月の資源の開発も目的のひとつとなり、国際的にも注目されている月探査。有人探査も計画され、人類による月での経済活動のスタートに向けて、研究開発が行われています。
ところで、月に探査に行くのって、宇宙飛行士や科学者など、特別な職業の人だけだと思っていませんか。
実は、将来的にはいろんな職業の人が宇宙へと出かけていくことになるかもしれません。そう話すのは、「NEO 月でくらす展」を監修した惑星地質学者で立命館大学教授の佐伯和人さん。この特別展では、未来の月でのくらしを疑似体験しながら、月について学ぶことができます。
2040年ごろの月では、きっとこんなくらしをしている⁉
特別展「NEO 月でくらす展 ~宇宙開発は、月面移住の新時代へ!~」は、月が秘める無限の可能性と人類に与えるインパクト、そして宇宙開発への夢をかきたてながら、未来の月面での生活が疑似体験できるという体験型の展覧会です。
2023年4月26日に月面着陸を試みた日本のベンチャー企業「ispace」の原寸大ランダー(月着陸船)&ローバー(月面探査車)も展示されています。
「2040年には、月に人が常駐して、年に1万人くらいの観光客が訪れるようになっていると考えます」と、監修の佐伯さんは話します。
月観光ができるとなると、確かに月面で、さまざまな職業の人が必要になりますね。しかも、2040年といえば、そう遠くない未来。今の子どもたちが体験できる未来ということになります。
この展示では、月への移住が実現した世界を、科学的な知見をもとに描きだし、月の住人となってそのくらしを体験しながら、宇宙について学ぶことができます。子どもたちが遊びながら体験できるように作られていますが、最新の科学がちりばめられているため、大人もワクワクしながら月面体験ができますよ。
基地内と月面の2つのゾーンで構成される「NEO 月でくらす展」
「NEO 月でくらす展」は、月面基地内外での月でのくらしがわかる「月面基地ゾーン(基地内)」と、「月面ゾーン(基地外)」の2つのゾーンに分かれています。
月でくらす開拓者に求められる役割として、月面の様子を地球に伝える「月面レポーター」、月面で働く「月面ワーカー」、月面を研究する「月面科学者」の3つの設定からひとつを選び、それぞれになりきって展示を楽しむことができる内容に。
よりリアリティを持って、未来の宇宙生活について学んだり、考えたりすることができそうですね。会場では、選んだ役割に応じた特製ステッカーとパンフレットも配られます。
月でのくらしの基盤となる「月面基地ゾーン」
「月面基地ゾーン」に足を踏み入れると、まず目に入るのが月のモニュメントです。
月には、月面開発の基本情報が記され、地球側から見ることができない裏側の情報も見ることができます。
「月面コンビニ」ブース
「月面コンビニ」のブースには、未来を想像させる衣類や食料、スキンケアアイテムもありました。
「月面食堂」ブース
さらに「月面食堂」のブースに入ってみると、なんと調理中のチャーハンが浮いています。
地球の約6分の1の重力で調理するって、慣れるまで大変そう。月面TVなどもあり、地球と同じようなくらしが広がっていました。
「月面官制室」ブース
「月面官制室」のブースでは、基地の安全が守られているか確認し、「隕石の回収ミッション」を行います。
ヘッドホンを装着し、レバーを操作しながら、隕石を回収。回収した隕石の種類も画面で確認できます。
スピードや方角をレバーで操作しながら、2分間のミッションタイム。終了すると、スコアも出ますよ。
「月面ラボ」ブース
「月面ラボ」のブースへ行くと、水やエネルギー資源、作物研究所など、生活する上で大切な資源について学ぶことができます。
基地の外に降り立てる「月面ゾーン」
「月面ゾーン」で、いよいよ月面に降り立ちます。ここでは、民間による月面着陸に挑戦した「HAKUTO-R」のランダー&ローバーが原寸大で展示されています。
月面探査機撮影ミッション
このランダーが、無事月面に降り立っていたなら、ここから放出され月面探査する予定だった「SORA-Q」。1分の1スケール玩具「SORA-Q Flagship Model」での、ミッションも体験できます。
月面重力体験
月面といえば、重力は地球の約6分の1。「月面重力体験ミッション」で、重力の違いも体験できます。
月で感じる地球のくらしとの一番の違いが重力です。このミッションでは、宇宙服(ハーネス付き)に着替えて、月の重力の疑似体験ができます。ハーネスをつけている安心感もあり、思いっきりジャンプしてみたら、飛び上がりすぎてびっくりしました。
両手、両足を広げてジャンプするなんて、地球上では筆者の場合無理なので、なんとも心地いい。こちらは、小学生以上・65歳未満の年齢制限と、身長120cm以上、体重22kg以上・60kg以下という身長・体重制限があります。
会期中でも、制限が変わることがあるそうなので、体験したい場合は事前に確認してください。
ちなみに、宇宙服とハーネスがプラス2kg。家族で出かけたら、120cm以上の子どもたちが体験して、体格のいいお父さんは撮影係ということになるかも。
2つのゾーンを巡って地球に帰還!
最後は、地球への帰還です。
地球に戻ってくると、月面で採用されていた技術やアイテムについての展示のほか、お土産コーナーもあります。
JAXAの宇宙服やガチャガチャ、宇宙食やアクリルキーホルダーなど、旅行の記念に欲しくなるアイテムが並んでいました。月での疑似体験をシェアしたくなります。
月でくらすというのは、もうSFの世界ではなく、現実の未来として捉えられています。本格的な月の探査と開発が、世界の国々で行われている今、月でのくらしを家族で疑似体験してみるのもいいですね。もしかしたら、2040年には月で働いているかもしれないのですから。
特別展「NEO 月でくらす展 ~宇宙開発は、月面移住の新時代へ!~」
https://tsukidekurasu.com/
会期:2023年4月28日(金)~9月3日(日)
時間:平日 10:00~15:00(ただし7月19日~9月1日は17:00まで)、 土日祝 10:00~17:00(入場は閉場時刻の30分前まで)
休館日:火曜日(ただし7月25日~8月29日の火曜日は開館)
会場:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン
入場料:大人(19歳以上)2,400円(2,100円)/18歳以下(小学生以上)1,700円(1,400円)/未就学児(4歳以上)1,100円(900円)
※( )内は8名以上の団体料金。すべて税込み。