National Geographic 写真賞の受賞を機に、世界でも作品を発表し旅を続けている写真家・岡田裕介氏の作品展「WONDERLAND」が、東京(6月16日~29日)と京都(7月4日~9日)で開催される。
展示される写真は、アラスカ・カクトビック村で撮影されたものたち。現地ガイドもイヌイットの人々も奇跡と呼んだ 1日の記録だ。
写真に記録された“奇跡の1日”とは?
10 年前の秋、北極海のシロクマに出会うべくセスナに乗ってカクトビックに降り立った岡田氏。日没後に船を出した彼の目に入ったのは、さまざまなホッキョクグマの姿。ピンクの空に包まれて鯨の残骸に群がる様や、オレンジに輝く海の中で泳ぐ親子、そして 海岸沿いで子どもたちが戯れ合って遊んでいる様子。それは、まるで天国のような光景だった。
なぜ今回、10年前のアラスカでの1日という特定の日を切り取ろうと思ったのか、岡田氏はこうコメントする。
「自然写真は時間をかけ向き合って、積み重ねた上に成り立つ説得力がある。そう思う自分がいるからこそ、たった1日の記録を作品群として発表するのに躊躇いがありました。しかし信頼する人たちに写真を見せたとき、皆口を揃えて『これは凄い!』と感動してくれた姿に背中を押され、この奇跡を皆さんと分かち合うべきだと確信しました」(岡田氏)
「WONDERLAND」の作品の一部を紹介
「あまりにも撮影した日が特別過ぎて、あの日を超えられる日はもう来ないだろうという思いから、この10年間カクトビックを再訪できないでいます」という岡田氏。本展では、岡田氏にそう思わせるほどの圧倒的光景を、カラー写真全30点の構成で初公開する。そのほんの一部を紹介しよう。
また、本展の見どころについて岡田氏は「簡単には行けない遠いアラスカの小さな村。そこで体験した奇跡のような1日を一人でも多くの人と分かち合いたい。初めて見る光景にきっと感動していただけると思います」と語る。
写真家が「もうこれを超える日はない」と思う光景を、ぜひその目で確かめにいってはいかがだろうか。
岡田裕介作品展『WONDERLAND』
【東京】
ソニーイメージングギャラリー 銀座
開催期間:2023年6月16日(金)~6月29日(木)
開館時間:11:00~19:00 入場無料 / 会期中無休
東京都中央区銀座 5-8-1 銀座プレイス 6 階
TEL:03-3571-7606
https://www.sony.co.jp/imaging/gallery/
【京都】
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2 階
開催期間:2023年7月4日(火)~7月9日(日)
開館時間:11:00~18:00(最終日 17:00 まで) 入場無料 / 会期中無休
京都府京都市東山区堀池町 374-2
TEL:080-5988-7720
https://kyoto-muse.jp/japanesque/
岡田裕介氏プロフィール
埼玉県生まれ。2003 年より、フリーランスフォトグラファーとして独立。沖縄・石垣島、ハワイ・オアフ島への移住を経て、現在は神奈川県の三浦半島を拠点に活動中。
水中でバハマやハワイのイルカ、トンガのザトウクジラ、フロリダのマナティなどの大型海洋ほ乳類、陸上で北極海のシロクマ、フォークランド諸島のペンギンなど海辺の生物をテーマに活動。2009 年 National Geographic での受賞を機に世界に向けて写真を発表し、受賞作のマナティの写真は世界各国の書籍や教育教材などの表紙を飾る。温泉に入るニホンザルの写真はアメリカ・スミソニアン自然博物館に展示。国内でも銀座ソニーアクアリウムのメインビジュアルはじめ企業の広告やカレンダーなどを撮影。