キャンプで大活躍する調理器具「ダッチオーブン」、じつはカレーとの相性がバツグンなことをご存知ですか?
ダッチオーブンでカレーを作ると、いつもより美味しく感じるのはどうしてなのでしょうか。
その理由と、基本の無水カレーの作り方、さらにはアレンジレシピまで一挙にご紹介します。
ダッチオーブンでカレーを作ると美味しい理由
なぜダッチオーブンならカレーを美味しく作ることができるのでしょうか。大きく分けて3つの理由があります。
1.ムラなく均一に加熱できる
分厚い鋳鉄やステンレスで作られているダッチオーブンは蓄熱性が高く、食材をムラなく均一に加熱することができます。
また、じっくりと熱が伝わることにより肉や野菜のうま味が引き出されてカレーに溶け込むので、普通の鍋で作るのとは一味違った、まろやかなコクを味わうことができるのです。
2.圧力効果で食材をジューシーに調理できる
ダッチオーブンのフタは重く、本体にのせれば密閉性を高めて圧力効果を生み出します。
圧力をかけられた食材の繊維は柔らかくほぐされ、スパイスの香りが絡みやすくなって一層風味豊かに。
また、食材そのものの水分を保持したまま煮込むことができるので、硬い肉でもジューシーに仕上がるのです。
3.食材のうま味を逃さない
調理中、ダッチオーブンの鍋の中では食材から出た水蒸気が充満するため、内部の圧力が高まってフタを持ち上げようとします。
このとき、食材から出た水蒸気が鍋とフタの隙間を埋めようとするはたらきを「ウォーターシール効果」と呼びます。
このウォーターシール効果のおかげで鍋の密閉性がさらに高まり、食材のうま味やスパイスの香りを逃すことなく調理することが可能に。
もちろん、食材の水分を生かしたいわゆる「無水調理」にも適しているので、濃厚な味わいのカレーを作ることができるのです。
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基本の無水カレーの作り方
ここではご紹介した3つの理由を踏まえた上で、基本の無水カレーの作り方を5つのステップに分けてご紹介します。
材料(4人分)
- 鶏もも肉 400g
- トマト 4個(約800g)
- 玉ねぎ(大) 1個(約370g)
- 塩コショウ 少々
- オリーブオイル 大さじ2
- クミンシード 適量
- にんにく 4片(約20g)
- しょうが 約20g
- カレールウ 1/2箱(70g)
作り方
1.食材の下ごしらえをする
まずはトマトのヘタを取り、大きめの角切りにしていきます。
トマトは断面から水分が出やすい野菜なので、小さく切ると無水カレーにとって重要な水気を失ってしまいます。
ダッチオーブンで煮込めば皮の食感も気にならないほどトロトロに仕上がるので、ここではざっくり大きめに切っておきましょう。
続けて、玉ねぎを1cm角の角切りにしていきます。
角切りにした玉ねぎはダッチオーブンで調理するとじっくりと熱が通って、甘みがグッと引き出されてカレーにコクをプラスしてくれます。
なお、とろりとした食感に仕上げたい場合は、薄切りにするのもおすすめです。
さらに、にんにくとしょうがをすりおろしていきます。ちなみに、しょうがは皮の近くが香りも辛みも強いので、そのまま調理するのがおすすめです。
おろすときは薬味用のおろし器や、100円ショップなどで販売されているシェラカップ用おろし器などがあると便利ですが、無い場合はみじん切りでも大丈夫です。
下ごしらえの最後は鶏もも肉。こちらは食べやすい大きさに切っていきましょう。
なお、キャンプで作る場合は自宅であらかじめ切っておくか、スーパーなどで販売されているカット済みのものを利用すると便利です。
2.スパイス類を炒める
ダッチオーブンにサラダ油を熱したら、クミンシードを加えて極弱火でテンパリングを行います。
テンパリングとは油にスパイスの香りを移す作業で、いわば「カレーを香ばしく仕上げるための肝」と言える調理工程なので、焦がさないようにじっくり炒めていきましょう。
香りが立ってきたらおろしたにんにくとしょうがを投入。こちらも弱火で、ヘラなどで混ぜ炒めていきます。
3.具材を炒める
にんにくとしょうがの香りが立ってきたら玉ねぎを加えます。スパイスの香りを絡ませながら、しんなりするまで炒めていきましょう。
続けて、鶏もも肉を加えて炒めます。このあと煮込むので、鶏もも肉は完全に火が通らなくてもOKです。表面の色が変わるまで炒めたら、次の工程へ進みましょう。
4.トマト、ルウを加えて煮込む
トマトをヘラで潰しながら加えます。最初は果肉感がありますが、加熱しているうちに…。
写真のように、しっかり水分が出てきます。
トマトからたっぷり水分が出てきたところでルウを溶かし入れます。ルウを加えるときは耐熱性のお玉があると便利ですが、刻んで入れたり、フレークタイプのものを利用したりするのもおすすめです。
あとはフタをして、焦げないようにときどき様子を見て混ぜながら、弱火で40分ほど煮込んでいきます。
煮込み終えてフタを取ってみると、ご覧のとおり無水カレーの完成。スパイスの香ばしい香りが鼻孔をくすぐります。
5.盛り付ける
お皿にごはんとカレーをたっぷり盛り付けて完成!
食材の水分だけで作ったカレーはうま味が凝縮されていて、一度食べたらやみつきに。これを食べてしまうと、もう普通のカレーには戻れないほど濃厚な味わいです。
ダッチオーブンを使ったアレンジカレーレシピ3選
ダッチオーブンを使えば、いろいろな味わいのカレーが思いのまま。ここでは、アレンジレシピを3つご紹介します。
バターチキンカレー
1品目は濃厚でクリーミーなバターチキンカレー。ダッチオーブンで作れば、簡単にお店のような味わいに仕上げることができますよ。
材料(4人分)
- 鶏もも肉 400g
- 玉ねぎ(大) 1/2個(約180g)
- 有塩バター 50g
- 牛乳 100ml
- 生クリームまたはコーヒーフレッシュ お好み
☆鶏もも肉の下味
- プレーンヨーグルト 200g
- おろしにんにく 小さじ2
- おろししょうが 小さじ2
- カレー粉 大さじ2
★調味料
- カットトマト缶 1個(400g)
- 鶏ガラスープの素 小さじ2
- 塩コショウ 少々
作り方
【1】鶏もも肉は食べやすい大きさに切り、保存袋に☆を入れて揉み込み、20分ほど置いておく。
【2】玉ねぎはみじん切りにする。
【3】ダッチオーブンに有塩バターを入れて熱し、2を入れてしんなりするまで弱火で炒める。
【4】3に★、1を調味料ごと加えて混ぜ、煮立たせたらフタをして弱火で20分ほど煮込む。
【5】4に牛乳を加えて混ぜて、ひと煮立ちさせたら火から下ろす。
【6】器に盛り付けて、お好みで生クリームをかけて完成。
ポイント
鶏もも肉は「20分ほど置いておく」としていますが、時間は長くなっても構いません。そのため、キャンプで作る場合は自宅で漬け込んだものを持っていくのもおすすめ。
また、ごはんと一緒でも美味しいですが、ナンと合わせて食べればより本格的な雰囲気に。煮込んでいる間に焼いておけば段取りもスムーズですし、ナンで拭って食べればダッチオーブンやお皿のお手入れもちょっぴり楽になるおまけ付きです。
夏野菜のキーマカレー
2品目は夏野菜がたっぷりのキーマカレー。挽き肉、ホールトマト缶を使うので、意外とスピーディーに作れる一品です。
材料(4人分)
- ごはん 4人分
- 合い挽き肉 250g
- ホールトマト缶 1個(400g)
- なす 1本(約160g)
- ピーマン 2個(約70g)
- 黄パプリカ 1/2個(約100g)
- 玉ねぎ(大) 1/2個(約180g)
- にんにく 2片(約10g)
- しょうが 10g
- オリーブオイル 大さじ1
- カレールウ 1/2箱(70g)
- 塩コショウ 少々
作り方
【1】なす、ピーマン、黄パプリカは2cm角に切る。
【2】玉ねぎ、にんにく、しょうがはみじん切りにする。
【3】ダッチオーブンにオリーブオイルを熱し、2を加えて弱火でしんなりするまで炒める。香りが立ってきたら合い挽き肉を加え、色が変わるまで炒める。
【4】3になす、ピーマン、黄パプリカを加えて油をなじませながら1~2分混ぜ炒めたら、ホールトマト缶を潰しながら加える。フタをして弱火で10分ほど煮込む。
【5】一度火を止め、鍋にカレールウを溶かし入れたら再度とろみが付くまで加熱し、塩コショウで味を調えて火から下ろす。
【6】お皿にごはんを盛り、5をかけて完成。
ポイント
酸味を抑えたい場合はカットトマト缶を利用したり、ヨーグルトをプラスしたりしても美味しいです。また、唐辛子やスパイスで辛みを加えても美味しいですよ。
3種のきのこカレー
最後はうま味たっぷりのきのこカレー。きのこの風味を生かすためにあえて水を利用、さらに包丁いらずで作れて、キャンプ飯にピッタリの一品です。
材料(4人分)
- ごはん 4人分
- 豚細切れ肉 約250g
- しめじ 1株(130g)
- まいたけ 1パック(100g)
- エリンギ 1パック(130g)
- サラダ油 大さじ1
- おろしにんにく 小さじ2
- 水 600ml
- カレールウ 1/2箱(約70g)
- 刻みパセリ 適量
作り方
【1】しめじは中央から引き抜いてほぐす。まいたけもほぐす。エリンギは縦に裂く。
【2】ダッチオーブンにサラダ油を熱し、1、おろしにんにくを加えてしんなりするまで炒める。
【3】2に豚こま切れ肉を加えて色が変わるまで炒めたら水を加え、煮立たせてアクを取る。
【4】3にカレールウを加えて混ぜ、フタをしてときどき焦げないように混ぜながら弱火で20分ほど煮込む。
【5】器にごはんとカレーを盛り付け、ごはんに刻みパセリをちらして完成。
ポイント
豚肉は油が多めの細切れ肉やバラ肉がおすすめ。ダッチオーブンのおかげで、お安い肉でもジューシーかつ風味豊かに仕上がります。きのこのうま味もたっぷりです。
なお、アクはクシャクシャにしたアルミホイルを表面に当てるようにすれば、簡単かつキレイに取ることができます。
ダッチオーブンで自分だけのオリジナルカレーを作ろう!
「キャンプ飯と言えばカレー」という方は、ダッチオーブンで作ればより濃厚な味わいが楽しめて、今よりもっとやみつきになるはず。
ぜひ記事を参考にいろいろな具材やスパイス、トッピングを試してみて、ダッチオーブンで自分だけのオリジナルカレーを作ってみてくださいね!
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