画家・写真家・ナチュラリストのおくやまひさしさんによる、美しいイラストと写真付きの自然エッセイです。
イタドリとは?どんな効能がある?
学名はFallopia japonica。タデ科の多年草で山野に自生する。高さは約1.5mほど。茎にはかすかな紅色の斑点があり、葉は卵形で先がとがる。雌雄異株。夏、白色または淡紅色の小花が円錐状につく。花が紅色のものを特に、明月草(めいげつそう)と呼ぶ。若い茎は酸っぱいが、食べられる。根を漢方で虎杖根(こじょうこん)といい、利尿・通経薬とする。
イタドリの若芽にはスカンポやスカンコ、ドンガイにドンガラ、サシドリ、ヒコヒコなどたくさんの地方名が
イタドリはタデ科の多年草で、北海道から九州まで幅広く分布する。川岸や土手などに育つ1~2mほどの野草だが、私の郷里、秋田では「ドガランポ」と呼んでいた。
タケノコのような春の若芽は酸味があって美味しいが、生かじりはシュウ酸の影響もあるから大量に食べてはいけない。
イタドリは漢名を「虎杖(コジョウ)」と呼び、乾燥した根は「虎杖根(コジョウコン)」と呼んで緩下剤などに利用する。主成分はオキシアントラキノン誘導体のポリゴニン、エモジンなどで、緩下、利尿、通経作用のほか、夜尿症、便秘、婦人病、消化不良、じんましん、胆管結石…などの症状にも薬効があるらしい。
秋にはしだれる茎の葉の脇に、小さな花をかためて付けた穂を伸ばす。
北海道や本州の北部には、草丈が3mほどにも伸びるオオイタドリがあるが、これを「大痛取」と書いて、アイヌの人たちは痛み取りの薬として利用した。有用成分はレスベラトロールで、ひざや腰の痛みに直に作用するというのだ。なお、戦時中は、イタドリの葉をタバコとして利用したという。
太い茎が枯れるのを待って、根を掘ってみた。すると、とんでもなく太い根が現われ、鮮やかな赤い芽をいくつもくっつけていた。
イタドリの食べ方は?
イタドリの若芽は茹でてよく水にさらしてから、酢味噌やごま油炒めなどに利用でき、てんぷらにしても美味しい。食べてもいい野草なのだから、自分流のレシピを考えてみては。
そうそう、冬の間にぜひ大きな株を掘ってみてください。きっと可愛い若芽がくっついているに違いない。え? 赤い芽も美味しいのかって? それはまだ試してないんだけど。
できるだけ太い若芽を摘み取ろう。
茎は中空で、竹のような節がある。
秋のイタドリの花、葉の脇に穂になって立ち上る。
オオイタドリは茎が3m、葉もこんなに大きい。
※イラスト・写真・文 おくやまひさし
おくやまひさし プロフィール
画家・写真家・ナチュラリスト。
写真技術を独学で学んだのち、
以降、イラストレーター、写真家として図鑑や写真集、
(BE-PAL 2023年4月号より)