この季節の星座は、おおぐま座の北斗七星を起点にすると覚えやすいです。
GWの頃、東京で21時くらいに空を見上げると、北斗七星が天頂付近まで昇ってひときわ大きくあざやかに見えます。
北斗七星は柄杓orコーヒーメジャー?
「北斗七星は、おおぐま座の背中から尻尾にかけて、柄杓(ひしゃく)の形に並んだ7つの星です……」と、プラネタリウムなどでは説明されるのですが、最近は「柄杓」と言われてもピンと来ない人も増えているそうで、柄杓の代わりに「ミルクパン」と言うなど、解説員も工夫を凝らしているようです。
ちなみに、私には「コーヒーメジャー」(コーヒーの計測スプーン)に見えてしまいます。
ここではオーソドックスに「柄杓」で説明します。柄杓の柄を、そのカーブを維持して南の空の方へ伸ばしていくと、明るい星にぶつかります。うしかい座の1等星アルクトゥールスです。
全天で4番目に明るい1等星です。そのカーブをさらに南へ伸ばしていくと、青っぽい星に当たります。おとめ座の1等星スピカです。
GWは小さなからす座にも注目
この北斗七星〜アルクトゥールス〜スピカへと伸びるカーブは、「春の大曲線」と呼ばれ、春の星座の見つけ方として王道です。では、もう少し伸ばしてみましょう。
おとめ座のスピカから少しだけ右側(西側)に、からす座という小さい星座があります。こぢんまりとした台形で、「どこにからすが?」というと、こんな感じです。
からす座は小さくまとまっているので、意外と見つけやすいものです。
キャンプ場でからす座やろくぶんぎ座を探そう
キャンプなどで暗い場所に行ったとき、からす座が見つかったら、その少し右(西側)にある、コップ座と、ろくぶんぎ座探しにもトライしてほしいところです。いずれも街中では見つけるのがむずかしいマイナーな星座たちです。見つけられたら忘れられない一夜になるかもしれません。
マイナーといってもコップ座は古代ギリシアでワインを入れるときに使われた容器を象ったもので、2世紀ごろにプトレマイオス(トレミー)がまとめた48星座に入っている由緒のある星座です。
一方、ろくぶんぎ座については、17世紀にポーランドの天文学者ヘベリウスが作成した星座のひとつ。4月にご紹介した「やまねこ座」と同じ作者です。ろくぶんぎは「六分儀」と書き、その名の通り円を6等分した形の計測道具です。ヘベリウスが愛用していた六分儀が火災で失われたときに、これを偲んで星座にしたそうです。
17世紀ですから、暗い星しか残っていなかったのですが、それにしても、ろくぶんぎ座は見つけにくい星座として知られています。私も、ちゃんと見られた覚えがありません。
探す手がかりはうみへび座のα星アルファルド
さて、これらを探す手がかりは、うみへび座のα星アルファルドにあります。
まず、しし座の1等星レグルスを見つけます。春の大三角の近くにあります。
レグルスの下の方にポツンとある赤っぽい星がアルファルドです。この辺りは明るい星が少ないので、ちょっと明るい星が見つかったらそれがアルファルドの可能性が高いです。うみへび座の心臓にあたります。
心臓がわかったら、その少し上に見える星がうみへびの頭です。この辺りからうみへび座は南西へ向けてうねっていくのですが、暗い星が多いので追うのは至難でしょう。十分に暗い場所に行く機会があったときには、うみへびの尻尾をどこまで追えるかも試してほしいところです。北の空から南の地平線にかけて楽しんできてください!
構成/佐藤恵菜