初夏を代表するフルーツ「さくらんぼ」。
真っ赤に染まったルビー色の実が特徴で、口に入れると甘みが広がり、思わず笑顔がこぼれます。
そんなさくらんぼが、旬の前の時期から楽しめることをご存知でしょうか。
本来の旬は6月中旬から7月上旬頃までですが、山形県では一足早く、促成栽培という方法で栽培されたさくらんぼがすでに収穫時期を迎えています。
今回は、実際に山形で農業を営む筆者が、さくらんぼの魅力や楽しみ方をお伝えしていきます。
山形県の代名詞!ギフトにも大人気のさくらんぼ
全国の生産量の約70%を占める、山形県のさくらんぼ。
ハリのある食感や、甘さと酸味のほどよいバランス、赤くてかわいらしい見た目から、とても人気があります。
そのビジュアルや栽培の難しさから、「果物の宝石」「キセキの果実」などと呼ばれることも。
贈答品として用いられることも多く、母の日のプレゼントやお中元としてもよく利用されています。
いち早く味わえる促成栽培とは?
旬の前の時期に市場に出回っているさくらんぼは、ほとんどが温室で育てられた促成栽培のもの。
専用のビニールハウスの中をヒーターなどであたため、人工的に春の気候を作ることで開花を早めます。
季節を先取りするため高い栽培技術が必要になりますが、「さくらんぼをできるだけ長い期間にわたって楽しんでもらいたい」という農家さんの思いによって、毎年旬の前の時期から多くのさくらんぼが収穫されます。
さくらんぼの主要品種をご紹介
促成栽培で作られるさくらんぼの主要な品種には、以下のようなものがあります。
佐藤錦
言わずと知れた、さくらんぼの王道品種。国内で最も多く生産されており、圧倒的な人気を誇る品種です。
味が良い「黄玉」という品種と、日持ちが良い「ナポレオン」という品種を掛け合わせることで生み出されました。
糖度が高く、酸味とのバランスが良いので、万人受けする美味しさと言えます。
紅秀峰
山形県寒河江市で誕生した、近年知名度が高まっている比較的新しい品種です。佐藤錦を親にもち、際立つ甘さが特徴で、糖度の高いものは30度を超えることも。
パリッとした食感も魅力で、粒が大きいので食べ応えがあります。佐藤錦よりも少し後に旬を迎えます。
さくらんぼ狩りに挑戦!選び方のコツとは?
さくらんぼは追熟をしない果物なので、収穫直後が一番美味しいと言われています。
そのため、さくらんぼ狩りでは、本来の美味しさを十分に堪能できます。
山形県内では、すでに旬の前の時期にさくらんぼ狩りがスタートしている果樹園もあり、レジャーとして人気を博しています。
温室で育ったさくらんぼを狩る場合はビニールハウス内での作業となるので、雨でも濡れる心配がない上に、ちょっとしたアウトドア気分を楽しむこともできておすすめ。
さくらんぼがたくさん実った樹を目の前に、もぎ取りながら食べる瞬間は格別!
美味しいさくらんぼの見分け方を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
(1)真っ赤なものを選ぶ
さくらんぼは、成熟すると綺麗なルビー色になります。真っ赤なさくらんぼは、収穫におけるベストタイミングである証。
また、表面にハリのあるものが新鮮なので、表面の状態もチェックしてみましょう。
(2)軸が太いものを選ぶ
軸は、実に栄養を運ぶ重要な役割を担っています。
軸が太いものは、そのぶん実にたくさんの養分が届くので、美味しくなる傾向があるといわれています。
新鮮な軸は緑色を保っているので、こうしたポイントもあわせてチェックしましょう。
(3)高い位置にあるものを選ぶ
高いところにあるほど、太陽の光を多く浴びて熟していきます。実際に、樹上部の実はいち早く赤く色づき、糖度も高くなりやすいです。
手を伸ばしても届かないところにある場合は、脚立などを使用してチャレンジしてみてください。
ただし、脚立を利用する際は危険も伴うので、施設の指示にしたがって利用するようにしましょう。
徹底管理された高品質のさくらんぼを食べよう
促成栽培されたさくらんぼは、都内のスーパーやフルーツ専門店などでも並んでいます。
また、さくらんぼ狩りは自然の中で楽しむことができるので、アウトドアが好きな方にはぜひ体験してもらいたいアクティビティの一つ。
ぜひ、一足早く初夏の味覚を味わってみてください。