そうして漕いでいるだけでも、なぜか結構楽しいのだ。水平線を見ながら、自分の意思で自由に移動できるというのは、日常ではなかなか味わえない感覚だからかもしれない。カップルや夫婦でカヤックに乗り、こうして大海原を移動しているだけでも「いい休日」になると思う。
そうこうしているうちに、右手には鎌倉由比ヶ浜が見えてくる。この由比ヶ浜がやたら横に広いので、なかなか抜け出さない。魚探には時折、小魚の群れらしき影が映るが、その度に釣りをしているといつまで経っても江ノ島に辿り着けないので、ひとまず先を急ぐ。
そうそう、読者の方から「トイレはどうするんですか?」という質問があった。きっと同じ疑問を持っている人も多いと思うので、答えておこう。足漕ぎカヤックの場合、ミラージュドライブ(ペダルの部分)を設置するための「穴」が開いている。カヤック本体の中は空洞なので、その穴から浸水することはない。