MTBがあれば、山の中を駆け巡る快感が楽しめる。安全に遊ぶには、基本的なライディング術を身に付けるのが不可欠。インストラクターの下、父と小学3年生の息子がダウンヒルに挑戦した。
西伊豆古道MTBトレイル in 静岡 松崎町
親子ではじめてのMTBダウンヒル
伊豆半島の西側、駿河湾に面する松崎町は、海越しに富士山が一望できる景勝地として有名だ。多くのマリンスポーツ愛好者で賑わうこの地だが、実は町の64%は山林で、かつ、西伊豆エリア最大の平野を有する。そんな海も山も里も楽しめる絶好の場所に、山林の古道を再生させて、MTBツアーを主催するのが「ヤマブシトレイルツアー&西伊豆古道再生プロジェクト」代表の松本潤一郎さんだ。
松本さんにガイドしてもらって、親子ではじめてのMTBダウンヒルに、同じ伊豆の修善寺に住む家具職人の和田大さんと小3の晴くんが挑む!
「自信は80%ぐらいかな」と、始める前はワクワク感のほうが高い晴くんだったが、「あそこにも行くよ」と、牛原山の山頂を指さす松本さんに、「……。道とかあるの?」と、顔が徐々にこわばってきた。
何はともあれ乗り方から学ぶ
ショップでMTBをレンタルしたら、近くの平地で乗り方から教わる。普段の町乗りとは異なるライディングポジションをみっちり練習する父と息子。「お尻はもっと後ろにしましょう」と、松本さんの教えをしっかり反復練習した後は、主催側が用意したクルマにMTBを積んで、いざ牛原山へ。この山には松本さんたちが管理・整備するコースがあり、はじめてツアーに参加する人はここで練習するという。山の広場でコツをつかみ、自信が回復してきた晴くん。お父さんも「子供は慣れるのが早い」と、安堵している様子だ。
牛原山の広場でコツをつかむ
【TIPS ダウンヒル、3つのポイント】
1 足は平行に
2 重心は後ろに
3 ブレーキは右で
普段のサイクリングとは違うので、 この3つは特に重要!
牛原山の第2ステージ、いよいよコースにチャレンジ! 全長360mのコースは、カーブや傾斜が連なる本格派。無理せず、ゆっくり進む和田親子を尻目に、地元の小学生がグイグイ攻めていった。それを見た晴くんは徐々にペースアップしていく。周回を重ねるにつれ、晴くんもお父さんも自信が確信へと変わりつつあった。気分は森林を駆ける、MTBライダーだ。ランチ休憩を挟んで挑む、古道トレイルが待ち遠しい!
牛原山マウンテンコースで特訓だ!
待ってました! 海の幸のお昼ごはん
いよいよ本番、古道トレイルに挑戦だ!
ツアーで使用する古道は、いにしえの人たちが生活道として使っていた場所で、行政が所有する森林や私有地を走る特別なコースだ。松本さんは古道の再生が地域の活性化につながることや、昔の人たちがどのようにしてこの道を使っていたかをふたりに教えてくれた。晴くんも遊びを通じて学びを得る、絶好の機会となったようだ。
何年も人が通ってできたのが、この深い谷!
雨後のタケノコ発見!
様々な古道コースがある中で、小学生でもチャレンジできるルートを選び、歴史を感じながらMTBで駆け下りる。難所は無理せず押して歩いて安全第一。コース上にあったタケノコは思いがけないお土産だ。古道整備にもなるし一石二鳥! お昼は海の幸、晩ごはんは山の幸だ。
楽しい古道トレイルも、気づけばあっという間。ドキドキだったMTBダウンヒルは「また来たい!」という晴くんと、「このMTB、いくらぐらいするものなんですか?」というお父さんのハマりようで、幕を閉じた。
山を下りたら里でポタリング
歴史建造物で休憩
山から海へ到着だ!
【MTBトレイルを楽しむポイント】
トレイルコースでは無理な走りはしない
コース上には私有地もあるのでガイドの指示で走行
勢いだけでなく、ゆとりを持った走りを楽しむ
※構成/早坂英之(編集部) 撮影/三浦孝明
(BE-PAL 2023年6月号より)