山を歩いてたどり着いた秘湯に浸かる。至福のひとときだ。なによりも自分のペースで過ごせるのがなんとも気持ちいい。そこで、楽しく歩ける秘湯情報をご紹介!
アウトドアソロ活「極上の6湯」
チングルマの楽園の先にある秘湯
中岳温泉(北海道)
徒歩約2時間30分 難易度 ★★
●コースタイム:ロープウェイ姿見駅(1時間30分)-裾合平分岐(1時間)-中岳温泉
●アクセス:JR旭川駅から旭岳ロープウェイ山麓駅まで車で1時間10分。旭岳ロープウェイ姿見駅から徒歩約2時間30分。
大雪山系の主峰旭岳の中腹・姿見駅から、中岳の中腹に湧く秘湯「中岳温泉」を目指すコース。途中、旭岳の噴気孔や、希少な動植物たちに出合うことができる。中でも心を奪われるのは、一面に咲く裾合平のチングルマだ。
7月下旬ごろまでは白い花を咲かせ、8月下旬ごろからは綿毛と紅葉した葉が真っ赤なじゅうたんのように輝く。目的地までは比較的平坦な登山道で、道標もあるため、登山初心者でも安心して楽しめる。登山道脇に作られた野天風呂は泉質も眺めも最高だ。
シーズン中の「中岳温泉」は登山者の憩いの湯となる。
裾合平のチングルマ。8月下旬ごろからは綿毛に変わる。
最上流の秘湯を目指す軽登山
赤湯温泉 山口館(新潟県)
徒歩約2時間20分 難易度 ★★★
●コースタイム:小日橋(50分)-棒沢橋(30分)-鷹ノ巣峠(60分)-赤湯温泉「山口館」
●アクセス:JR越後湯沢駅から小日橋の駐車場まで約40分。小日橋の駐車場から赤湯温泉山口館まで徒歩約2時間20分。
苗場山南麓にある小日橋のゲートから、五合目の「赤湯温泉山口館」へ向かう登山コース。始めは、清津川に沿って歩くので、川の眺望を愛でながらハイキング気分を味わうことができる。
棒沢からは一気に登山道らしくなるので、踏ん張りどころ。清津川の最上流部に湧く「山口館」周辺は、河原の至る所から湯が湧く温泉天国。宿の露天風呂「玉子の湯」は、黄金色に輝く湯が溢れ、開放感も抜群! 大自然に抱かれながら湯浴みをすると、ずっとここに居たくなる。
「玉子の湯」の付近の河原からは、同じ黄金の湯が自噴する。
登りが始まる前に清津川の眺望に癒やされよう。
探検気分を味わえる湿原ハイキング
草の湯温泉(岩手県)
徒歩約30分 難易度 ★
●コースタイム:草の湯コース登山口(30分)-草の湯
●アクセス:JR盛岡駅から草の湯コース登山口まで車で約1時間30分。登山口から草の湯まで徒歩約30分。
八幡平市安比高原にある草の湯コース登山口から八幡平山頂に向かうトレッキングコースの途中、登山道脇にある野湯「草の湯」で折り返す、片道30分のお手軽コース。所要時間は短いものの、ミズバショウが群がる湿地帯や、小川を2回ほど渡るなど、ちょっとしたアドベンチャーを満喫できる。
ぬかるみが幾つかあるので、足元は防水のトレッキングシューズや長靴がお薦め。緑に包まれた登山道から視界がパッと開け、登山道脇に乳白色の川と露天風呂が現われる瞬間は感動もの。
岩の切れ目から自噴する36度Cのぬる湯。夏に最適な温度。
温泉手前の湿池帯。樹林帯から抜けると前方に杣角山が。
シラビソ林の水鏡に息をのむ
本沢温泉(長野県)
徒歩約3時間 難易度 ★★★
●コースタイム:みどり池入口(1時間50分)-みどり池(1時間10分)-本沢温泉
●アクセス:JR佐久平駅からみどり池入口まで車で約50分。みどり池入口から徒歩約3時間。
八ヶ岳の東側の山腹に位置する稲子湯前から登山道に入り、みどり池を経由し、標高2,1
50mの「本沢温泉」までのハイキングコース。登山口から登ること約2時間でたどり着くみどり池、ここで景色を愛でながらひと息つきたい。
緑色に輝くシラビソ樹林と背景にある天狗岳を水面に映し出す水鏡は、登った人だけが出合える感動の景色だ。みどり池からの道は平坦で、途中の湿原も楽しい。ゴツゴツとした河原、背景に佇む硫黄岳、秘湯感バツグンの野天風呂だ。
ぬるめでこの時季に浸かりたい「本沢温泉」の野天風呂。
樹林や苔など、名前のとおり緑に抱かれたみどり池。
活火山のガレ場歩きを楽しむ
三斗小屋温泉 煙草屋旅館(栃木県)
徒歩約2時間10分 難易度 ★★
●コースタイム:峠の茶屋(40分)-峰の茶屋(20分)-那須岳避難小屋(1時間10分)-三斗小屋温泉
●アクセス:JR那須塩原駅から車で峠の茶屋まで約50分。峠の茶屋登山口から三斗小屋温泉まで徒歩約2時間10分。
那須岳の玄関口ともいわれる「峠の茶屋」駐車場の登山口から、秘湯「三斗小屋温泉」を目指す初心者用登山コース。コースの魅力は、活火山特有のガレ場歩きと樹林帯歩き、両方が楽しめるところ。
「峰の茶屋」から「那須岳避難小屋」からの下りは、活火山特有の赤茶けた岩が転がっており、滑りやすいので注意しながら進もう。後半は、木々のトンネルや湧き水もあり、思わず休憩したくなるポイントばかりだ。露天風呂は山の尾根と雲が目の高さにくるので絶景も楽しめ、本当に気持ち良い。
携帯電話も通じない山奥の秘湯。開放感がすごい。
「峠の茶屋」と「峰の茶屋」の中間にある石積みの道標。
貴重な植物に出合える
法華院温泉山荘(大分県)
徒歩約2時間50分 難易度 ★★
●コースタイム:長者原登山口(1時間30分)-雨ヶ池越(1時間)-坊ガツル(20分)ー法華院温泉山荘
●アクセス:JR豊後中村駅から長者原登山口まで車で約50分。長者原登山口から徒歩約2時間50分。
長者原登山口から雨ヶ池経由で「法華院温泉山荘」まで行くコース。「法華院温泉山荘」へ行く多様なコースの中でも、「九州自然散策路」を通り抜ける、このコースが最も緩やか。特に人気のシーズンが、ミヤマキリシマ(国指定天然記念物)が咲く初夏、そして、湿原坊ガツルがススキで埋めつくされる秋だ。
木道に沿って湿原を歩くのは最高! 「法華院温泉山荘」の泉質は、"傷の湯"ともいわれる硫酸塩泉。白い湯の華が舞う源泉かけ流しの湯は、いつまででも入っていられる心地よさだ。
天然の保湿成分メタけい酸が豊富に含まれる。
湿地帯雨ヶ池。木道脇にミヤマキリシマが咲き誇る。
※構成・写真/渡辺裕美 協力/白馬山案内人組合・利部 誠、小俣美和子
★営業期間その他は取材時の情報です。最新情報はHPなどでご確認ください。
(BE-PAL 2023年9月号より)