お店の方が笑顔で運んできてくれた寿司は、想像以上に華やかで、ちょっと独特ですが、でも確かに「寿司」という印象です。主役となっているのは、脂の乗った鮮やかな色のサーモン。トロムソの周辺では、雑菌などが繁殖しにくい低温のフィヨルド内でサーモンが養殖されていて、生でも問題なく食べられるので、日本にも寿司ネタ用にたくさん輸出されているのだとか。実際に味わってみると、口に入れたとたんにとろけるような柔らかさでした。
面白かったのは、下の写真の手前にある、サーモンとイチゴという意外な組み合わせの寿司。食べてみると、イチゴの爽やかな酸味がサーモンの脂と案外合うので、びっくり。ノルウェーに限らず北欧の国々では、イチゴのような果物は一種の憧れのような存在で、料理にもいろいろな形でよく取り入れられるのだとか。サーモンとイチゴの寿司という発想も、そうしたところから生まれてきたのかもしれません。
わずか数日間の短い滞在でしたが、初めて訪れたトロムソは、街自体の佇まいの美しさやユニークなお店の数々だけでなく、郊外での犬ぞりや夜空に舞うオーロラなど、極北の自然に抱かれた場所ならではの魅力の数々を教えてくれました。遠く離れているはずの日本からも、意外とすんなり行けてしまう、北極圏の小さな街。深夜にトロムソ空港を飛び立った飛行機の窓から、宙を淡く漂うオーロラの光を眺めながら、いつかまた戻ってこられるといいな、と思わずにいられませんでした。
(撮影/山本高樹)
▼トロムソまでのアクセス
日本からトロムソまでは、フィンエアーが2015年1月から3月までの期間限定で、週3便のトロムソ便を運航しています。成田、中部、関空から、ヘルシンキでの同日接続でトロムソまで行くことができます。
http://www.finnair.co.jp/
山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。ライフワークであるインド北部の山岳地帯ラダックの取材を中心に、世界各地での撮影と執筆に取り組む。主な著書に『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』(スペースシャワーネットワーク )『ラダック ザンスカール トラベルガイド インドの中の小さなチベット』(ダイヤモンド・ビッグ社)。企画・編集では『撮り・旅! 地球を撮り歩く旅人たち』(ダイヤモンド・ビッグ社)など。
http://ymtk.jp/ladakh/