芸人は、絶対スベれない、というメンタルで常に活動しているから、日々、緊張感が半端ない。それが、5年ほど前からソロキャンに行くようになって、心に余裕が生まれた。スタジオでスベっても、“オレには自然がある”
不思議な自信がついて、リラックスして仕事に臨めるようになった。
ソロキャン含め、ソロ活って、新しい居場所ができることなんじゃないかな。
オレはどっちかというと、ソログルのほうが好きだけど、どうしても誰にも言わず、ひとりでキャンプに行きたくなるときがある。なんでなんやろうなぁ。
自分でこれやりたい、って新しい何かを思いついたタイミングは、誰かを誘おうっていう気持ちにならない。まあ、そういう衝動に付き合える友達っていうのもなかなかいないと思うけど。それに、面倒臭くなったら行かなきゃいい。
ソロ活する理由。必要というよりも、ただただ、楽しいから。これやらないで休みは家で過ごすって、キツイよなぁ。
ミニマムだけど満喫できるソト遊び術拝見 爽快「ハンモックキャンプ」
@河口湖周辺(山梨県)
難易度 ★★★★
自分のやり方で自分だけの時間を自由に楽しむ
「以前、何回かハンモックで寝てみたんだけど、肌に合わなくてさ。だって、朝起きたら地面に着いてたりするのよ。でも友達に誘われて久々にやったら、お、できるね〜って」
そんなわけで、いまはハンモックスタイルのソロキャンに凝っている、お笑い芸人のじゅんいちダビッドソンさん。キャンプ道具を車から降ろしつつ、蚊取り線香に火をつける。
「虫、キライなのよ。夏のキャンプは、これがね」
倒木を見繕い、蚊取り線香を据えたら、手ごろな木を選び、ハンモックを張る。
「ハンモックから寝酒が取れる場所にテーブル置いて……」
ランタンを落ちている枝に吊るす。あっという間にサイトが完成。その時々で思いついたことを実行するのが、じゅんいちさんのキャンプスタイルだ。
「よく、焚き火をしてひとりになる瞬間が堪らない、なんて人もおるけど、オレはそんなこといわん。キャンプはとにかく遊びの一環で、楽しいからやる。テント立てて火おこして、食事して寝る。スタートから終わりまで全部ひっくるめてキャンプで、それ全部が好きなんで」
ソロキャンプで何をするのが好きですか? と聞かれることがあるが、何が好きかは日によって違うし、常に決定されていないのが楽しいのだとも。
「だって、サッカーって、サッカー自体が好きで観に行ってるでしょ。コーナーポールが好きでそれだけを観に行ってる奴なんておらんのと同じよ」
最後まで変わらないのは、自分のやり方で自分だけの時間を自由に楽しめること。
「でもさ、ソロキャンは好きだけど、ソログルはもっと好き(笑)。使ってる道具もスタンスもソロキャンと変わらないんだけど、場所だけ共有して、喋りたくなったら友達と喋る。帰る時間も自由だから、朝起きたら誰もおらんときもある」
ソログルの際も、自分のテントに籠って、ネットフリックスでダウンロードした映画や、漫画を読みふけることも多々。
「ソロキャンやりたいなら、最初はソログルで行ってみるといい。いきなりひとりでキャンプ道具そろえて行くって、相当の強者。オレだって最初怖かったもん。でも、それでも行くってなんでかね。ま、好きなことをやるのに理由はいらないか」
ある日のソロキャンプの時間割
12:30
午後イチには目的地に到着し、設営開始
ミントグリーンに塗装したチェロキーが相棒。キャンプギアはスタイルに合わせて変える。
道中、地元の無人販売で薪を購入(安い!)。
13:00
小物は枝使いでブッシュクラフト風に
倒木の枝に蚊取り線香(パワフルな太巻使用)を刺し、場を整える。
拾ってきた枝を地面に突き刺し、ランタンポールに。
道具は一切使わず、ブッシュクラフト風に完成。
13:30
自然の着火剤を利用して火をおこす
直火OKなので地面の落ち葉を払い、太い薪を置いて火床が完成。マッチ付きの着火剤に火をつけ、
拾った松葉などで火をおこす。
真鍮を使った「ZEN」の火吹き棒を愛用。
14:00
お手軽トライポットでビールのつまみの燻製ベーコン作りにトライ
まずはトライポッド用の枝を3本ゲット。
持参したベーコンを吊るせるように針金を巻く。「オペやん」。
3本の枝を三脚の形にしつらえ、針金で巻きつつベーコンを吊るす。
15:00
今日の隠れ家で有意義な時を過ごす
「あ〜〜低すぎた!?」。沈み込みが少なく、虫除けネット付きのローソンハンモックがお気に入り。
テーブルを手の届く位置に設置。相棒はビール!
緑を眺めつつ、
『呪術廻戦』を読みふけるのが好き。
じゅんいち流ソロキャンプの楽しみ方
1 他人の理解はいらない
2 ただの遊びと心得る
3 理由は楽しいだけでいい
※構成/大石裕美 撮影/柏倉陽介
(BE-PAL 2023年9月号より)