1910年にイタリア・ミラノで設立されたアルファロメオ。古くからサーキットレースなどでの活躍もあり、名門の栄光は健在。フェラーリの創設者、エンツォ・フェラーリが所属していたなど、数多くの逸話もあり、カーマニアの間では高い知名度を誇る。一方で昨今は、ファッショナブルでスポーティなデザインをまとったプレミアムカーブランドとしても人気。そのイメージは、どちらかと言えば「都会派のスポーティカー」であり、アウトドアライフや外遊びを思い浮かべる人は少ない。
そこにブランド初のSUVとしてステルヴィオが2018年に日本へ投入され、大きな話題となった。そして本年2月には、アルファロメオのSUV第二弾として、ひとまわり小さなトナーレが発売開始。日本の道路事情によりフィットしたスポーティな走りと取り回しなど、アウトドアとの相性をレポート!
アルファロメオ トナーレってどんなクルマ?
ブランド初の電動化モデルとしても登場したコンパクトSUV、トナーレ。先に登場したステルヴィオ同様に、イタリア国内にある峠の名が与えられています。そのネーミングからも「スポーティな走り」を身上としたSUVであることがイメージできます。日本国内にはマイルドハイブリッドモデル(以下MHEVモデル)が先に登場し、この8月からはプラグインハイブリッドモデル(以下PHEVモデル)の「トナーレ プラグインハイブリッド Q4」が追加されました。
そのシステムはフロントに1.3L直列4気筒のガソリンターボエンジン(最高出力180馬力、最大トルク270N・m)とモーター(最高出力45馬力、最大トルク53N・m)、リアにはもうひとつモーター(最高出力96馬力、最大トルク250N・m)を与えることで成立。システム最高出力は280馬力で、メーカーのデータによれば0‐100km/hの加速タイムは6.2秒。また駆動用バッテリーの容量は15.5kWhで、EVモードなら72km(WLTCモード)の走行が可能。オンロードでの走りが得意とはいえ、そこはやはりSUV。アウトドアでの4WD性能や、キャンプなどでの電動車ならではの使い勝手が気になるところです。
モーターとエンジンの絶妙なバランスの味つけが気持ちいい
先に登場したMHEVモデルには「初のコンパクトSUVにして電動化戦略の第1弾」という「初物づくし」をアピールする言葉が並んでいました。当然のように走り出してすぐに気になったのは、エンジンとモーターとのバランスのこと。結果として「エンジンの良さを少し優先にしつつ、スタート時にはモーターならではのトルク感とスムーズさがサポートする」という味には、とても心地よく、上質でした。さらに郊外やワインディングへと乗り出すと、ドライバーの感覚以上に「よく曲がるスポーツカーのようなSUV」という印象を強く受けました。
そんな感覚がしっかりと体に残っているところで、今度は最新のPHEVモデルです。都会的な佇まいは同じながらも、システム280馬力の強力な走り、それもモーターがより前面に出て強烈にサポートする感覚の走りは、刺激に溢れていました。スタートからの力強さ、曲がるときのロールの少なさとキレの良さ、そしてコーナーからの立ち上がりで見せる力強さ、どの要素においてもMHEVモデルの走りを1ランク、いえ2ランクほどグレードアップし、より軽やかな走りを際立足せていた印象です。
また、車重がMHEVモデルよりもバッテリーやモーターの影響で250kgも増えたこともあり、安定感と重厚感に置いても向上し、重量増によるネガティブさをほぼ感じなかったのも印象的でした。
オンロードを安全にスポーティに走ることを優先した4WD
走りの好印象の一因には、駆動システムが4WDであることも影響しています。適切なトルク配分で4輪がしっかりと路面を捉えながら走る感覚は安心感があり、横風などの影響も少なくなっています。このクルマはアルファロメオブランドを含むステランティスグループのジープ コンパスやフィアット 500Xなどと共有する「スモール・ワイド」プラットフォームを使っているだけに、実績も信頼感も高いといえます。今回はドライ路面のみでしたが、雨天などでもこうした安心感を得ることができるでしょう。
一方で外遊びやキャンプフィールドなどでの使い勝手ですが、オフロード走行に十分に対応できるほどの最低地上高が確保されているようには感じませんでした(日本仕様の最低地上高は未公表)。最小回転半径は5.8mですから、こちらもとくに小回りがきくということもなく、国産車ではマツダ CX-8レベル。市街地での駐車に困ることはなかったのですが、だからといってコンパクトならではの「これは小回りがいい」という感じはありませんでした。
もちろんこれはオフロードでの使い勝手などを期待しての結果です。オンロードでスポーティに、街でさっそうと乗りこなすSUVとしては、まったく問題はありません。むしろ「デザインが命」ともいっていいアルファロメオの立ち位置から見れば、このエクステリアデザインの良さとオンロードでの切れのいい走りがあることで、満足感はかなり高いといえます。
ハイブリッドの走りでより遠くへ!
なによりも、ガソリンエンジンとモーター走行によるトータルでの走行可能距離は600kmを越えます。こうしたアルファらしい走りは「EVモード」、「EVとエンジンのもっとも効率的な走行モード」、そして「スポーティなドライビングモード」という、3つの走行モードを選択できる「ALFA DNAドライブモード」を駆使して叶うもの。
普段の日常生活はEV走行でガソリンをほぼ消費することなくエコに走り、週末の外遊びにはPHEVとしてガソリンエンジンとモーター走行のバランスのいい走行を楽しめるわけです。
また360度カメラを備えた先進運転支援システムやスマートフォン連動のコネクティブ機能などの最新テクノロジーも搭載し、快適ドライブを支えてくれています。この、電動車でありながらアルファらしい走りは、ドライバーの楽しみだけにあるものではありません。ロールが少なくキレのいい走りというのは、同乗している人にとっても心地がいいもの。外遊びで疲れた体にも負担を少なくしてくれます。
気になるラゲッジも確認。こちらはスクエアで使い勝手が良さそうです。しかし、駆動用バッテリーを床下に搭載する関係で、容量500ℓのMHEVモデルより少し狭く、385ℓです。それでもトランクスルーを装備した6:4分割式のリアシートの背もたれを倒すと、床はフラットにはなりませんが2人分の宿泊キャンプには対応できる容量が出現。スポーティで洒脱なフィールドライフを楽しむには外せない選択肢といえるのではないでしょうか。
【アルファ ロメオ トナーレ プラグインハイブリッド Q4】
- 全長×全幅×全高=4,530×1,835×1,615mm
- 最小回転半径:5.8m
- 最低地上高:未公表
- 車重:1,880kg
- トランスミッション:電子制御式6速オートマチック
- 駆動方式:4WD
- エンジン:直列4気筒ターボ 1,331cc
- エンジン最高出力:132kW(180PS)/5,750rpm
- エンジン最大トルク:270Nm(27.5kgf・m)/1,850rpm
- フロントモーター最高出力:33kW(45PS)/8,000rpm
- フロントモーター最大トルク:53Nm(5.4kgf・m)/8,000rpm
- リアモーター最高出力:94kW(128PS)/5,000rpm
- リアモーター最大トルク:250Nm(25.5kgf・m)/2,000rpm
- WLTC燃費:14.1km/ℓ
- 車両本体価格:¥6,750,000~(税込み)
問い合わせ先: アルファ ロメオ
TEL: 0120-779-159