2023年の「ペルセウス座流星群」は13日〜14日の夜中が見ごろ
真夏の風物詩「ペルセウス座流星群」の季節がやってきました。
極大は8月13日の17時ですが、「ペルセウス座流星群」の特徴は、見られる時期(出現期間)が7月下旬から8月下旬と非常に長いことです。
この期間は、ほかにも「やぎ座α流星群」(8月中旬まで)、「はくちょう座κ(カッパ)流星群」(お盆過ぎ、今年は18日が極大)などといった小規模な流星群の見ごろとも重なるので、安定して多くの流れ星が見られます。夏休みに入ったら流星群の季節と覚えておいてください。
もちろん「暗い場所」という条件がつきますが、13日から14日にかけての夜には1時間あたり数十個の流れ星が見られそうです。明るい流星も多いので、多少の町明かりがあっても1時間に数個見られるのが「ペルセウス座流星群」のいいところです。
流星の流れる起点のことを「放射点」といいます。流れ星は夜空のあちこちで見られますが、すべての流星が流れた方向を逆にたどると、放射点に行きつくのです。
「ペルセウス座流星群」の放射点はペルセウスの右肩近くにあります。「ペルセウス座流星群」と呼ばれるのはそのためです。決してペルセウス座から流星群がやって来るわけではありません。
「ペルセウス座流星群」の出現期間が長い理由
「ペルセウス座流星群」の出現期間が長い理由は、母彗星であるスイフト・タットル彗星にあります。
約130年おきに流れ星の原材料を補充するスイフト・タットル彗星
流れ星は、地球の軌道上に残っているチリが大気圏に突入して光って見えるものです。スイフト・タットル彗星は、130〜135年くらいで太陽を一周します。まさにチリツモで、130〜135年おきに流れ星の原材料が補充されていくというわけです。
しかも、彗星が通る位置は毎回微妙に異なり、残されたチリは時間とともに拡散します。 そのため、「ペルセウス座流星群」は毎年コンスタントに長期間にわたって観測されるのです。
ちなみに、3大流星群のひとつ「しぶんぎ座流星群」(1月初旬)のピークは数時間しかありません。
このように流星群によって出現期間に大きな差があり、年によっても出現の仕方は異なります。彗星が残したチリの残り方に差があるためです。
「ダスト・トレイル理論」とは?
この残したチリの状態を明らかにしようという研究から「ダスト・トレイル理論」が生まれました。25年くらい前に生まれた天文学界では新しい理論です。
ダスト・トレイルとは文字通り、ダスト(dust)が通った跡(trail)のことです。
彗星が残していったチリは、そこでジッとしているわけではありません。ほかの惑星の重力、太陽の光など、さまざまな影響を受けてトレイルが変化していきます。その変化にはチリの密度、粒子の大きさなども関係します。
近年は、これらを総合した「ダスト・トレイル理論」から導き出された計算によって、流星群の流れ方が以前よりも正確に予測できるようになりました。
今も語り継がれる2001年の「しし座流星群」の大出現(火球がいくつも流れました)は、ダスト・トレイル理論で予測されていました。原因は、母彗星の直近(1998年)の接近によるものではなく、その前の接近の際に残されたチリによるものだったことがわかっています。
このように流星群の出現予測の頼りになる「ダスト・トレイル理論」ですが、研究は流星群を予測するためだけに始まったわけではありません。
地球の軌道上に残されたチリがどれくらいの頻度で地球に突入するのか、人工衛星などとの衝突リスクの計算。そうしたことを予測するために研究されているのです。
流星群は広い視野で見よう
いずれにしても、流星群の出現についてかなり正確な予測が得られるようになったことに、天文学の進歩を感じます。大出現が期待されたのに大ハズレということも減ってきました。あとは好天を祈るだけです。
流星群を観察するときは、なるべく広い視野を確保することです。放射点ばかり注目している必要はありません。流星はいろんなところから流れるからです。
13日の23時なら、ちょうど夏の大三角が南の空に架かっています。運がよければ大三角を横切る流星が見られるかもしれません。
構成/佐藤恵菜