広島県江田島市に「Hawk Nest Family Village」というキャンプ場を個人でオープンしたコージさん。キャンパーが心地よい時間を過ごすため、キャンプ場オーナーは日々どんなことを考え、どのような活動を行っているのか。キャンプ場運営の裏側の1週間をお届けします。第5回の金曜日は、柵などの木製設備の整備です。
第1回目・キャンパーが快適な時間を過ごすための日々の準備とは【キャンプ場オーナーの1週間[月曜日]】
第2回目・猛暑の中で草刈りと熱中症対策を【キャンプ場オーナーの1週間[火曜日]】
第3回目・キャンプ場の敷地外も整備を行う理由とは【キャンプ場オーナーの1週間[水曜日]】
第4回目・取材を通じてキャンプ場の魅力を発信する意義【キャンプ場オーナーの1週間[木曜日]】
木製の設備ならではの整備
金曜日は、まず朝一でビン・缶を捨てに行き、“こだわりの朝食”をいただいて、活動開始!
場内整備の一環で、今日は、周囲の柵の整備。この柵は、伐採した木材を使い、ヒモで結んで組んだだけのものですが、「味がある!」とお客さんには好評です。しかし、伐採して1年以上を経過しており、徐々に腐食が進んでいます。まず、1本1本の木材の樹皮を剥がします。樹皮を剥がさないと芯が腐るからです。
キャンプ場の周囲200mにある柵の1本1本なので何日にも分けて順繰りに、地道に、作業を進めていきます。伐採した当初にやれれば良かったのでは?と思われるかもしれませんが、切ったばかりの木材の樹皮は剥がすのが困難。逆に、1年を経過したころの方が剥がしやすくなります。ただ、このタイミングを逸すると、樹皮の中身の木材の芯が腐食が始まってしまいます。という意味で、絶妙な時期なのかもしれません。
細いノコギリを樹皮と芯の間に突っ込むと、ベラッと剥がれます。きれいに剥がれると、実に気持ち良い。この樹皮を剥がして腐食を防ぐ、という手法は、枯れた大木の腐食防止にも活用しています。枯れた大木は倒木の恐れがあるので、基本的には伐採しますが、一部、ある高さで立木状態に残すものもあります。たとえば常設タープのポールやハンモックのポール代りに活用する立木です。これらも腐食が進まぬよう、樹皮剥がしを行います。
同じく伐採木材を活用して手作りした、迷路があります。この木材も同様の措置として、木材1本1本の樹皮剥がしが必要です。それでもところどころ腐食して折れていたりするので、替えの木材で組み直したりします。これら木材を組み、細引きロープでくくるのですが、KPロープというのが非常に長持ちで良いです。近くのホームセンターでは、かれこれずいぶん購入し、活用しました。
一通り、この樹皮剥がしの作業が終わると(といってもかなり日数がかかったのですが)、今度は防腐剤塗り。防腐剤には、油性と水性があります。油性は木材にしみこんで長持ちしますが、においがきつい。水性はにおいが無いですが、木材にしみこむというより、表面に膜を作る塗料なので、扱いやすいものの長持ちしません。ということで当地では油性を使っています。もちろん、においは我慢して。これまた、一日で全部は塗り切れず、何日かかけて塗っていきます。
この油性防腐剤は、事務棟兼住居のロッジにも自身で塗っています。これもいっぺんには塗り切れず、何日かに分けて塗りこみます。高い位置にはハシゴをかけて塗るので結構気を遣う作業です。透明で色のついていないものを使っているので、木材の風合いが維持できて、とても良い感じです。
しかし、においがきつく、丸一日はそのにおいが消えないので、室内に関しては水性塗料にしています。これら作業は毎年繰り返していれば、基本、長持ちします。だけど、一度欠かすと一気に腐食が進む恐れがあるので、忘れてはならない作業です。
ちなみに、高台にある当キャンプ場の一段下には、公園があります。そこに東屋がふたつあり、その木製の柱やテーブル、椅子などはほっておくと腐食が進むため、地域奉仕の一環で防腐剤塗布を自主的に行っています(防腐剤代は市に出していただいています)。
当キャンプ場の場内には、伐採せずに木陰用に活かしている樹木が多くありますが、松については松くい虫などの影響で何本か枯れてしまいました。枯れた大木を計11本、地元の仲間も手伝ってくれて伐採。また、活きている松は、松ガードという防虫薬を注入しました。1本2300円ほどするのですが、計30本打ち、思わぬ予定外の出費に。
また、松が枯れたために木陰が消えたサイト用に、代わりにモミの木の苗木を植えてみましたが、2本連続で枯れてしまい、うまく生育させることができませんでした。この土地に合っていなかったようで、別の樹木を考えなければなりません。
さて、今日も汗をたっぷりかいたので、シャワーのあとのビールが格別にうまい!明日は、いよいよ週末です。
[土曜日に続く]