キャンプなどのアウトドアで活躍する調理器具「ダッチオーブン」。
熱が均等に伝わりやすく、おいしい料理を簡単に作れることが魅力の万能鍋ですが、鋳鉄製のものは使い方に注意が必要。
とはいえ、お手入れ方法を一度頭に入れてしまえば、取り扱いは簡単です。
錆びや焦げが発生してしまった時の対処法など、ダッチオーブンを長く使い続けるためのお手入れ方法を解説します。ぜひ最後までご覧ください。
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ダッチオーブンの手入れは面倒?
「ダッチオーブンはお手入れが面倒…」と思われている方も多いのではないでしょうか。
たしかに、鋳鉄製のダッチオーブンは放っていると錆びが発生しやすく、他の調理器具に比べてデリケート。しかし、丁寧にお手入れをしながら使い込めば徐々に油がなじんでいき、ツヤツヤと黒い輝きを放つ、いわゆる「ブラックポット」に。
ダッチオーブンを長く使い続けるためにも、錆び防止のためのお手入れは非常に重要なんです。
使用前に必要なお手入れとは?
新品の鋳鉄製ダッチオーブンを使用する際には、「シーズニング」と呼ばれるお手入れを行う必要があります。5つのステップに分けて、具体的な手順をご紹介します。
準備する道具
- 食器用洗剤
- 亀の子たわし
- キッチンペーパー
- オリーブオイル
- 耐熱ミトンや耐熱グローブ
- 野菜くず(玉ねぎ、ニラ、にんにく、しょうがなど香りの強いもの)
1.ダッチオーブンを洗う
まずは、ダッチオーブンを食器用洗剤で洗いましょう。
鋳鉄製のダッチオーブンは表面がゴツゴツしているので、スポンジよりも亀の子たわしで洗うのがおすすめです。ちなみに、金属たわしの使用はかえって本体を傷つけてしまうので厳禁です。
本体、フタともに洗い終わったらタオルなどで水気を拭き取り、しっかり乾燥させましょう。
2.油を塗る
ダッチオーブンが乾いたところで、キッチンペーパーを使って全体にオリーブオイルを塗り込んでいきます。
本体の内側や外側はもちろん、フタの表と裏や取っ手の部分などにも忘れずに塗っておきましょう。
3.加熱する
油を塗ったダッチオーブンを火にかけていきます。最初のうちは中火で、煙が出てきたら弱火にし、煙が出なくなるまで加熱しましょう。
煙が出なくなったところで火を止め、再度油を塗り込んでいきます。なお、加熱したダッチオーブンは高温になるので、作業の際は必ず耐熱グローブや耐熱ミトンを装着しましょう。
この「油を塗る→加熱する」という工程は最低でも3回以上、できれば4~5回は行いましょう。
また、加熱の際はたくさん煙が出るので、可能ならば屋外で作業をすることをおすすめします。
4.野菜くずを炒める
鉄の臭いを取るため、ダッチオーブンに野菜くずを加えて炒めましょう。
玉ねぎやニラ、にんにく、しょうがなど香りの強いものなら、より効率よく鉄臭さを取ることができます。なお、使用した野菜くずは食べずに処分してくださいね。
5.仕上げに油を塗って冷ます
野菜くずを取り除いたら汚れを拭き取り、仕上げにオリーブオイルを塗り込んでいきましょう。塗り終わったら自然に冷まし、使用前のシーズニングは終了です。
使用後の基本的なお手入れ方法
ダッチオーブンは使用後のお手入れも重要。長く使用するためにも、お手入れのポイントを押さえておきましょう。
1.お湯を注ぎ沸騰させる
料理の残りを取り除いて汚れをキッチンペーパーで拭き取ったら、お湯を注いで加熱しましょう。沸騰したら、鍋底の汚れを木製のヘラやたわしで落としていきます。
なお、鋳鉄製のダッチオーブンは温度変化に弱く、本体が熱いうちに水を注いでしまうとひびや割れの原因になります。破損を防ぐためにも、必ずお湯を使用しましょう。
また、錆びを防止する油まで落ちてしまうので洗剤は使わず、汚れはお湯で洗い流すだけでOKです。
2.加熱する
汚れを落としたら水分を拭き取り、本体とフタを火にかけます。水分が残っていると錆びの原因になるので、ここで完全に乾かしておきましょう。
3.油を塗る
乾かしたダッチオーブンに、シーズニングの時と同じようにオリーブオイルを塗り込んでいきましょう。
塗り終わったら煙が出るまで火にかけ、煙が収まったら火から下ろします。あとは自然に冷ませば、使用後のお手入れは完了です。
ダッチオーブンに適した保管場所って?
湿気は錆びの原因になるため、ダッチオーブンを保管するのは乾燥した風通しのいい場所が理想的です。
また、油を塗っているのでそのまま収納すると箱やケースを汚してしまうことに。それを防ぐためにも、本体とフタを新聞紙などで別々に包んで保管するのがおすすめです。
写真のように本体に割り箸を2本渡し、その上にフタを乗せて収納すれば湿気を防ぐことができます。また、こうすれば本体とフタが直接触れることなく保管できるので、破損の防止にもなりますよ。
加えて、ダッチオーブンは落下時の衝撃で割れてしまうこともあるので、保管は箱やケースの接地面が安定した場所を選びましょう。
こんな時どうする?ダッチオーブンのお手入れQ&A
鋳鉄製のダッチオーブンは、お手入れをしていても汚れが残ったり錆びてしまったりすることがあります。ここでは、ケース別に対処法を紹介します。
Q.汚れや臭いが落ちない時はどうする?
汚れが酷い場合は、お湯を入れて加熱してみましょう。しばらくすると汚れが柔らかくなるので木べらなどを使って落とし、使用後のお手入れを行いましょう。
また、お湯と一緒に重曹を入れることで汚れが落ちやすくなり、さらに臭いも落とすことができますよ。
Q.焦げてしまったらどうする?
通常のお手入れでも取れないほど焦げが残ってしまった場合は、そのまま火にかけて加熱し、焦げを炭のように「炭化」させましょう。
炭化した焦げは、木べらなどで削り取ってしまえば大丈夫です。
Q.錆びてしまったらどうする?
軽い錆びの場合は、油を染み込ませたキッチンペーパーで拭き取ってみましょう。それでも取れない場合は、ダッチオーブンにお湯を注いで加熱し、クレンザーを付けた亀の子たわしでこすり洗いします。
錆びが取れたらダッチオーブンを洗い、通常のお手入れどおりに乾燥させ、油を塗っておけばOKです。
手入れ不要のダッチオーブンを使う手も!
「もっと手軽にダッチオーブンを使いたい」という場合は、お手入れ不要のダッチオーブンを利用するのもおすすめです。
例えば、ロゴスから販売されている「SLダッチオーブン」は、シーズニング不要!購入後は丸洗いをすれば、すぐに使用することができます。
鍋底に脚が無いので、アウトドアだけでなく家庭用ガスコンロやIHでも使える仕様になっています。
また、ステンレス製のダッチオーブンならシーズニングが不要なのはもちろん、使用後も普通の調理器具と同じように洗剤で洗って乾燥させるだけでOK。
錆びの心配が不要、さらに鋳鉄製よりも軽いので、より気軽にダッチオーブンでの調理を楽しむことができますよ。
自分で育てたダッチオーブンならキャンプ飯がよりおいしい!
ダッチオーブンのお手入れは面倒なように見えますが、作業自体は簡単で、慣れれば時間もかかりません。
また、丁寧にお手入れしたダッチオーブンで作るキャンプ飯は、いつもよりおいしく感じられますよ。
ぜひ、ツヤツヤと光り輝く「ブラックポット」を目指して、ダッチオーブンを育ててみましょう!
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