21日間、無人島で暮らすと人はどう変わるのか? 「さばいどる かほなん」の挑戦
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    2023.07.09

    21日間、無人島で暮らすと人はどう変わるのか? 「さばいどる かほなん」の挑戦

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    島に来て初めて採れたタケノコや、シェルターの中で育てた豆苗のサラダもあり。これまでにない種類の島の食材を使い、豪快な夜ごはんを楽しんだ。「明日からはもう 食べる心配を しなくていいんだ……」。

    無人島で自給自足をしながら暮らすことを夢みるアイドルの女子が、約6年間、サバイバルの修業を積んできた。身につけたスキルを試すべく、21日間限定で無人島に渡り過ごした記録をレポートする短期集中連載の最終回。最後の2日間に密着して見えた成長の証とは?

    ※この挑戦は、島の管理者の許可を得て行なっています。

    その1はこちら
    その2はこちら
    その3はこちら

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    さばいどる かほなん   岐阜県出身。チャンネル登録者数47万超えの『さばいどるチャンネル』では、釣り、キャンプ、車中泊旅、料理、登山などの動画を公開中。2019年に購入した山のほか、2020年からは、レンタル山を拠点にサバイバルの修業を積んでいる。著書『アウトドアが100倍楽しくなる! さばいどるのワイルドキャンプ』(すばる舎)ほか。

    最後の晩餐に向けて新しい食材をゲット! 

    かほなんの無人島生活もあと2日。島へ渡って20日目は、朝までテレビ特番の撮影クルーが滞在。それと入れ替わりで、本誌スタッフが島へ入った。

    「昨日、テレビの撮影で竹林に行ったら、タケノコが生えていたんです。今日は、それを採りにいきます」
     
    この島でカキやアサリなどを入れて運んだお馴染みの野菜収穫袋を持ち、島の中心部にある竹林を目指した。竹林の足元には、いくつものタケノコが顔を出していた。最初のうちは、動画を収録しながら、丁寧に手で折って収穫していたかほなん。

    「次は、爺ちゃんに教わった秘技で採りますね」と話すや、タケノコめがけてキック。あっという間に収穫袋いっぱいの新鮮なタケノコが採れた。

    無人島生活、最後の晩餐

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    最後の晩餐は、豆苗サラダ、アサリと山椒のスープ、茹でたタケノコ、カキとメカブのガンガン焼き。

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    タケノコは、灰を入れて茹で、あくを抜いた。

    無人島生活で心に残ったこと

    真っ赤な夕日を見ながら
    海辺で頭を洗っているとき、
    この贅沢な美しい風景を
    こんなマヌケなスタイルで
    ひとりじめしている……
    というのが可笑しくて…
    でも結構好きな時間でした(笑)

    かほなん

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    21日間、破れることなく雨や風から守ってくれたシェルター。星空と対岸の夜景に調和し、島の景色にすっかり溶け込んでいた。「最後まで楽しむぞ~」。

    ベース基地に戻ると、生長した豆苗を見せてくれた。唯一、豆苗の種を島へ持ち込み、8日ほど前から育てていたそうだ。

    「無人島生活、最後の晩餐は、いろいろな材料を使って、ちょっと贅沢にやってみます」
     
    動画の収録がない日の食事は、カキを飯盒に入れて焼くだけなど、質素なものだったという。最後の晩餐は、もちろん収録もあり。調理に入る前に、動画用の三脚を立ててスタンバイ。まだ明るいうちに、タケノコの下準備からスタートした。

    「タケノコは、焚き火でできた灰を使って、あく抜きしながら茹でます。ほかは、豆苗のサラダ、カキのガンガン焼き、それに、アサリと山椒のスープ。ゆっくりと作っていきましょう」

    タケノコが生えてきた

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    21日の間に季節も進んだ。島の内部の植物は日々生長し、竹林には食べごろのタケノコが生えてきた。収穫袋には、採りたてのタケノコがいっぱい。

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    島で作ったベスト料理

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    「飯盒にカキとメカブを入れて蒸し焼きにすると、メカブの出汁がカキに移って美味しくなります。スープも最高ですよ!」

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    毎日見てきた島の夕日。明日、島を離れると思い寂しくなったのか、ひとり静かに沈みゆく夕日を眺めていたかほなん。

    シェルターの前に作られたかまどに火を入れ、拾った鍋に水を張り、タケノコのあく抜きをする。飯盒には、カキとメカブを入れて火にかける。スープは、飯盒の蓋で調理。そして、数日前に作っておいたというメバルの干物を焼いた。シンプルな道具を上手に使いこなし、手際よく調理する姿のたくましいこと。夕日が赤さを増すころに、食事の準備は完了した。

    「では、無人島生活21日の最後の晩餐をいただきます」
     
    動画を収録しながら、豪快に手づかみで島の恵みを味わった。

    「島の味、どれも絶品です!」

    自然に逆らわずどっしり構えて生きる力を身につけました

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    シェルターをたたみベース基地を更地に

    最後は、たくさんの星が輝く静かな夜になった。対岸の街の明かりも変わらず美しい。疲れていたのか、かほなんは早めにシェルターに入り就寝した。
     
    翌、最終日は、早朝からシェルターの撤収作業を開始。朝の9時過ぎには、持ち帰る荷物がまとめられ、生活感が何もない状態に復元された。しかし、この日、夕方の全国放送に、この島から中継で出演する仕事があり、さらに数時間を島で過ごすことに。そこで、この無人島チャレンジの感想を聞いた。

    「サバイバルの能力、適応力、経験値が強制的に上がりました。例えば、天候や食べ物が厳しい状況でも平気だと思える精神力、それを乗り越える知恵や度胸がつきました。少々不衛生でも平気になったし、虫(ハエ、ムカデ、フナムシなど)を見ても、何も感じなくなりました(笑)」
     
    島で過ごした後半は、所作や表情にも、そんな自信をうかがうことができた。では、考え方、生き方についてはどうだろう?

    「自然に逆らわずに、どっしり構えて生きられるようになったかな。自然界の悪条件やそれに伴うトラブルを『自然のことなら仕方ない』と受け入れて、『ならどうするか?』とすぐに考えられるようになりました」

    無人島生活に欠かせない三種の神器

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    「このチャレンジのために準備した"さばいどるナイフ"は、調理、枝はらい、工作など、あらゆる場面で役立ちました」

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    「林へ入り、木や竹を切り出したり、使いやすいサイズに切ったり。ノコギリも持ってきて助けられた道具のひとつです」

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    「終盤は、漂流してきた鍋が手に入りましたが、カキを蒸し焼きにしたり、飯盒があったから美味しくできた料理もありましたね」

    21日間の過酷な挑戦で、かほなんは、サバイバルの実践的なスキルのみならず、メンタルまでを大きく成長させたようだ。
     
    昼前から、姫島に雨が降り始めた。しかし、シェルターはもうない。夕方の中継まで、薄いレインコートにくるまり、ひたすら待つだけの時間が、思いがけず辛かったという。中継が終わり、渡船で港へ。帰宅途中にはファミレスに立ち寄り、そば、かつ丼などを爆食いしたそうだ。

    「明日も必ず食べ物にありつけるという安心感。島を離れて、一番ほっとしたのは『食』のことですね。そして、いつかは無人島で農園を作ったり、ニワトリを飼って生活したい。そんな思いが強くなりました。21日間、いい練習になりました!」

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    21日間、持ちこたえたシェルターを分解し、かまどや使った道具を片付けたら撤収完了。少し痩せたかほなんは、無事、笑顔で島をあとにした。「破れずがんばったね」。

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    夕方のテレビ出演が終われば、21日間の挑戦も終了だ。「普通のキャンプでは得られない経験ができました」。お疲れさまでした!

    BE-PAL8月号(2023年7月6日発売)より新連載スタート!

    かほなんの新たな挑戦が始まりました。8月号の本誌で短期集中連載を掲載しています!

    ※構成/山本修二 撮影/花岡 凌 協力/姫島整備促進委員会

    (BE-PAL 2022年10月号より)

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