初心者から超上級者まで、多彩なコースで登山やハイキングを楽しめる登山大国「スイス」。
初心者でも気軽にハイキングを楽しめるコースが、ベルン州南部・ユングフラウ地方の「ユングフラウ・アイガー・ウォーク」です。
夏のベストシーズンは高山植物が咲き乱れ、もはや地上の楽園でした!
最新ゴンドラで山を登って、下りのハイキングを楽しむ
「ユングフラウ・アイガー・ウォーク」はユングフラウ地方のアイガーグレッチャー駅からクライネ・シャイデック駅までを繋ぐ約2.1kmのハイキングコース。アイガーグレッチャー駅を起点にすると下りのみで、気軽なハイキングを楽しめます。
アイガーグレッチャー駅まではグリンデルワルド・ターミナル駅から2020年にオープンした「アイガー・エクスプレス」で向かいます。
「アイガー・エクスプレス」は全長6,483mを約15分でぐんぐん登る、先進的なスリーエス索道システムを導入した最新ゴンドラです。スリーエス(3-Seil)とは風に強く揺れにくい、3本ロープを意味するドイツ語。ゴンドラが動くことによって自家発電する仕組みも取り入れています!
標高約2,320mのアイガーグレッチャー駅は名前の通り、アイガー氷河(※ドイツ語でグレッチャーは氷河の意)を望める抜群の立地!スイス料理が食べられるレストランもあるので、ランチを楽しんでからハイキングコースに向かうのもおすすめです。
スイスでハイキングを楽しむ時に、助けになるのが黄色い標識。分岐点でどっちの方向に進むべきか、わかりやすく示してくれます!
高山植物の花畑に囲まれながら、気持ちよくハイキング
出発すると目に飛び込んできたのは、高山植物の花畑!6月〜7月は花を見るベストシーズンで、イエロー、ピンク、紫など、色とりどりの花々が山を覆っていました。
高山植物は丈が低いので、腰を落として近くで見るのがおすすめです。過酷な環境で生き抜き、受粉のためにきれいな花を咲かせる姿はとても健気。人の手が加えられているのではなく、自然に密集して咲いていることに感動しました。
スイスのハイキングで見たい高山植物が、「アルプス三大名花」と呼ばれるエーデルワイス、アルペンローゼ、エンツィアンです。
エーデルワイスは森林限界帯にある石灰質土壌の急な南斜面に生息するので野生を見ることは難しいのですが、赤いアルペンローゼや青いエンツィアンは比較的見つけやすくなっています。
ちなみにアルプスには色や形が異なる約50種類のエンツィアンが生息し、アルプス三大名花のエンツィアンは「コッ ホ・エンツィアン(ゲンティアナ・コキアナ)」。今回コッ ホ・エンツィアンは見つけられませんでしたが、同じリンドウ属の高山植物「スノーエンツィアン」に出会えました。
「ユングフラウ・アイガー・ウォーク」を進んで行くと、ポツンと建つ小さな山小屋が見えてきました。
これは1921年アイガー東山稜(ミッテルレギ稜)の世界初登攀に成功した日本人登山家・槇有恒さんを記念して建てられた初代のミッテルレギ小屋です。
建設費用の半分以上は、槇さんの寄付によって賄われまし た。もともとはアイガー登山コースのミッテルレギ稜に建っていましたが、2001年に立え替えのためその役目を終え、現在の場所に移築されています。
スイスらしいカウベルの音色も!ハイキング途中で出会えた動物たち
リンリンリン…と遠くから聴こえてきたのは、カウベルの音色。
カウベルは霧で視界が悪い時など、牛の位置を把握するために付けられています。カウベルの音を聴きながらのハイキングは、スイスならではです!
ハイキング中、近くに牛はいませんでしたが、帰りの電車から牛たちを近くで見ることができました。
牛のほか、ハイキング途中で出会った動物が「アルペンドール」という黒い鳥。くちばしは黄色、足はオレンジ色となっており、スイスの高山でよく見かけるそうです。写真には撮れないほど素早い、リス科のアルプス野生生物「アルパイン・マーモット」にも出会えました!
ファルボーデン湖が見えてきたら、ゴールは間近。
この湖は人工雪を作るための貯水湖で、風がない日には湖に映る逆さアイガーが見えることもあります!
近くの小さなミュージアムでは槇有恒さんがどのようにアイガー東山稜を登攀したかがわかる、展示もあるのでチェックしてみてくださいね。入場無料です。
本来なら約40分で到着するコースなのですが、1時間以上かけてゴールのクライネ・シャイデック駅に到着!アイガー、メンヒ、ユングフラウ、高山植物にうっとりしていたら、あっという間に時間が過ぎていました。
最後はあと3分で列車が発車…というギリギリの戦いに。電車は余裕のある時刻を調べておくのがおすすめです。
簡単なコースで、初心者でもハイキングを楽しめる「ユングフラウ・アイガー・ウォーク」。
黄色い看板を目印に進めば、ガイド無しでも問題なく楽しめます。服装はトレッキングシューズ、速乾性のある長袖シャツ、トレッキングパンツ、厚手の靴下、帽子、サングラス、雨具を準備しました。「ユングフラウ・アイガー・ウォーク」は6月初旬~10月がシーズンですが、楽園のような花畑を見るなら、6月〜8月のスイス旅行がおすすめです。
ユングフラウ・アイガー・ウォーク
HP:https://www.jungfrau.ch/en-gb/kleine-scheidegg/jungfrau-eiger-walk/
【取材協力】
スイス政府観光局
HP:www.myswiss.jp
ユングフラウ鉄道グループ
HP:www.jungfrau.ch
インターラーケン観光局
HP:www.interlaken.ch