モーターでこぐ力をアシストしてくれるEバイクは、普段使いだけでなく、自然の中を走るツーリングでも大いに役立つ。そこで、軽くてデザインも秀逸なEバイクを紹介しつつ、緑豊かな里山を駆け抜けるツーリングのレポートもお届けしよう。
注目のEバイクを徹底比較
歩くより速く、全身で風を切り、移り行く景色をたっぷりと楽しめる自転車。自宅周辺を散策したり、クルマに積んで旅先をサイクリングしたり。さらには、厳選した道具だけを積んで冒険心を満たせるキャンプツーリングに挑戦するのもあり。
今回は、しっかりペダルを踏んで長距離を移動できるスポーツバイクのなかから、タイムや順位を競うためではなく、遊ぶためにデザインされた楽しい系の最新モデルを集めた。
個性派ぞろいのEバイクは、人気の定番と注目のニューモデルをセレクト。
スポーツバイクでやってみたいことを考え、自分のスタイルに合った一台を探そう。
体力がなくてもスイスイ走れる!
電動アシスト自転車はスポーツタイプも数多く登場し、さまざまなタイプが選べるよう時代に。航続距離100㎞超ならロングツーリングもOK。軽さとデザイン性もグングン向上中だ。
※各モデルの評価軸について
スピード域:快適に走り続けられる速度域(★が多いほど速い平均速度で走れる)
拡張性:泥除け、ラックなどのマウントの数とカスタムのしやすさ
乗り心地:走行時の振動を和らげる快適性
クロスバイクの名車がEバイクに!
ジャイアント/エスケープR E+
¥330,000
航続距離 ★★★★★
拡張性 ★★★
乗り心地 ★★★★
クロスバイクの代名詞ともいえる同社のエスケープRをベースにしたEバイク。ECOモードなら最長200㎞をクリア。女性専用に設計されたモデルもある。
問い合わせ先:ジャイアント 044(738)2200
航続距離が長いので、しまなみ海道やビワイチなどにチャレンジするにもいい。
軽さとスタイリッシュなデザインを融合
スペシャライズド/ヴァドSL4.0
¥396,000
航続距離 ★★★★
拡張性 ★★★★
乗り心地 ★★★★★
バッテリーをフレームに内蔵することで、Eバイクには見えないスリムでスタイリッシュなデザインに。重量も約15㎏と驚くほど軽い。6月末まで期間限定セール中。
問い合わせ先:スペシャライズド・ジャパン https://www.specialized.com/jp/ja
パーツまでこだわったEグラベルバイク
ベスビー/JG1
¥398,000
航続距離 ★★★
拡張性 ★★★★
乗り心地 ★★★★
グラベルロードを走るために設計されたEバイク。シマノのグラベル用パーツ「GRX」を搭載。悪路でも変わらない快適な操作性と制動力を誇る。新色もいい感じ。
問い合わせ先:ベスビー ジャパン https://besv.jp/products/jg1/
オプションのフェンダーとキャリアを装着した状態。これなら通勤にも便利に使える。
グラベルツーリングを楽々と
ヤマハ/ワバッシュRT
¥438,900
航続距離 ★★★★★
拡張性 ★★★★★
乗り心地 ★★★★
ボトルケージなど多くのマウントを装備した旅気分満載のEバイク。一充電の航続距離は、+ECOモードで最長200㎞。ドロッパ―シートポスト付き。
問い合わせ先:ヤマハ発動機 0120-090-819
遊び心満載のEミニベロ
キャノンデール/コンパクトNEO
¥290,000
航続距離 ★★★
拡張性 ★★★★
乗り心地 ★★★★★
キュートなデザインが魅力のミニベロタイプのEバイク。路面の凸凹を楽しみに変えてしまう太めの20×2.35インチタイヤを装着。重量約18㎏。走りは軽快だ。
問い合わせ先:キャノンデール・ジャパン https://www.cannondale.com/ja-jp/
リアラック、フェンダー、前後ライト、スタンドを標準装備。通勤や買い物に。
アップライトなハンドルは、90度ひねってコンパクトに収納できる。
ドライブに連れていきたいカワイイやつ
ヴィチ/V-01
¥162,800
航続距離 ★★★
拡張性 ★★
乗り心地 ★★★★
優れたデザインの製品に贈られる「レッドドットデザインアワード」を受賞したフォールディングEバイク。バッテリーはシートポストに内蔵。コスパも◎。
問い合わせ先:アキボウ https://www.akibo.co.jp/vicci/

小さくたためる
折りたたみサイズは、幅68×高さ65×奥行38㎝。重量約16㎏と軽い。
※構成/山本修二
本誌名物ライターが立候補! E-MTB&ファットバイク体験レポート編
泊まって食べて大満喫! 発見だらけのロングツーリング
旅行先でもクルマではなく、自転車に乗っていけば、心地よい風を受けて景色の移ろいを感じながら、思わぬ発見に出合えるはず。自分のペースでフィールドを走ってみよう!
行った人 ライター 大石 & 娘 日和

ビーパルライター歴、早20数年!? おくやまひさし氏のもと実践型自然学を学び、長野修平氏のもと自然派子育てを学ぶも自転車旅は初体験。愛娘・日和は、この春から高校生に。
案内人 里山マウンテンバイクツーリズム 佐藤将貴さん

’14年に立山町に移住し、自然資本を活用した経済循環の仕組みづくりを志す。’20年に里山マウンテンバイクツーリズムを立ち上げツアーを提唱。「E-MTB旅は 最高ですよ~」。
緑豊かな里山で母と娘の"入学祝い"珍道中 in 富山県・立山町
私の育った家は東伊豆の片田舎で、傾斜角度20度以上はあろうかという、滑り止めが掘られた坂の上。自転車とはなかなかに疎遠な人生を送ってきた。一方、東京に生まれ育った娘は3歳の誕生日に三輪車をゲット。小学校の入学祝いに16インチの自転車、4年生には20インチに乗り替えと、当たり前のように自転車がある暮らしを送ってきた。そしてこの春高校に入学。自転車通学をはじめるという。
そこで、降って湧いた自転車旅企画である。初心者の私(!?)でも安心のEバイク体験ツアー! しかもMTB!! 急勾配の坂道や峠道でもモーターがアシストしてくれるので、いわゆるロードバイクガチ勢ではなくても、老若男女問わず、気軽にサイクリングが楽しめるという、夢のような自転車だ。
試乗したEバイクはこちら!
シャイデック/MT-E

剛性に優れたタイヤに高性能のフロントフォークを備えつつ、電動アシスト機能を搭載。サイクルコンピューターで、バッテリー容量や速度などを視認可能。

フル充電で走行距離目安が最高140㎞!

まずはMTBの基本的な乗り方と、アシストの切り替え方法(モードは3段階)や、安全講習、交通ルールなどのレクチャーを受ける。「お、お尻の位置が高い……」。
場所は富山県・立山連峰の麓、立山町から上市町にかけて広がる田園地帯を巡る里山ツアー。主宰する里山マウンテンバイクツーリズム実行委員会の佐藤将貴さんから乗り方をレクチャーしてもらい、いざ出発。
「まず左の山道を登ります!」
いきなりの坂道発進である。マジか……。が、しか〜し、ペダルがグングン進んでいく。
「ウソでしょ!」
思わず驚嘆の声が漏れる。坂道を登っているとは思えない足の稼働率! この速さ!! ヒルクライマーさながらでは!?
「飛ばしすぎると疲れるので注意してください。時速11㎞ぐらいを維持するといちばんアシスト効果が得られて楽ですよ」
DAY 1
10:00 START!
大岩不動の湯を発ち初っ端から坂道を行く!

まずはE-MTBになれるため舗装路からスタート。なだらかな坂道時々急坂、が延々と続くも、スピードが落ちることもなく快適!
発見! 時速20㎞になると自動アシストオフ!?
10:30 3.7㎞
須山切石跡で洞窟探検

上市町内の須山地区の山中にある洞窟群。

石を切り出した跡で林道脇の斜面に点在し、大きなものはガイドツアーなら中に入れる。
先生の教えを肝に刻む。延々と続く峠を登り、須山切石跡へ。
「この地域には金鉱や銅が発掘されていた場所もあります。この石切場は凝灰岩が発掘され、炬燵石として使われてきました」
佐藤さんは走りながらも地元の歴史や文化についての興味深い話を語ってくれる。自転車だと、気になった場所で気軽にライドオフできるので、里山をより身近に、深く体感できるのが面白い。切石跡を見学したあとは、爽快な下り坂を経て、農道として使われている凸凹だらけの未舗装路へ突撃!
「MTBに乗っているので、オフロードも楽しまないと!」
走れるルートが広がるのもE-MTBならでは。そして若干足腰がガタつきながらも、本日3度目の峠を登り、ハイライトである大観峯へ。松の根が張り巡らされた林を抜けると、立山連峰を見渡す絶景に辿り着く。
「すごい! 自転車でこんなところまで来られるんだね」(娘)
「峠を2つも3つも越えたから、さすがにお尻が痛いけどね」(母)
「決めた、私MTBが欲しい!」
心地いい達成感に浸りつつの決意表明。JKが制服姿でMTB。母として止めるべきか……。
11:30 9.1㎞
オフロードを経て城山の湧水へ

農道として使われている未舗装路を走破。平坦なので初心者でも楽しく乗れるが、泥道や地面の凹凸などがスリリング!

目の前の喫茶で、湧水で作った炭酸水(1本¥200)を購入可能。お酒で割っても旨い。

北アルプス劔岳から湧出する城山の湧水。硬度5.5程度と超軟水で飲みやすい。
12:30 14.1㎞
立山連峰と富山平野が一望できる大観峯

標高320mの小さな里山。樹木に埋もれていた、かつて常楽園と呼ばれていた観光名所を、登山道とともに佐藤さんたちが再生した。
発見! 3年前に復活した、眺望抜群の展望台!
13:30 18.2㎞
GOAL!
大岩山日石寺で、立山の名水で作ったそうめんを食う

栄養補給も 大切なのだ。

大岩山日石寺の門前街で昼食。3年ほど寝かせ、大岩水で締めたそうめんはコシが強い。イワナや山菜の天ぷらと。

大岩山詣で。本尊には高さ3.4mの大岩に彫られた不動明王像が!!
※協力/里山マウンテンバイクツーリズム https://satoyama-tourism.com
自転車旅におすすめの立山の宿
埜の家
https://nonoie.jp
電話:076(464)3130
趣ある宿は庭も美しい!

案内人の佐藤さんがマネージャーを兼務。広い縁側や薪ストーブも堪能でき、苔のむす庭にはカモシカなど野生動物が現われることも。

築130年の古民家をリノベーションした一棟貸し切り宿。

地の食材を使った地元のお母さん手作りの朝食を頼める。
白雪ゲストハウス
https://snow-white-farm.com
メール:info@snow-white-farm.com

1日1組限定の農園B&B。農業の繁忙期を除き、不定期にオープン。周囲に景観のいいサイクリングロードもある。

家族5人とポニー親子で営む有機農園。

農業体験やピザ作りなどのワークショップも開催。
DAY 2
発見! キャンプ場内にサイクリングコース!!

海に面したキャンプ場からは雄大な立山連峰が一望できる。テントサイトはフリースペースで利用料¥1,000〜。貸しコテージもある。 電話:076(438)5767
浜黒崎キャンプ場でファットバイクをレンタル

平井正人さんのハマクロレンタルサイクル。半日2000円、1日(10:00〜16:00)4000円。

サーリーのMTBを中心にグラベルバイクなども扱う。今回乗ったファットバイクはサーリーのウェンズデイ。
10:00 START!
場内を通る富山湾岸サイクリングコースを出発

’21年に全国6か所にあるナショナルサイクリングルートのひとつに選ばれた、全長約102㎞のコースの一部。
2日目はせっかく富山に来たので、’21年にナショナルサイクルルートに認定された「富山湾岸サイクリングコース」を走ることに。そのコースの一部が場内を走っているという、浜黒崎キャンプ場で自転車をレンタル。
「この太いタイヤの自転車何? 乗ってみたい!!」
さすが豪雪地帯。ファットバイクレンタルとは珍しい。何事も経験と娘にはファットバイクをあてがい、私は無難にMTB。が、“痛っ、ケツ痛っ”筋肉痛こそないものの、いままで味わったことのない痛みに襲われる。とはいえ、海岸沿いの景色に魅了され、なんとかライドオン。
10:30 3.0㎞
名松百選に選ばれた松並木を走る

浜黒崎から岩瀬にかけて、江戸時代から“古志の松原”と呼ばれる黒松並木の名所が続く。富山県の天然記念物でもある。
北陸街道の面影を残す美しい浜黒崎松並木
11:00 4.5㎞
海岸に降り立ち、しばし砂浜を楽しむ

タイヤが太く、接地面積が広いので砂浜でも沈みにくく走行が可能。冬は雪の上でも楽しめる。「結構、脚力が必要だねぇ〜」。
11:30 7.0㎞
岩瀬大町通りの街並みに歴史を感じる

北前船の港町として、江戸初期から栄えてきた岩瀬地区。北前船廻船問屋が立ち並ぶ街並みは、明治期に建てられた家屋が多い。
12:30 13.1㎞
GOAL!
立山連峰の絶景を堪能しつつキャンプ場に到着

岩瀬地区で折り返し、キャンプ場へ。東に向かうと海越しに標高3,000m級の雪の積もった立山連峰を望め、爽快感抜群!
発見! 娘の優しさと成長を実感した旅

お尻が痛くてもう無理〜。
「え、遅っ。自転車ってこんなに遅かったっけ?」
早速E-MTBかぶれである。そんな母を横目に娘はスイスイとこぎ進めていく(!?)。途中、砂浜に乗り入れ、ファットバイク本来の走破性を堪能し、岩瀬地区の街並み見物へ。そろそろ、お尻が限界ですぅぅぅ。帰り道、
「ねえ、自転車替えない?(タイヤが太いほうが衝撃吸収率高いっしょ)」と安易に母。
「結構、大変だよ」と訝しげな娘。
「ま、待った〜。いまのなし」
時すでに遅し、娘は遥か数十m先に。アスファルトでのまさかのこぎ辛さ。しかも、さらに遅っっ。遠方で娘が待っている。
「心配だから、私の前走って」
自転車は人を成長させるのだ。
E-MTB&ファットバイク旅の楽しみ方
- 旅は道連れ、会話を楽しみつつライド
- 幼少のころの冒険心で多彩な道に挑む
- 自分を過信しすぎず冷静な判断も!
DAY 1
集合場所の大岩不動の湯まではJR富山駅から車で約30分。立山町と上市町を巡る全長約20㎞のツアー。
DAY2
全長約102㎞のコースの一部を体感。最大高低差35mとほとんど平坦な道で初心者でも気軽に走れる。要所要所にレンタサイクルも!
旧登山道を再生した新たな自転車道、大観峯トレイル

草木が生い茂る全長2㎞のトレイルを、半年かけて佐藤さんが整備。

里山マウンテンバイクツーリズムに会員登録(無料)すると無料で利用できる。

有料会員になると、トレイルの整備や新規開拓などにも参加できる。
※構成/大石裕美 撮影/山本 智
(BE-PAL 2023年6月号より)