不要になった物をアップグレードさせて別用途に利用する「アップサイクル」。素材機能を生かし再利用する方法だ。そこで今回は資源にならない厄介ゴミをアップサイクルする簡単方法を紹介する。
清掃団・お片付け担当 柴田賢佑
お笑いコンビ「六六三六」の一人。芸人活動の傍ら、遺品整理・ゴミ屋敷片付け員としても活動。プロのお掃除人としてSNSなどで情報を発信中。
清掃団・自給自足部 まりんか
サーカスで数年ピエロをやっていた経験を活かし大道芸ネタで人気に。登山やキャンプ、アウトドア料理好きで、自給自足暮らしを目指すピン芸人。
清掃団・団長 マシンガンズ・滝沢秀一さん
芸人活動の傍らゴミ収集員としても活動。プロの目でゴミ問題を発信し続け人気に。環境省のSDGs関連の広報大使に就任。著書に「ゴミ清掃員の日常」など多数。
壊れた陶器、アウトドア用品……厄介ゴミのアップサイクル!
ひと口に「ゴミ」といっても千差万別。資源になるゴミもあれば、行き場がなく埋め立てを余儀なくされるゴミもある。
「ゴミは基本的に可燃ゴミと不燃ゴミの2種類。それ以外のペットボトルや空き缶、雑誌などの多くは資源ゴミ。地域によってゴミの出し方が異なるので、まずは自治体のゴミ収集方法や資源ゴミが何かを認識して、しっかりと分別ゴミ出しすることが大切です」とは、プロの清掃員でお笑い芸人のマシンガンズ・滝沢。資源を回収し、さらに「可燃・不燃ゴミ」をなるべく再利用すれば、世の中のゴミの量をかなり減らすことができるのだという。
可燃・不燃ゴミで厄介なのが陶器類と衣料廃棄物。高温で焼く陶器は土に還らず、ゴミになれば埋め立てしか方法がない。また汚れが付着したり様々な繊維が混じり合った衣料廃棄物もリサイクル困難なものが多い。
衣服がゴミとして出された場合、再資源化される割合はなんとたったの5%ほど。95%は焼却・埋立処分されているというのが現状だ(環境省2020年12月~2021年3月調べ)
「ならば、アップサイクルすべし!」と、今回チャレンジしたのが、ゴミ屋敷片付け芸人の六六三六・柴田賢佑と、登山好き芸人まりんか。割れた陶片や壊れたテント、アウトドアウェアなどを、別な用途にアップグレードさせて再利用する。
「ポイントは、ゴミに『美』を見出すこと」と、まりんかは、割れた陶片を集めて飾りにし、鏡や時計を制作。
「陶片はそのままだとただのゴミだけど、きれいに並べればタイルのように綺麗なオブジェに変身します」(まりんか)
「ゴミになった物の機能をうまく利用することも重要だよね」という柴田は、不要になったテントやレインウェア、フリースをアップサイクル。
「フリースはクッションにすると肌触りがよくて見栄えもよし。テント生地は形状や大きさが、オートバイや自転車の雨除けフードにぴったり」(柴田)。
お笑い清掃団に捨てる物なし! 目指せ、ゴミ0生活!!
陶片やフリースなどはゴミになると厄介
資源にならない素材がゴミになると、埋め立て・焼却で環境負担に。なるべく再利用して使おう!
陶片を趣ある飾りに変身
大昔の土偶が土に還らずそのまま残っていることからもわかるように、陶片をゴミとして出すと埋め立て対象。そこで陶片を捨てずにアート素材にしてアップサイクル。
鏡
ベニア板に鏡を接着剤で貼り付け、樹脂粘土で作ったフレーム枠を接着。フレームのマス内に陶片を並べて接着すればでき上がり。
時計
100円均一で購入したお盆と時計で制作。お盆の中心にドリルで穴を開けて、電池式時計を設置。陶片を周囲に並べて接着剤で貼り付ければ、なんちゃって時計が完成。
フライシートも使える! アウトドア用品
壊れたフリースやレインウェア、テントなど、不要になったアウトドア用品も、アイデア次第で様々なものに生まれ変わり再利用可能に。コツは素材の機能を生かすこと。
アウトドア用品をアップサイクルするには、形状やサイズ、素材を改めて見直し、アイデアを深めたい。
柄違いで作ると可愛いよ! フリース→クッション
フリースを裏返しにしてジッパーを閉める。襟部分を凧糸で縛り、腕部分を写真のように結ぶ。
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表に返して袋状の部分に不要になった衣類やダウンなどを入れ、裾をコの字縫いで閉じれば完成。
形状がぴったり! テント→自転車カバー
テントのフライやインナーは、そのまま自転車カバーに。高さや形状、サイズがオートバイや自転車に合致。張り綱やグロメット利用で地面に固定もできる。
雨天時に最高! レインウェア→自転車かごフード
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レインウェアは自転車かごのフードに。ハンドルに腕部分を差し込み、かごに巻いてボタンを留める。雨の日に手が濡れないハンドルカバーとしても重宝。
※構成/松浦裕子 撮影/茶山 浩
(BE-PAL 2023年6月号より)