個人で広島県江田島市に「Hawk Nest Family Village」というキャンプ場をオープンしたコージさん。そんなコージさんがキャンプ場オーナーの立場から、キャンプ場での快適な過ごし方について考えます。第3回は、女性ソロキャンパーについてです。
誰もがキャンプ場で安全に楽しい時間を過ごすために
ブームの広がりとともに、キャンプの楽しみ方もバラエティー豊かになっています。キャンプを行う人数にしても、ソロやグループ、ファミリーとさまざまです。
キャンプ場を運営する立場からしても、多様なキャンパーの存在には大きな意味があります。さまざまなニーズに応えるために努力することが、また別のご来場者の満足感にもつながるという相乗効果がもたらされるからです。例えば、女性キャンパーでも快適に利用できるようにと、水回りの清掃を徹底したり、花を植えるなどして場内の美観を整備したり。そうしたことが、キャンプ場全体の利便性の向上に資することになります。
ただ、残念ながら、特に女性ソロキャンパーが不快な思いをしたり危険な目にあったりしたという事例を、SNSなどで見聞きすることがあります。誰かにとって安全で快適な時間を過ごせないキャンプ場は、別の誰かにとっても同様の場所になり得ます。
どうすれば女性キャンパー、特に女性ソロキャンパーが安心してキャンプを満喫することができるのか。これは、キャンパーみんなで考えなければならない問題だと思います。
女性ソロキャンパーの安全対策について
女性ソロキャンパーとしてどのようなことに気をつけ、どんな安全対策を行えばいいのか。まずは人気YouTuberのJJソロキャンプさんにご意見を伺いました。
JJソロキャンプさん自身が行っている対策とは?
まず大前提として、管理人不在の無料キャンプ場には一人で行かないようにしています。監視の目がなく、24時間出入り自由のようなキャンプ場になると危険度が高まるのは明らか。細かい対策をするより、キャンプ場選びが最も重要だと思っています。その上で気を付けているのは以下の通りです。
①口コミをチェック
NEWオープンでない限り口コミはあるので、スタッフさんの対応や客層に問題はなさそうかチェックしておきます。
②夜間スタッフ駐在か確認
口コミやホームページで分かるときもありますが、分からない場合は予約の電話で聞いたり、ホームページの問い合わせフォームから確認したりします。
③周辺の警察、交番を確認
夜間スタッフ不在のキャンプ場へ宿泊するときは、何かあった時に助けを呼べるように準備しておきます。具体的には、事前に必ず近くの警察、交番を調べて番号を控えておきます。
④人目の多い場所、もしくはファミリーの近くに設営
お子さん連れだと夜中まで騒いだり泥酔したりすることもほぼないですし、何か起きた場合に助けてもらえる可能性も高いと思います。何より、近くに人の目があれば、不審者から狙われる可能性も低くなります。フリーサイトの場合は、人から離れた静かな場所にテントを張りたい気持ちを抑え、声が届く範囲に人がいる場所へ設営します。
⑤南京錠と防犯ブザー
寝る時はテントの内側から南京錠をかけ、防犯ブザーをセットします。テントを破られたら意味がないと言われることもありますが、助けを呼ぶときの時間稼ぎになります。南京錠は盗難防止にも使えるので持っていて損はありません。
⑥緊急連絡先へワンタップで発信できる様にスマホに表示させておく
何かあれば慌てることは必至。就寝時はスマホを枕元に置いておきますが、気が動転すると番号検索も時間がかかりそう。そこで、素早く助けを求められるように寝る前に準備しておきます。
キャンプ場側に求めたいこと
自分の身は自分で守るのが基本ですが、防犯対策をしてくれるキャンプ場が増えれば安心してキャンプを楽しめます。具体的には以下のような対策を実施してほしいと考えています。
①夜間スタッフの駐在
②夜間連絡先、近隣警察署(交番)連絡先の配布、または掲示
③近隣警察署(交番)との連携
④夜間ゲートの施錠
⑤消灯時間前の見回り
⑥防犯カメラ設置
女性キャンパーの性的被害などがクローズアップされがちですが、男性も被害にあう可能性はあるし、騒音問題や盗難被害もあります。キャンプ場側も目を配っていること、防犯対策をしていることをチェックイン時などにきちんと明示すれば、キャンプ場全体の治安向上に繋がるのでないかと思います。
キャンプ場オーナーとしてできること
キャンプ場運営側としても、事業の継続性確保の上で、JJソロキャンプさんの貴重なご意見を参考に、どう手を打っていくか、具体的に検討し、ホームページや場内での周知を明示を行っていく必要があると思います。
ただ、キャンプ場それぞれで事業環境も異なるので、同じ対策を一律でまんべんなくということはなかなか難しい面もあるものと思われます。
- 夜間については、キャンプ場にオーナーが居住しているところでなければ、従業員の夜勤契約が必要になり、コスト的に合わなくなる可能性が高い。
- 夜間連絡先は、警察に限らず救急病院など、何か起きた時にさっと見てわかる掲示、あるいは連絡先の配布などが必要。
- 夜間ゲートの施錠を実施したとしても、周囲の柵も簡単に乗り越えられないようにしないと意味がないと思います。が、キャンプ場で周囲を完全にシャットアウトするのは難しいかもしれません。
- 消灯時間前後での見回りは、事務棟から目が行き届かない広さを持ったキャンプ場は必要だと思います。ただし、これも夜間スタッフ常駐のキャンプ場でなければ、従業員の夜間シフトとなり、現実的にコストが合わなくなる可能性もあると思われます。
- 防犯カメラについては、ソーラーで無線型の夜間監視可能カメラがネットでもリーズナブルな価格で入手できます。これを複数設置し、設置・稼働している旨を掲示することはは、現実的な解になるように思います(当地でもその方向で強化を進めていきます)。
当然ですが、キャンパーのみなさんは安全で快適なキャンプを楽しみたいと考えます。一方のキャンプ場側も、そうした時間が実現できるように最大限の努力を払います。両者がもっとも望まないことは、キャンプを楽しめる場所がなくなってしまうことです。だからこそ、キャンパーのみなさんもキャンプ場側も、留意すべきこと、改善しなければならないことについて、考え続ける必要があるのだと思います。
今後も一人でも多くの人がキャンプ場で心から楽しい時間を過ごせるよう、こころより願っております。