2021年12月、瀬戸内海を望む広島県江田島市にオープンしたキャンプ場「Hawk Nest Family Village」。オーナーのコージさんは、個人で、会社勤務を続けながら、数々の難題を乗り越えてキャンプ場の開設にこぎ着けました。どんなプロセスを経てキャンプ場の個人オーナーとなったのか、コージさんの奮闘記をお届けします。最終回となる第6回は、キャンプ場作りの「これから」編です。
第1回目【構想編】はこちら。
第2回目【準備・申請編】はこちら。
第3回目【着手編】はこちら。
第4回目【事業計画&資金調達編】はこちら。
第5回目【事業計画&資金調達編】はこちら。
オープン後の意外な状況
2021年12月28日の開業後、すぐ来場者が何組か連続で来てくださいましたが、年末から新型コロナ第2波に。開業間もない時期ですが、安全に配慮し、サイトはひとつ置きブロックしました。そのため、年明け1月は低調でしたが、着実にお客さんが来られ、2月にブロックを解除してからは毎週末ほぼすべて埋まる状況になりました。週末の天候が良ければ埋まる状況は、その後もずっと続いています。
キャンプ場がスタートして意外だったことは——
冬でもかなりの利用者がいらっしゃる(月間ご利用者数が落ちない)。
真夏の時期は来客数はさほど伸びない(ピークは春と秋)。
女性ソロキャンパーがかなりいらっしゃる。
女性(ペア、ファミリー含む)の来場者総数は全体の35%に上ります。事業計画の段階で考えていたことですが、今後も女性利用者については充分意識し、清潔感や雰囲気づくりに努めていきたいと思ってます。また、ファミリー(全体の40%)のために、お子さん用迷路を作りました。それに加え、共用ハンモックの設置(好天時)、輪投げ(ある高さで下部を残して伐採した木がポスト)など、お子さんが安全に遊べる場の提供を進めています。なお、伐採木材を積んでいた場所は整理し、オート横付け大型サイトを追加で設置し、周囲の柵とゲートを手作りし、中小型犬リードフリー対応のサイトとしました。
また、キャンプ場のオープン後に親戚の土地を借り、海岸の浜辺まで下りる道を徒歩路として整備。トトロのトンネルを意識し、お子さんの探検心をくすぐっています。
キャンプ場経営にとって、稼働率の維持向上は最大の鍵。いろんな手をコージは打ってきましたが、その全体像をまとめたのが添付図になります。
現在、すべての予約管理を、なっぷ社のシステムで専売契約で行っていますが、なっぷさんのホームページに直接入ってくるユーザーさんと、当キャンプ場のホームページに入ってくる両面でとらえ、SNSに限らず流入チャンネルを増やし、最終的にはなっぷさんのシステムでシンプルに運営する、という体系にしています。
ホームページについては、開業より6ケ月前にオープンにし、準備状況を適宜上げることでキャンパーの方々に期待感を持って頂くことができたようです。当初無料アプリで自身で立ち上げることも考えましたが、検索ヒットにつながるSEO対策などプロの対応が有効と考え、制作運用会社と立ち上げました。開業後も、場内ストリートビューを埋め込んだり、商工会が小規模事業者応援プログラムとして作製した当事業の動画へのリンクも入れたりと、進化させています。また、Googleマップには数々の高評価の口コミを上げていただいたり、YouTubeにも紹介動画を利用者のみなさんに上げて下さっており、キャンパーのみなさんにも感謝です。
なお、当施設は「施設所有者賠償責任保険」と「レジャー・サービス施設費用保険」に加入しています。施設側の責任による事故をカバーする保険です。これも持続していくための対策です。ご来場いただいた方々が笑顔で帰られ、また来てくれる、そんなキャンプ場であり続けられるようにしたい。そんな気持ちで、日々の整備や改善を進めていきたいと思っています。
最後に、なぜ、ここまで全てオープンに書いたのか。おおげさなノウハウではありませんが、キャンプ場事業にあたっての小さなヒントも含め、自分の経験を全て明らかにしました。
聞くところによると、各地で新たなキャンプ場が次々誕生する一方、毎年30ケ所くらいが閉鎖しているといわれています。キャンプ場は初期投資が過大にかかり、回収に長い年月がかかったと思ったら、今度は改修費用、と、公営や大きな資本がバックにない限り、運営が難しい事業だと実感しています。でも、出来る限り健全に経営されるキャンプ場が存続し続け、キャンピングが好きな方が多様なキャンプ場を楽しめる状況であってほしい。長年キャンプに親しんできた一人として、心からそう願っています。
コージの「Hawk Nest Family Village」が多くの方々に愛されるキャンプ場であり続けることができるよう、これからも努めて参ります。