130年以上の歴史があるスイスのマルチツールブランド、ビクトリノックス。今年5月に、新作のアウトドア向けナイフが発売された。重厚感と洒落感を匂わす佇まいは、ブッシュクラフトやソロキャンプなどこだわりの強いスタイルの人におすすめだ。
スタイリッシュで使い勝手のいいフォールディングナイフが登場
今回紹介するエボーク BSH ALOXは、現行品のナイフ「ハンティング Pro ALOX」を一部改良した折りたたみ式ナイフで、スイス本国で1点ずつ丁寧に仕上げる本格仕様。こちらのカラーはグリーンで、ほかにブルーを基調としたカモ柄も販売されている。
刃を出した全長は136mm、厚み16mm、重量180g。収納サイズはW135×D40×H16mm(筆者が計測)。フォールディングナイフのジャンルでは比較的重みがあり、ガス缶なしのコンパクトシングルストーブに相当する。
同商品の特徴は大きく2つ。1つ目はサムスタッドと呼ばれる部品があること。ミリタリーナイフでよく採用されており、親指でブレードを押し出し、瞬時に展開できる。現行品のハンティング Pro ALOXにはない。
このサムスタッドがあるのとないのとでは、大きく異なる。ないモデルだと片手で開くのが難しく、両手を使わざるを得ない。
また、このサムスタッドは両面に設置されている。
これによって、右利きでも左利きでもナイフを開けるので、使う人を選ばない。利き手がケガなどで使えないときも反対の手で展開できるので、サムスタッドはとても便利なのだ。
2つ目が、メタル面にブラックコーティングを施していること。表面にクローム・オキサイドという顔料を何層も塗り重ねる加工法で、これにより錆びにくさと耐久性が向上している。雨の日など悪環境で使っても、サッと拭いて乾燥させれば永く使える。
そのほかのポイントとして、ハンドルは握りやすいように波型になっている。しかも、人差し指部分は深めになっており、これによってヒルト(フィンガーガード)がなくても指を守れるように設計されている。
さらに、ハンドルは凹凸のある形状なので、手が濡れていてもしっかり握れ、滑り止めのような役割も果たす。近年のナイフは、ハンドルに滑り止めとしてラバーグリップを装着しているものがあるが、汗や経年変化でラバーが劣化しベタベタすることもあるため、この設計は長期で見ても使いやすいのだ。
実際にエボーク BSH ALOXを使ってみた
では、実際にナイフを使った様子を紹介しよう。まずは太いロープをカット。スーッと刃が入り、一方方向へ引いただけで簡単に切れてしまった。スイスの熟練職人が1点ずつ製造していることもあり、刃の精度の高さが伺える。
次にオレンジのカット。中の汁が1滴も出ずにサクサクと切れ、きれいに輪切りをすることができた。これ以外にトマトも潰れることなく切ることができ、調理にも使えることがわかった。
薪や小枝をカットするのも楽勝。刃渡りが9.5mmあることで、刃のみねを親指で固定し、細かい繊維を切ることができた。これならフェザースティック作りもばっちりだ。
最後にバトニング。公式ページには、バトニングの可不可が記載されていなかったので試してみた。サムスタッドがあることで、長い薪を割ることができなかったが、半分の中サイズの薪なら割ることができた。
ただし、エボーク ALOXは折りたたみ式でフルタング仕様ではないため、耐久面から太い薪や広葉樹はあまりおすすめしない。ブレードが折れる可能性があるので、小薪を割る程度で使おう。
大胆なアクションより細かい作業に向くナイフ
筆者の感想として、ビクトリノックスのエボーク BSH ALOXはバトニングのようなキャンプらしいアクション作業より、料理やフェザースティック作りなど細かい作業に向いているナイフだと感じた。
ちなみに、ランヤードホールに付けるパラコードペンダントや収納ケースは別売りで販売。価格は19,800円とやや高めではあるが、鋭いブレードと精巧なハンドルは、玄人の目線からしても納得のいくつくりであることが間違いない。ぜひ一度、この本格的なフォールディングナイフを使ってみてほしい。
商品概要
ビクトリノックス「エボーク BSH ALOX」
価格:¥19,800
全長:136mm
収納サイズはW135×D40×H16mm(筆者が計測)
厚み:16mm
重量:186g。
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