乗り手にとって安全で実用的な道具を作ること。それを第一に40年もの間、世界に誇れるマシンを作ってきた職人・千葉さんが考える長年乗り続けることのできる自転車とは?
フレームよりタイヤに目を向けるべし
「雑誌はフレームにばかり注目するけど、自転車で痛快に遊びたい人はまず、ふたつの回転体にお金を払うべき。100年前のレーシングタイヤを再現できたら、今のマシン全部抜かれちゃいますよ。高校2年のときプロの競輪選手しか使わないようなチューブラータイヤをはじめて使って『自転車の生命はタイヤなんだ』と気付いた。それが僕には決定的でしたね」
90年代、スティーヴン・ロークス選手に製作。弾性率50tカーボン使用。
1975年、フランスのメーカー、ジタンの依頼で作ったカーボンフレーム。
千葉洋三さん
1940年生まれ。世界に先駆けてアルミ合金やカーボンフレームを手がけた石渡製作所(現・カイセイ)などでビルダー修業。1973年、工房「アマンダスポーツ」設立。
◎構成/かとうあづみ ◎撮影/高橋宗正、千葉洋三