8月も20日を過ぎ、夏休みもあとわずか。今回は、星空観測にぴったりの2つのトピックをご紹介しましょう。
8月22日は「伝統的七夕」!
8月22日は伝統的七夕です。毎年7月7日にやってくる七夕は新暦。これに対して、旧暦の七夕は年によって日付が変わります。
本来、七夕は月の満ち欠けに準じた暦(旧暦)の7月の行事で、「新月の日から7日目の夕べ」に行われるものでした。今年の場合、旧暦7月7日に相当するのは8月22日です。新月の日から7日目ですから、月はだいたい半月です。
もちろん地域差はありますが、8月後半の夜空には、21時くらいに夏の大三角が大きく架かり、雄大な姿を見せています。
7月の七夕あたりの同じ時間帯では、まだ夏の大三角は東の空に昇って間もないですし、梅雨時で曇りがちなことが多いものです。七夕の織姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)のロマンスも伝統的七夕の晩のほうが可能性は高そうです。
今年一番大きな満月“スーパームーン”は“ブルームーン”
8月30日から31日にかけての夜に見える満月は、今年一番大きく見えるスーパームーンです。
月は地球との距離、およそ35万〜40万キロメートルの間で回っていますが、満月の瞬間である8月31日10時40分は、35.73万キロメートルまで近づきます。
実際にどれくらい大きく見えるでしょうか?というと、ふつうに目視して「たしかに大きい」とわかるほどの違いを見出すのはむずかしいかもしれません。なぜなら、見かけの大きさは平均的な月の大きさと比べて7〜8%くらいしか違わないからです。
満月の見かけの大きさは、伸ばした腕の先の手に持った5円玉の穴にすっぽり入るくらいです。それが7%大きくなっても、ちょっとわかりにくいでしょう。
しかし、8月31日のスーパームーンにはもうひとつ、話題があります。ブルームーンなのです。
現在の暦は月の満ち欠けとは別のサイクルを使用しているため、ごくたまにひと月の間に2回、満月が訪れる月があります。その2回目の満月をブルームーンと呼びます。
8月は2日が満月だったので、31日のスーパームーンはブルームーンでもあるのです。
ブルーといっても青く見えるわけではありません。では何がブルーなのかというと、その由来は諸説あってはっきりしません。
最近は、「スノームーン」(2月の満月)、「ピンクムーン」(4月の満月)といった呼び名を見かけるようになりましたが、これらは北米のネイティブ・アメリカンが使っていた月ごとの満月の呼び名です。
しかし、この呼び名の中に「ブルームーン」はありません(ちなみに8月の満月は「スタージョンムーン」。スタージョンとはチョウザメのことです)。一方で、ブルームーンにはもともと「めずらしさ」を表す意味合いがあったそうです。
ブルームーンがめずらしいことは事実です。月の満ち欠けのサイクルはだいたい29.5日。ひと月は30日か31日ですから、少しずつ月の満ち欠けとズレていきます。うるう年と同じで、2〜3年に1回くらいの頻度で、ひと月に2回、満月が巡ってくることになるのです。それが今年はスーパームーンなのですから、さらにめずらしいと言えるでしょう。
200キロの違いを見分けられるか?
月と地球の距離は、2日が35.75万キロメートル。31日が37.73万キロメートルですから、約200キロしか違いません。これを地上で見分けるのは…至難の業でしょう。
ただ、写真に撮って比較するという手はあります。
この後の満月は少しずつ小さくなっていくので、毎回撮影して見比べているうちに、ちょっとした変化がわかるようになるかもしれません。夏休みの宿題には間に合いませんが、満月の楽しみ方が広がります。来月には中秋の名月が待っています。その前に、31日の好天を願いましょう。
構成/佐藤恵菜