※この記事では、すべてtrangia(トランギア)社のアルミ製メスティン「TR-210」を使用しています。
メスティンを使う前の下準備とは?
メスティンを使う前には、まず「バリ取り」と「シーズニング」という下準備を行っておきましょう。
次の項目から、それぞれを行う意味と、具体的な方法を解説していきます。
メスティンを使い始める前の下準備
バリ取り
新品のメスティンの本体や、フタのフチには、ギザギザと尖った「バリ」と呼ばれるものが残っている場合があります。
そのまま使用すると手指のケガにつながるので、バリがあるメスティンは使用する前に紙やすりで削って「バリ取り」をする必要があるのです。
バリ取りに必要な物
- メスティン本体
- 紙やすり(400番・1000番)
- 軍手
- マスク
バリ取りの方法
まずは、削りカスを吸い込んでしまわないようにマスクを装着し、400番の紙やすりでバリを削っていきます。
フチを包んで削ってしまうと余計な部分まで傷つけてしまうので、紙やすりはフチに優しく当てるようにして削っていきましょう。
続けて、1000番の紙やすりでフチを削り、滑らかにしていきます。
削り終わったらカスを洗い落とします。メスティンを傷つけないように、ナイロン製のスポンジで優しく洗いましょう。
フチを触ってみて、滑らかになっていればOKです。フタと本体を合わせて、ちゃんと閉まるかどうかも確認しましょう。
なお、メーカーや商品によっては最初からバリ取りされていることもあります。当然ながら、そのようなメスティンならバリ取りは不要です。
シーズニング
シーズニングとはメスティンの表面に膜を作りコーティングすること。
必須ではありませんが、シーズニングすることで焦げや黒ずみを防いだり、独特のアルミ臭を和らげてくれたりと、いろいろなメリットがあります。
シーズニングの方法
まずはメスティンのハンドルを外し、中性洗剤で洗って汚れを落としましょう。
続けて、大きめの鍋に米の研ぎ汁とメスティンを入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして20~30分煮ていきます。
鍋から取り出したら冷まして水洗いし、乾燥させればシーズニングの完了。
洗うときに洗剤を使ってしまうと、せっかくの膜まで洗い落としてしまうので、水洗いでサッと済ませてしまいましょう。
写真ではわかりにくいですが、シーズニング後のメスティンには薄く白っぽい膜ができています。
この膜が焦げや酸化からメスティンを守ってくれるほか、アルミ独特の金属臭を和らげてくれるのです。
シーズニングは毎回行う必要はありません。焦げやこびりつきが目立つようになってきたら再度行いましょう。
なお、メーカーによっては最初からアルマイト加工という、酸化皮膜の加工がされているメスティンも販売されています。
加工によって焦げや酸化、アルミ臭も抑えられているので、アルマイト加工されているメスティンのシーズニングは不要です。購入前に商品情報を確認してみましょう。
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調理方法別!メスティンの使い方
メスティンは基本的には炊飯するための道具ですが、じつはさまざまな調理が可能な万能クッカー。
ここでは、「炊く・焼く・蒸す・煮る」という4つの方法をご紹介します。
メスティンの使い方
炊く
まずは最もスタンダードな炊飯。料理が苦手な方でもポイントを押さえれば、簡単においしいごはんを炊くことができますよ。
今回は、ワンバーナーを使った炊飯の方法を5つのステップに分けてご紹介します。
メスティンで炊飯する方法
<炊飯に必要な物>
- メスティン
- 米 1合
- 水 約200ml
- バーナー
- バーナーパット
- フタを押さえる重し
1.お米を研ぐ
まずはお米を研ぎましょう。当然ながら無洗米ならこの工程は不要ですが、無洗米は肌ヌカを洗い落とさない分、精白米よりも米の量が多くなります。
そのため、無洗米を使用するときは1合あたり15~20ml多めの水で炊飯しましょう。
2.浸水させる
メスティンにお米と水を入れて、30分以上浸水させましょう。浸水させることで粒に粘り気が出てふっくら炊きあがります。
なお、浸水の早さは水温が高いと早くなり、水温が低いと遅くなります。そのため夏場は短めに、冬場は長めに浸水させましょう。
<浸水時間の目安>
- 夏:30分
- 春秋:45分
- 冬:60~90分
また、水分量はメスティン内側の「リベット」と呼ばれるパーツの中間を目安にすれば、計量せずに1合のお米をおいしく炊くことができます。
3.炊く
浸水が済んだらメスティンをバーナーに乗せ、強火で加熱して沸騰させましょう。バーナーパッドは無くても炊飯できますが、あれば全体を効率よく加熱できます。
ポコポコと沸騰してきたら弱火にします。吹きこぼれてフタが持ち上がろうとするので、石などの重しを乗せてフタを押さえましょう。
加熱して10分ほどが過ぎると、ごはんの香ばしい匂いが漂い、パチパチという音が聞こえてくるので、それを合図にしてメスティンを火から下ろしましょう。
4.蒸す
火から下ろしたらメスティンをひっくり返し、タオルに包んで10~15分ほど蒸らしましょう。水分が全体に行き渡ることで、ごはんがよりふっくら仕上がります。
5.混ぜる
蒸し終えたら、ごはん全体をさっくり混ぜて完成です。
水分がまんべんなく行き渡ったごはんは1粒1粒がふっくらツヤツヤ。土鍋で炊いたような食感と甘みが楽しめますよ。
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焼く
アウトドアで「焼く」と言えばBBQを連想しがちですが、じつはメスティンも「焼く」調理に利用することができます。
ただし、素材の性質上焦げやすいので油を多めに使い、火加減は弱火~中火で手早く調理するのがおすすめ。
別売りのクッカークリップというツールを使えばフタもフライパン代わりに使用できるので、本体で煮込み料理を作りながら、フタで肉や魚を焼くということも可能。
BBQで余った具材を使って、簡単なサイドディッシュを作ることもできますよ。
メスティンで作るしょうが焼きのレシピ
<材料(1人分)>
- しょうが焼き用豚肉 100g
- 玉ねぎ 1/2個(約80g)
- めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ1
- おろししょうが 小さじ1
- サラダ油 大さじ1
<作り方>
1.メスティンにサラダ油を加えて横面にも油をなじませる。
2.1に薄切りにした玉ねぎを加え、重ねるように豚肉を加えてフタをし、弱火で3分ほど蒸し焼きにする。
3.豚肉に火が通ったらフタを取ってサッと混ぜ炒め、めんつゆ、おろししょうがを加えて煮絡めて完成。
蒸す
メスティンは「蒸す」調理にも便利ですが、蒸すためには本体とは別にパーツが必要になります。
それが写真のようなメスティン用の網。本体にこの網をセットして水を入れ、食材を加えて加熱すれば、中華まんや焼売、餃子などといったさまざまな蒸し料理を作ることができます。
網は100円ショップなどでも購入できますが、メスティンのサイズに合ったものを選ぶようにしましょう。
メスティンで作る中華まんのレシピ
<材料(2個分)>
- 中華まん 2個
- 水 適量
<作り方>
1.メスティンに網をセットし、網にかかる程度に水を入れる。
2.1に中華まんを入れ、フタをして加熱し、沸騰したら弱火にして5分ほど蒸す。
煮る
熱伝導性に優れたメスティンは、「煮る」調理にも大活躍。あらかじめ自宅で材料を切っておけば、調味料と一緒に煮込むだけでキャンプや登山でもおいしい煮物を作ることができます。
コンソメや鶏ガラスープの素、トマト缶に鍋キューブなど、味変しやすいのも煮物料理の嬉しいポイントですね。
メスティンで作るポトフのレシピ
<材料(1~2人分)>
- ウインナー(小) 6本(60g)
- じゃがいも 1個(約120g)
- にんじん 1/3本(約30g)
- キャベツ 50g
- 水 200ml
- コンソメキューブ 1個
★トッピング
- 粗挽き黒こしょう 少々
- 粒入りマスタード お好み
<作り方>
自宅での準備:じゃがいも、にんじんは切って耐熱容器に入れてふんわりとラップをし、600Wのレンジで2~3分加熱し下茹でをしておく。
1.メスティンにウインナー、じゃがいも、にんじん、キャベツを入れて、水とコンソメキューブを加える。
2.1を火にかけ、沸騰したらフタをして弱火で10分ほど煮る。串などでじゃがいもを刺してみて火が通っていたら火から下ろす。
3.粗挽き黒こしょうをちらし、お好みで粒入りマスタードを添えて完成。
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メスティンのお手入れ方法
最後に、メスティンを大事に使っていくためのお手入れ方法を解説していきます。
お手入れの仕方
アルミ製のメスティンは中性洗剤で洗う
アルミ製のメスティンは酸性・アルカリ性の両方に弱いため、これらの性質を持つ洗剤で洗ってしまうと劣化につながります。
そのため、メスティンを洗うときは中性洗剤を使用しましょう。また、たわしなどはコーティングを傷つけてしまうので、柔らかいスポンジで洗うのがおすすめです。
焦げはお酢を利用する
お酢に含まれる酢酸には、メスティンにできてしまった焦げの成分を分解するはたらきがあります。
そのため、メスティンに水とお酢を入れて煮込めば焦げが分解されて、簡単にこそぎ取ることができるようになります。焦げを落としたあとは、再度シーズニングを行いましょう。
お酢を使った焦げ落としの方法
1.メスティンに焦げが浸る程度の水を入れる。
2.1にお酢を大さじ3ほど加えて加熱し沸騰させる。
3.弱火で20分ほど煮込んだら火から下ろし、冷ましたら割り箸などで焦げをこそぎ取る。
メスティンの使い方を知って快適なキャンプ飯を!
紹介したとおり、メスティンはさまざまな調理に利用できる万能クッカー。下準備やお手入れをすれば、よりおいしくキャンプ飯を作ることができるほか、メスティン自体も長持ちします。
また、各調理方法に対応しているのも魅力。使い方の幅が広いからこそ、キャンプシーンで重宝されるのです。
まだ使ったことがないという方も、ぜひメスティンを活用して、快適なキャンプ飯を楽しんでください!