」のクラウドファンディングは2023年5月15日(月)まで実施予定。返礼品は5月頃から順次送付される予定で、「2040年サステナブルラーメン」やオンライン試食会参加券、ユーグレナ社 鈴木健吾氏によるオンライン講演参加券などが用意されている。