「日本中においしさと健康そしてワクワクと笑顔をお届けしたい」と2010年に誕生した「グリコワゴン」。
赤いボディで、ルーフにはポッキーの箱のオブジェが載った初代の車両は、2010年の12月から約2か月かけて日本全国を縦断。東日本大震災の被災地訪問などをし、全国に笑顔とグリコ商品を届ける活動を続けてきました。
総走行距離は10万キロメートルを超え、長く活動してきた経験を映像にまとめるなかで「グリコワゴンの活動は子どもたちにとっても力になるのではないか」と再認識。そこで、さらなる活動拡大のために、2代目グリコワゴンの製作が行われました。
江崎グリコが今回新たにタッグを組んだのは、本田技研工業(以下、ホンダ)と自動車の開発支援を手掛けるシバックス。
デザインは全国の子どもたちによる189件の応募作品をもとに決定しました。今回は2代目グリコワゴンの全容と、そこに込められた想いをご紹介します。
2代目グリコワゴンとは?
真っ赤な車体の2代目グリコワゴンには、子どもたちが描いたアイデアが詰まっています。
リアルなお菓子が散りばめられた夢のデザイン
車両の側面には大きく虹を描き、ルーフにはグリコの代表的な商品である「ポッキー」や「ビスコ」、「ジャイアントコーン」、「アーモンド」が載っています。
色味や質感にこだわって製作する一方で、オブジェが重すぎないよう注意したこだわりの車両になっているのだそう。
初代グリコワゴンとの違いって?
デザイン以外で初代と大きく異なるのが、リアゲート部分にコミュニケーションができる仕掛けを搭載したところ。
子どもたちの会話に反応して表情が変わる仕掛けになっています。
また、両手で差し出すようにお菓子を渡せる機能もあるので、訪問先の子どもたちとのコミュニケーション増が期待されています。
2代目グリコの誕生秘話
2代目は、江崎グリコと同じように子どもたちの成長や夢の実現に共感してもらえる企業と一緒に作れないかということから始まりました。
「ホンダさんとの出会いは、ホンダ所属のレーシングドライバーの佐藤琢磨さんをグリコもサポートしていることからでした。2020年8月のインディ500で2度目の優勝をされた際に、佐藤さんと子どもたちが交流する活動のムービー製作を行っていて、ちょうどその頃ホンダさんの方でも“The Power of Teen”という子どもたちの夢を応援する活動を始められていました。そのなかで、グリコのムービーを使わせてもらいたいというお話をいただいたことがきっかけでした」(江崎グリコ グループ広報部 石河壮太朗さん)
一方ホンダでも、新型コロナウイルスの蔓延により日常生活に制限が増えるなかで、修学旅行など子どもたちにとって青春を謳歌できるイベントが次々と中止になっていることを危惧。そこで、10代に対し「夢を持つことが大切なんだ」と伝えるための活動を行っていました。
デザインは子どもたちから「わーっ」と言ってもらえる車を目指そうと189件の応募作から、子どもたちが求める「虹」や「ハート」などの要素をピックアップ。総合的に“みんなの想い”を込めたデザインに構成されました。
ホンダのステップワゴンをベースに、子どもたちの想いが込められたデザインへのカスタマイズは、ホンダの紹介でシバックスに依頼。
シバックスの西岡さんによると、オファーがあったのは約1年前。江崎グリコとホンダの担当者のグリコワゴンへの想いが刺さり、製作を受けることを承諾したそうです。
とはいえ、その過程での苦労は絶えなかったのだとか。なかでも子どもたちのアイデアを活かしたデザインの決定に一番時間がかかったといいます。
「3社で話し合いを重ねる日々でした。ただ、大変ではありましたが、子どもたちのことを思ったら楽しさの方が増していましたね」(シバックス 横浜開発センター センター長 西岡大輔さん)
今回タッグを組んだ3社では、このプロジェクトだけに終わらず、何らかの活動を今後も行いたいと考えているそうです。
グリコワゴンはどこで見られる?
初代ワゴンも可能な限り走り続けるため、これから2台体制となるグリコワゴン。
今回お披露目として、4月12日(水)~4月27日(木)にグリコの工場見学施設「グリコピア神戸」(兵庫県神戸市)、4月29日(土・祝)~5 月31 日(水)に「グリコピア・イースト」(埼玉県北本市)で、初代と2 代目の展示を実施。
「グリコピア・イースト」では、4 月29 日(土)~5 月21 日(日)の土日祝日(※)に体験イベントを開催し、参加者には栄養菓子「グリコ」がプレゼントされます。
※休館日の5 月5 日(金)を除く
取材・文/北本祐子