確かに、数日~数週間かけて作る本格的な燻製は大変。しかし、下ごしらえが楽な食材を使えば、とっても簡単に燻製は作れてしまうのです。
この記事では、アウトドアのプロがおすすめするお手軽で簡単な燻製のやり方をまとめました。燻製に挑戦してみたい初心者の方も、「キャンプの食事がマンネリ化している」という方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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燻製とは
そもそも燻製とは、木材などを燃やした時に出る煙を、ベーコンやチーズなどの食材にかけて風味をつける調理方法です。もともとは、燻煙により殺菌成分を食材に浸透させるとともに、水分を飛ばすことで食材を長期保存するための加工技術でした。現在では腐食を防ぐ目的よりも、燻煙の香りを楽しむ目的で行なわれることがほとんどです。
食材を燻すために必要なのが、木材を細かく砕いた燻製チップ(スモークチップ)や、細かく砕いた木材を棒状に再形成した燻製ウッド(スモークウッド)です。サクラ、クルミ、リンゴ、ブナは特に人気の木材で、種類によって香りが異なります。
初心者におすすめの燻製チップ
燻製チップにはいろいろな種類があります。そのため、何度か燻製作りに挑戦し、自分好みの香りを見つけたいものです。ホームセンターやアウトドアショップで売っている燻製チップは、500g~と量が多いものがほとんど。頻繁に燻製をしない人はこの量を使い切るのが大変なので、「試しに燻製をしてみたい」「自分好みの香りを探したい」という場合、低容量のセリアの燻製チップは使い勝手がいいです。また、パッケージに使用方法や注意事項が書かれているので、初心者でも使いやすいのが嬉しいポイントです。
セリアで購入できる燻製チップ
筆者が行った店舗は、ミックス、サクラ、クルミというラインナップでした。逆にデメリットを挙げるとすれば、「コスパがイマイチ」。例えば、アウトドアブランドのSOTO(ソト)の燻製チップは、500gが500円ほどで販売されているので、価格は倍程度の計算になります。頻繁に燻製をする人は、大容量のお得用を購入した方がいいかもしれません。
セリアの燻製チップで燻製作り
実際にセリアの燻製チップを使って、燻製作りをしてみました。今回は、CAPTAIN STAG(キャプテンスタッグ)のバーベキューコンロで、炭を熱源にして燻製しています。炭に直接燻製チップを振りかけて燻煙を出したり、ガスコンロとフライパンを使ったりと、専用の燻製器を使わずに作る方法はたくさんありますので、今回紹介する方法は一例として参考にしてください。
まず、炭をおこします。その後、火の勢いが落ち着き、炭の一部が赤くなったらスモークチップの出番です。
スキレットに燻製チップを入れて、炭の上に置きます。しっかり香り付けしたかったので、今回は燻製チップを40gほど使いました。
これで、燻製の準備は完成です。
網の上に食材を置いたら、ドーム状の蓋をかぶせて、お好みの時間燻していきます。
軽めに燻製したいものは、10分くらいで取り出しましょう。これで、燻製は完了です。とても簡単にできることが、お分かりいただけたのではないでしょうか?
セリアの燻製チップも、実際に使ってみた結果、色付きや香りが悪いということはなく、しっかり燻製されていました。
初心者にもおすすめ!燻製にぴったりな5つの食材
食材を漬け汁につけたり、塩漬けしたりして作る本格的な燻製は格別です。でも、キャンプで食べるのであれば下ごしらえが簡単で、短時間でできる食材がいいですよね。ここでは、仕上がりも絶品な、初心者にもおすすめの燻製食材を5つ紹介します。
燻製にぴったりな5つの食材
【1】チーズ
チーズの燻製は定番中の定番!熱を加えても溶けにくい、プレーンのプロセスチーズが燻製に向いています。溶けやすいモッツァレラチーズや、もともと香りが強いブルーチーズは避けた方が無難です。
【2】ウインナー
簡単に、ガッツリ系の燻製を作りたい人におすすめです。冷蔵庫でラップをせずに、1時間程度乾燥させたものを燻製しましょう。皮に包まれているおかげで、中のお肉はジューシーなまま!ビールのおつまみに最適です。
【3】ちくわ
ちくわは、30分ほど乾燥させて燻製しましょう。淡白なちくわが燻製の香りをまとって、食べ応えのあるおつまみになりますよ。水分が抜けるので、歯ごたえがよく、魚の旨味が凝縮された感じがします。七味マヨネーズをつけて食べるのがおすすめ!
【4】エリンギ
燻製といえば、肉や魚のイメージが強いですが、野菜やきのこの燻製も美味しいです。エリンギは淡白な味わいなので、どんな燻製チップでも相性が抜群。ちょっと厚めに切ると、エリンギ独特のコリコリとした食感を楽しめます。仕上げに塩を振って食べるのがおすすめです。きのこ類は意外と水分が多いので、中火~強火で燻製するといいでしょう。
【5】ポップコーン
ポテトチップスを燻製にすると美味しいのはよく知られていますが、ポップコーンもおすすめです。スモーキーな香りがプラスされ、大人が喜ぶお菓子に!焦げやすいので短時間、弱火で燻製するのがポイントです。
▼参考記事
燻製の種類
「燻製は温度帯によって3種類に分類できます」と服部さん。
【1】熱燻
80度C以上の高温で食材に火を通しながら燻す。
【2】温燻
30~80度Cの煙でじっくり燻す。
【3】冷燻
30度C以下で食材に火を入れたくない。
「初めてならスモークウッドとダンボールを使った手軽な温燻や、あまり温度の上がらない固形燃料を使うのもいいでしょう」とのことです。
お手軽&お手製燻製機で燻製する
燻製機で燻製する
【1】スモークウッドを使ったダンボール燻製
スモークウッドは火を点けたら熱源不要で放っておけるのが大きな魅力。ダンボール燻製器は紙でも2~3回は繰り返し使えます。
ダンボールの上から1/3くらいの位置に切り込みを入れて(2か所)、網を渡します。
上の写真のようにスモークウッドを白くなるまで十分熱し、ダンボールを上から被せます。
網の上にそのまま食べられるチクワやカマボコ、チーズを置きます。
上部を閉じてフタをしたら、飛ばないように重しを乗せ、2時間ほど燻せば完成です。
【2】登山でも楽しめるメスティン燻製
鍋を傷めないよう、短時間で仕上げるメスティン燻製。中火で煙を立たせたら、弱火にして燻すのがコツです。
底にチップを敷き、ロストルをセットして食材を乗せ、火にかけます。
煙が出たら弱火にし、フタをずらして被せ20分ほど燻します。
【3】100均アイテムと固形燃料のお手軽燻製
100均のボウル、網、取っ手で作るお手軽燻製器。ステンレスが薄いので、熱源は火力の弱い固形燃料を組み合わせます。
旅館の料理に使われる固形燃料(これも100均)で30分ほど燻せばOK!
底にチップを入れ網の上にチーズを並べ着火。
水滴が出たら拭きます。
フタをして飴色になるまで燻します。慣れるまでは何度か開けて確認をしましょう。
【4】おうちキャンプにおすすめ お鍋燻製
家の鍋を使って熱燻にチャレンジ。30分ほどの短時間燻製に最適です。ボウルを利用して円形のフタを作れば、中が結露しても安心。
鍋にチップを敷き、網に、容器に入れたナッツを乗せ煙が出たらフタをします。
煙が通り、かつナッツがこぼれないこし器を活用して燻製。非常〜に香ばしく、熱々を食べてもおいしいです。
【5】憧れのベーコンに挑戦できるバケツ燻製
しりつぼみになったバケツは網が自動的に引っかかるので燻製器が作りやすいです。深さもあるので、豚バラや魚など、大きな食材が乗せられます。
バケツの下部に電動ドリルで空気穴を開けます。ぐるりと一周、等間隔にします。
ボウルの底に取っ手を取り付け、左右2か所に空気穴を開けフタにします。
塩麹200gと酒粕50gを混ぜ、豚バラ(500g)を5日間漬け込み、水に浸けて塩抜きし冷蔵庫で1日脱水。
炭火で表面を乾かします。
チップを入れ、
燻します。
約1時間燻して表面が色づけばOK。1日寝かせます。
中まで火は通ってないので焼いて食べます。
魚もまずは炭火の上方に置き、表面を乾燥させます。水分が出たら拭き取りましょう。
乾いたら炭の上にチップを散らし、煙が出たらフタをします。炭の代わりにバーナーにかけるのも◎。
▼参考記事
初心者におすすめ!SOTO「燻家 スモークハウス」を使ってみる
SOTO「燻家 スモークハウス」を使ってみる
SOTO「燻家(スモークハウス)」で諦めていた燻製にチャレンジ!
キャンプを始めて数年。筆者は様々なキャンプ飯を作ってきましたが、手を出していなかったのが「燻製」でした。
燻製は「玄人のキャンパーさんが作るもの」「手がかかって大変そう」というような印象があり、作ってみたいと思いながらも、チャレンジしたことがありませんでした。燻製に憧れを持つ中で、ある時SOTO(ソト)から発売されている「燻家(スモークハウス)」を見つけました。
ダンボール製の箱を使用して燻製を作ることができる商品で、シンプルな構造。さらに、およそ1400円とリーズナブルな価格。諦めかけていた燻製ですが、これなら初の燻製でも安心してチャレンジできそうだと感じ、購入&使用してみました。
そこで今回は「燻家(スモークハウス)」の使用方法や、使用して感じたおすすめポイントをご紹介します。燻製に興味はあるけど手が出せていない、という方はぜひこの記事を参考にしていただければと思います。
燻家(スモークハウス)を使ってみた!
実際に燻家(スモークハウス)を使った、燻製の様子をご紹介します。今回は温燻に挑戦します。所要時間は30分~1時間半ほど。
さっそく準備をしていきます。
セット内容は以下の通り。
スモーカー本体
スモークウッドミニ
金網
アルミ皿
金棒2本
フック4個
燻製に必要な道具は、全て揃っています。
ダンボール製のスモーカーは、簡単に組み立てることができます。初心者にはありがたい仕様です。
側面に手順が書いてあり、そちらを参考に組み立てましたが、5分とかからず終わりました。
次は燻製の要となるスモークウッドに火をつけていきます。
今回使用する食材はベーコン、チーズ、煮卵、ゆで卵。
燻製後、どのような仕上がりになるのか楽しみです!
スモークウッドをアルミ皿に乗せ、段ボールの底へ入れます。その上の空間に金棒を通し、食材を乗せた金網を設置して、準備完了です。
燻製開始後、試しに30分で一度様子をみてみました。チーズには色がつき始めてきたものの、まだ水分がかなり残っている様子。あと1時間ほどじっくり燻製することにしました。
この時は1時間半経ったところで、食材を取り出しました。燻製した食材を食べてみたところ、どの食材も香ばしく、ほど良く水分が飛んでいて、非常に美味しく食べることができました。
簡易的なキットだったので、どのような仕上がり具合になるのか多少の不安がありましたが、本格的な燻製が楽しめるアイテムであると実感しました。
燻家(スモークハウス)のおすすめポイント
実際に使用して感じた燻家(スモークハウス)のおすすめポイントをご紹介します。
片付けが簡単
金棒と網を洗い、ダンボールを畳むだけで片付けは終了。一般的な燻製器に比べると、非常に楽に片付けが済みます。
キャンプの撤収時は、多くのキャンプギアの片付けが必要になりますので、1つでも楽に片付けができるアイテムがあると助かりますよね。
複数回使用できる
アルミ皿とスモークウッドを買い足せば、複数回使用できます。
筆者は既に3回ほど使用しました。若干ダンボールの劣化などが見られますが、使用に大きな問題はありません。あと2~3回は使用できそうですので、状態を確認しながら、使用していきたいと思います。
1400円で燻製に挑戦できる
最後のおすすめポイントは、手が届きやすい価格で燻製に挑戦できるという点です。
およそ1400円という値段は、キャンプギアとしてはかなり安い価格です。
燻製に興味があるけどいきなり本格的な燻製の道具を揃えるのは不安、という方にとっては非常に嬉しい価格ではないでしょうか。
燻家(スモークハウス)を複数回使用した後、燻製をもっと楽しみたいと感じた方は、さらに長期間使用できる燻製器の購入を検討しても良いと思います。そのための入門として、まさにうってつけのアイテムだと思います。
使用にあたっての注意点
付属のスモークウッドは約1.5時間で燃焼が終了します。
食材によっては付属のスモークウッドでは足りなくなる場合もあると思いますので、予備のスモークウッドを購入しておくといいでしょう。
付属のスモークウッドとは違う種類のスモークウッドを買っておけば、もし付属のスモークウッドで足りた場合でも、次に燻製を作る際、風味も変わり、より燻製の魅力を味わえるのでおすすめです。
燻製の入門編としておすすめ
手の届きやすい価格で本格的な燻製が行える燻家(スモークハウス)。燻製に初挑戦の筆者が使用しても、十分美味しい燻製を作ることができましたので、入門編として強くおすすめできる商品だと感じました。
燻製に挑戦してみたいと考えている方、初めての燻製に最適なアイテムです。
ぜひ燻家(スモークハウス)を使用して、燻製の楽しさを手軽に味わってみて下さい。
SOTO 燻家(スモークハウス)
▼参考記事
キッチンで燻製を楽しむならSOTOのスモーカーがおすすめ!
もっと手軽に燻製を楽しみたい。そんな方には、SOTO(ソト)の「スモークポットIH ブラック」がおすすめ。IH対応で、どの家庭でも日常的にキッチンで燻製を楽しめるのが特徴です。ここでは「スモークポットIH ブラック」の特徴や使い方、実践して感じた良い点を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
SOTO(ソト)「スモークポットIH ブラック」
特徴
IH対応以外にも、キッチンを利用シーンと想定して作られたと感じさせる点がいくつかあります。一つは、密閉性が高いため燻煙がキッチンに充満しない点。そして、陶器製なので内部の温度が急上昇せず、燻製にかかる5分~10分程度であれば、スモーカーを常にチェックしている必要がありません。付属の温度計も便利。視認性が高く、差し込んでおくことで、即座に温度を確認できます。
使い方
スモークチップの下にアルミホイル
使い方はすばらしく簡単。といっても、この手の家庭用スモーカーの使い方にはほとんど差がありません。底にスモークチップを配置し、食材を金網に乗せ、スモークするだけです。
スモーカーの底にアルミホイルを敷くと、チップの過熱や燃え上がりを防げます。また、チップの上にもアルミホイルを乗せると、燻煙がスモーカー内部にまんべんなく行きわたるので、ここで一手間かけておきましょう。
食材は好きなだけ
食材は何でも構いませんが、あらかじめ乾燥させておきましょう。水分が多いと酸味がきつい燻製に仕上がってしまうためです。金網は比較的粗め。ナッツなどを燻す際には、工夫が必要です。想像以上に食材が乗せられて、燻煙時間も短いので家族でも十分使えるでしょう。
過熱は厳禁
欲望のままに食材を乗せたら、温度計を差し込み、蓋をして弱火~中火で加熱。本来であれば、チーズやゆで卵といった非加熱でも食べられる食材は50度~80度の温燻、ベーコンやししゃもといった加熱を要する食材は80度以上の熱燻で仕上げるのが一般的です。今回は、さまざまな食材をオールスター的に盛り込んだ煩悩燻製ですので、ガスコンロで80度を維持。また、密閉性が高いとはいえ、やはりスモーカーですので、換気扇を稼働させて、窓全開で挑むことを推奨します。
スモーカーは陶器製なので、熱しにくく冷めにくいです。目指す温度に達しない場合でも焦って強火にしたりせず、中火で加熱し続けましょう。強火で加熱して温度が高まり過ぎると、今度は冷めにくいという陶器の性質に苦しむことになります。
消火&熟成
5~10分加熱したら火を消します。3~5分程度そのまま燻し、完成。と、ここで出来立ての燻製を味わいたいところですが、燻製はスモークしてから熟成することで香りがまろやかになり、より美味しく食べられます。パーティー的に出来立てを楽しむのもいいですが、半日ほど外気に触れるような形で熟成させるのがおすすめです。ラップなどには包まず、気温が高くなければ日陰で、夏場は冷蔵庫で寝かせるのが良いでしょう。ちなみに私は、ビール片手に出来立ての燻製を喰らうという不届き千万さで、安易な幸せを手に入れたのでした。
後片付け
家庭用スモーカーは、さっと洗って仕舞っておけるという後片付けの手軽さもメリットです。「スモークポットIH ブラック」の場合、本体そのものが黒いのでスモークチップによる汚れも目立ちません。
「スモークポットIH ブラック」は、燻製ビギナーにとってはもちろんですが、日頃は野外で燻製を楽しんでいるという方にとっても重宝するでしょう。天候に左右されることがありませんし、キャンプでの本番に備えて試行錯誤を重ねるといった使い方もできます。一家に一台、いかがでしょうか?
SOTO スモークポットIHブラック
▼参考記事