20年以上も同じ自転車を愛用するサイクリストたちがいる。彼らの自慢の一台を拝見するシリーズ。今回は、東京・神保町でカフェバー「カラコロム」を営む大園光春さん編です。
山を旅した自転車は出前用として第二の人生を!
「ハンドルを替えただけなのに、ツーリング車の面影はまったくなくなりましたよ。自転車は用途や使う人によって、何度も生まれ変われるのかもしれませんね」と、大園さん。
約30年前、息子が乗っていたスポーツ車の走行性に感化され、東叡(トーエイ)のツーリング車を購入した。
1988年当時、埼玉県浦和市にあった「東叡」に直接出向いてオーダー。フレーム価格は約15万円。必要な部品は集めて、自ら組んだという。完成時で総額約30万円。シートステイには「OSONO」の文字が刻印されている。
山登りを趣味としていた大園さんは、この自転車で山に行くことを思いつく。アップダウンの激しい峠のある舗装路やダートを季節かまわず、走りまわった。
「ロードバイクを買って、1992年からヒルクライムをはじめました。それからだんだんこの自転車に乗る回数が減ってきて。もったいないから、店に持ってきて出前用として使おうと思ったのです」
そんな激しい旅を経験した自転車は、ママチャリしか乗ったことがない従業員のために、ハンドルはフラットバーに替えられ、東京のビルの間をのんびりと走っている。