連載【漕いで、釣って、食べて】
カヤックフィッシング奮闘記Vol.35
これまで様々な釣りをしてきたが、個人的に食べたい魚がある。それがアジだ。魚の中では、アジ(マアジ)が一番好きかもしれない。なのにここまでチャレンジしてこなかったのは、カヤックで狙うのはなかなか難しいからだった。
というのは、アジは基本的にコマセをまいて、そこに集まってきたアジの群れをサビキ仕掛けで釣るのだが、カヤックだと風や潮で流されてしまうので同じ場所を狙えない。せっかく集まってきたアジの群れの上に、長くとどまっていられないのだ。しかし、沼野さんによると、逗子沖には「金アジ」と呼ばれる、マアジの中でもとても美味しいアジがいるらしい。
だったら、どうしかしてそいつを釣りたい。そこで今回はアンカーという武器を使って、アジ釣りにチャレンジしてみることに。そんなわけで4月24日、早朝から出船。この日は、珍しく凪。海面がまるで湖面のよう。
そして、なぜかこの日は海水の透明度が高く、水深10メートルほどでも肉眼で海底がくっきり見えるほどだった。カヤックで海に出る度に思うが、同じ海でも日によって全然表情が違う。好き通る凪の水の上の浮いているのは、宙に浮いているようでとても幻想的だった。写真だと、それがあまり伝わらないのが残念。