軽量なバックパックやテントに使用されている、上の写真のような薄い半透明の素材。目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
この素材は「DCF」といいます。
数年前は知る人ぞ知る素材でしたが、近年はアウトドアギアの素材として見かけることが多くなりました。
今回は、DCFという素材の特徴や、筆者が愛用しているDCFを用いたギアを紹介します。DCFを知ることは、より快適なアウトドアライフを過ごすきっかけとなるはずです!
DCFの特徴とは?
そもそもDCFとはどんな素材なのでしょうか。
最大の特徴は強度と軽さ
DCFはDyneema(R) Composite Fabric (ダイニーマ・コンポジット・ファブリック)の略称で、「ダイニーマが含まれている生地」といった意味を持ちます。「キューベン・ファイバー」という別名もあります。
“ダイニーマ”とはポリエチレンの一種で、同重量の鉄の15倍ものひっぱり強度を持つとも言われる強靭な素材です。
そんなダイニーマを用いて作られたDCFは、強度はもちろんのこと、軽さも備えているのが最大の特徴。
DCFはその強度と軽さを活かして、スタッフバッグなどの小物から、バックパック、テントやタープといった大物ギアに至るまで、さまざま使用されています。
そのため、DCFは荷物の軽量化を図りたいウルトラライトハイカーや、できるだけシンプルな荷物でキャンプを楽しみたいミニマルキャンパーの間で非常に人気があります。
独特の質感と優れた防水性
DCFの表面は、樹脂などのフィルムでラミネート加工されており、独特の光沢があります。触るとガサガサとしていて、例えると和紙のようです。
さまざまな厚さの生地がありますが、中には後ろが透けて見えるほど薄いものもあります。
筆者はDCFを初めて目にしたとき、「まるでSF映画の登場人物が着ている服の素材みたいだ」と感じました。
近未来的な印象をも受ける、インパクトのある素材です。
表面のラミネート加工は、優れた防水性にもつながっています。生地が水を通さないため、雨天でも安心して使用ができます。
ただし、生地と生地をつなぐ縫い目からは水が浸入するため、完全防水を求めるのであれば、シームテープなどで縫い目を塞いである製品がおすすめです。
経年変化を楽しみつつ、長く使える
一般的なナイロン生地は、ポリウレタンなどで表面加工を施すことで防水性を高めています。
ただし、ポリウレタンで表面加工されたものは紫外線が弱点。太陽の下で酷使すると数年でコーティングが剥がれてしまい、その結果、生地の表面がボロボロになってしまうこともあります。
一方でDCFはラミネートで加工されているため、コーティングが不要。しかも、紫外線に強いという性質があります。
そのため、DCFを使った製品は屋外でも劣化しにくく、長期間の使用に適しています。
なお、DCFは使用をはじめてしばらくのあいだは生地にハリがありますが、使用するうちにしわができて、柔らかくなっていきます。
素材の風合いが変化していくため、化繊であるにもかかわらず経年変化を楽しむことができます。ジーンズや革ジャンのように「自分のものになっていく感覚」を味わえますよ。
DCFのウィークポイント
上記のような特徴があるDCFですが、一点に加わる強い力には弱い、という弱点があります。
よって、尖ったものが刺さると穴が空いてしまう恐れがあります。
また、熱にも弱いため、焚き火の近くで使用する際は火の粉が飛ばないように注意しなければなりません。
DCFを使用したギアを紹介
現在、ガレージブランドから多くのDCFギアが販売されています。なかでも、筆者はDCFのポーチを愛用しています。
DCFのポーチは防水性・耐久性に優れているため、登山や徒歩キャンプで大活躍します。
筆者の場合、ヘッドライトなどのガジェットや、薬などのエマージェンシーグッズを入れるのに重宝しています。
上の画像のポーチは購入したばかりのため、まだ表面にハリがあります。今後、しわが増えて味が出てくるのが楽しみです。
この写真のDCF製ポーチは、1年以上使用しているものです。表面のしわが増えて味が出てきています。
開け口の部分がジッパータイプなので、閉めると完全に水をシャットアウトしてくれます。
したがって、こちらのポーチはコーヒー豆入れとして使用しています。中のコーヒー豆を常にドライな状態に保てるため、いつでも美味しいコーヒーを楽しむことができます。
キャンプにDCFのギアを取り入れてみては?
DCFが使われているギアは、荷物の軽量化を目指す方にぴったりです。
また、非常に頑丈で長持ちするため、道具を育てながら長く使っていきたい、という方にもおすすめですよ。
ほかの素材とは異なる、独特な見た目と質感も魅力的です!気になる方は、ぜひチェックしてみてください。