キャンピングカーを構成する重要な要素のひとつ、収納家具。天井をぐるりと囲むオーバーヘッドコンパートメントや、引き出し式のキッチン収納、跳ね上げ式のベッド下収納など、各社が知恵をしぼって収納スペースを確保しています。
車内という特殊な環境にあるため、振動で勝手に開かないロック機構や、走行時にきしまない構造など、住宅用とはまた違った工夫が凝らされています。
一方で、限られた空間に苦労して確保したスペースであることも多く、「収納しやすさ」という点では住宅用のようにはいきません。
奥行きが深すぎたり、無理な位置にあったり、ベッド展開時には開閉できなかったり……。そのため、それぞれのユーザーが試行錯誤して愛車の欠点を克服し、「快適化」するのがキャンピングカーの醍醐味ともいえるでしょう。
今回は私が実践している収納の工夫や、愛用している市販アイテムをご紹介します。
あちこちで活躍する万能アイテム「フック」
数百円で大小さまざまな種類が手に入る「フック」。車内ではS字フックではなく、ドアフックのような直線的なタイプのほうが安定感があっておすすめです。
100円ショップやホームセンターでは、壁掛け収納のコーナーや、キッチンキャビネットの扉裏収納のコーナーに行くと、よいものが見つかります。
家具などに引っかけることで、簡易的な収納を生み出し、床面積を確保します。
たとえば、車内で転がったり、つぶれたりして欲しくないお土産を吊るす。紙袋に入ったお土産などは、この方法でほぼ変形なく持ち帰ることができます。
また、入浴後に乾かしたいタオルやバスグッズを吊るせば、就寝時の乾燥対策にもなり一石二鳥です。タオルは乾燥しにくい大判バスタオルよりも、薄手のタオルを複数枚用意するほうが効率的です。
タオルのほか、後述するポーチやティッシュペーパー、キッチンペーパーなどもフックに下げられる「ループつき」のものにすると利便性アップ。カラビナなどをつけてもいいですね。あらかじめループが縫い付けられているタオルとしては、IKEAがよく知られます。
吊り下げたものが多くなると見た目が乱雑になるため、私はあくまで一時的、簡易的な収納としています。収納術でいうところの「一時置き場」「仮置き場」のようなイメージです。用が済んだら必ず回収します。
また、フックの素材や形状によってクルマのほうに傷や跡がつくことがあるため、将来的に車両の売却を考えているなら少し注意が必要。テーピングなどで補強したほうがよいでしょう。
深すぎるキャビネットはポーチ収納
ときに深すぎたり、奥行きがありすぎたりして、使いにくいことがあるキャンピングカーのキャビネット。市販のカラーボックスのように可動棚があれば便利ですが、そのようなモデルはあまり見かけません。
住宅のシンク下収納として売られているフリーラックや文具ケースなど、いろいろ試してみましたが、クルマは揺れるので少しでも隙間があると収納物が混ざってしまいます。
キャンピングカーの収納は変則的な形をしていることも多く、隙間なく収まるようなジャストサイズのラックには、なかなか出会えませんでした。
そこでたどり着いたのが、細々したものはすべて大小のポーチに入れて、ポーチごと収納する方法。中身は常備薬、電池、衛生用品、文房具といった生活用品。ポーチなので走行中に上下左右がごちゃごちゃになってもあまり支障がありません。
欲しいものは手を入れて、ごそごそとポーチごと取り出します。あまりスマートではないので、もう少し改良したいところですが、いまのところ「扉を開けたら中身が散乱してがっくり」というストレスからは解放されています。
洗面用具はハンギングポーチに
「ハンギングポーチ」「トラベルポーチ」「トイレタリーバッグ」などの名称で市販されている吊り下げ式ポーチ。移動時にはファスナーなどで留めて持ち運び、ホテルに着いたら開いてバスルームのドアなどに吊るせるものです。
キャンピングカーでは洗面用具の収納に大活躍。以前はひとつのお風呂バッグにアメニティをまとめて収納していたのですが、かさばるうえに乾きにくく、紛失したものがあっても気づかないなど難点がありました。
いまは使用後にすべて水気をきってメッシュポケットに収納し、必要なものだけ抜いて入浴施設などに持参することで、清潔感もアップしました。歯みがきセットなど「車内・車外どちらでも使う」というアイテムにも便利です。
現在は在庫がないようですが、写真はDAISOのトラベル収納ケース(税込330円)。車内にかけたままにするなら、ひとつひとつのポケットにファスナーのないオープンタイプが使いやすく、また薄型のほうが邪魔になりません。
そのままで気に入っている収納
今回は「いかに収納を改良するか」というテーマですが、最後に余談として「そのままでも使いやすく、とても気に入っている収納家具」をご紹介します。
それはベッドの頭の部分に備え付けられている棚。住宅のベッドのヘッドボードのような形状で、ティッシュ、コンタクトレンズ、スマートフォンなど就寝時に身の回りに置いておきたい小物を「ちょい置き」できるスペースです。
これがとても便利!アレンジ不要でそのまま活躍し、愛車の収納スペースでもっとも気に入っている部分です。
最近ではユーザーのカスタマイズを見越し、あえて家具を作り込まずに有孔ボードやTPボックス(コンテナボックス)を採用したり、モジュール家具を組み合わせるモデルもよく見かけます。
100 円ショップやインテリアショップ、ホームセンターなどで愛車にシンデレラフィットする市販品を見つけたときの喜びも、またキャンピングカー遊びの魅力。少しずつ進化していくクルマを楽しみたいですね。