前回の記事でお伝えした、アパレルブランド「ao」によるハンモック計画。寒川 一さん監修の元、糸魚川の縫製工場で試作を重ね、3月の展示会でついに正式リリースされました。
昨年初夏の試作段階での様子。ガーゼの肌触りに素直に反応する子どもたち。
3月8日(水)〜10日(金)のバイヤー向け合同展示会「COMMUNE」は、〈ていねいな暮らし〉を感じさせるアイテムを扱う8組が出展。そのひとつとして、「ao」も参加していました。都内のパン屋が出張していて美味しいコーヒーも提供。何とも柔らかーいムード。
お目当ての「ao」のハンモックは会場のテラスにありました。今回商品として発表されたのは、ガーゼハンモックとオリジナルハンモックスタンド、藍染ガーゼインナーシュラフの3点。リリースには【自由なガーゼ プロジェクト】という文言と、以下の言葉が書かれていました。
私たちは洋服を作っています。
すべてガーゼを使った商品です。
(中略)
気持ちのいいもの、心地のいいものを作っているから、
洋服だけにこだわらなくてもいいかもしれない。
(中略)
心が解かれるような瞬間にガーゼがあったらいい。
そんな想いで、まだまだ未知数の【自由なガーゼ】はじまりました。
自由なガーゼ。そうきたか!と。
アウトドアで使うものはタフでなければいけない。その逆で、ガーゼという柔らかな素材は産着や下着など肌に触れるものに使われるべき。そんな固定概念を抜きに、アウトドアとガーゼ、このふたつがくっつくこと、それ自体が自由そのもの。
とはいえ、用途や嗜好のベクトルが違う層に手に取ってもらうため、「ao」の五十嵐昌樹さんと寒川さんとの間で商品開発にあたって、やりとりが繰り返されたそうです。
「ao」のロゴ入りタグが付けられた製品版。生地の内側は平織り、外側は綾織となっています。
まずハンモックの生地幅は、大人の男性が横たわれる180cmと希望する寒川さんに対して、ガーゼを作れるのは150cm幅までという技術的制約。断念してギリギリの150cmにしたことで、その代わりに「ao」のブランドカラーである茶色のステッチが入った生地の耳が、デザインアクセントとなっています。
そしてアウトドアユーザーが気になる耐久性の問題。ガーゼは柔らかく織られている分、帆布やナイロンのような強さはありません。そこで考えられたのが、ふたつの生地を合わせてステッチをかけることで、強度と肌触りの両方を確保するという案。肌が触れる面は平織りの柔らかいガーゼ、外側は伸縮性のある綾織を採用。