いよいよ本格的な登山&ハイキングシーズン。登山にはしょっちゅう出かける、という方は多いと思いますが、さて「地図読みができる」と言いきれますか!? ガイドさんまかせ? リーダーまかせ? はたまた友達まかせ?? 山での事故・遭難の原因のうち、もっとも多いのが「道迷い」と言われています。
地図さえ読めれば遭難リスクを下げられる
ということは単純に、地図さえ読めれば遭難する可能性を下げられるとも言えますね。そして何より、今よりもっと自信と気持ちのゆとりを持って山歩きを楽しめます!
やはり基本だけでも覚えておきたいもの。地図読みは奥深いけれど、これが楽しめたら山歩きも楽しさ倍増。というわけで、奥武蔵で開催された1dayトリップ「ハッピー登山・地図読み編」に参加しました。
スタートは西武秩父線の西吾野駅、目指すは奥武蔵のハイキングコースとして人気の高山不動尊です。
25000分の1地形図のメリット・デメリット
登山でよく使われる地図(『山と高原地図』(昭文社)など)は、縮尺が5万分の1(地図上の1cm=実際距離500m)で作られていますが、この日はより細かく見るために2万5千分の1の地図を使用しました。つまり、地図上の1cm=実際距離250m。
この2万5千分の1地形図は、より細かい地形が観察できるのがメリットですが、すべての道が書かれているわけではないというデメリットもあります。地図を見て、ないと思っていた場所で細い道が現れる場合もあるので、地形と記号をより注意深く観察する必要があります。
コンパスの正しい使い方
しばらく道なりに進めばよかった道も、分岐が現れ…。さて、コンパスと地図を使って実践です!
コンパス(方位磁石)は以下の手順で正しく使いましょう。
コンパスはお腹の前で水平に持つ
これをキープします。手の先で持つと、自分の体が向いている方角とコンパスの差す方角にズレが生じるためです。
コンパスで北を指す
コンパスにはさまざまな数字や記号が書き込まれていたり、ぐるぐる回すダイヤルなんかもついていますが、まずはこの基本的な「北を指す」という機能を押さえましょう。
コンパスが指した北の方向に、体ごと向ける
今から向かおうとしている道は、どちらに向かっているか?を、これで割り出します。
山で迷わないための3つの注意点
地図読みのポイントとしてまずこの日教わったのは、大きくこの3つ。
- 「進んでいる道が地図と違っている?」と思ったら、確実に地図で位置を特定できる場所まですぐ引き返す
- 「なんとなくこっちかな」で突き進まない
- 現場の地形は日々変わり続けているので、地図に書かれている目印や建物が必ずあるとは限らない(地図をあてにしすぎない)
雨に打たれたら気を付けること
昼過ぎ、目的地の高山不動尊に到着しました。境内のあずまやをお借りして休憩&ゆっくりランチタイムです。
この日は朝から雨だったため全員レインウェアを持参していますが、晴れの予報でもザックの奥底にレインウェアと替えのインナー・靴下は入れておきましょう。
急に天候が崩れても、レインウェアと着替えの備えがあれば、ひとまず安心。ただし、しっかりレインウェアを着ていても、休憩で立ち止まると体が冷えてきますので、休憩時にはまずレインウェアを脱いで、1枚ジャケットなどを羽織って体温の低下を防ぎます。
さらに、雨や汗でインナーが濡れている場合はこのタイミングで着替えましょう。濡れたインナーはどんどん体温を奪っていきます。体を濡らさないこと、そして、もし濡れたらすぐ着替えることが体温を下げないために大切です。
登山・ハイキングで地図をどう使うか
午後から実際に、二人ずつのグループを作って、地図とコンパスを見ながら他のみんなを先導する、という実践ワークを行いました。
歩き出す前に地図で注意点を観察する
まずは地図を見て、今から歩くルートを正しく選択するために、地形や道の特徴を話し合います。
大きな登り下りはあるか?
分岐(分かれ道)はあるか?
分岐に気づくための目印はないか?
確認しあい、いざスタート!
目印がなくなっていることも!?
歩きはじめる前、「分岐の少し先に送電線のマークがあるから、送電線が見えてきたら右に曲がる道があるはずなので気を付けよう」と意見を出し合い出発しました。
ところがそれらしき地点に近づいてきても、どうも送電線らしきものが見えてきません。
わかりにくい目標物でもないし、すぐに目に飛び込んでくると思っていたのになぜ…と思っていたら、分岐に到着しました。でも、この分岐で曲がっていいのかな? 合っているのかな? という不安が襲います。なにせ、あるはずだった目印がないのです。
「あっ!」
なんと、所持者である電力会社が送電線を撤去した後で、鉄塔だけが残っている状態になっていました! まさか線がないなんて…。
世の中はこうして変化していくのです。「地図はなるべく新しいものを使うべし」というのはこういうことがあるからなんですね。
地図読みの「あるある」
今回はそもそも「送電線があるからそれが見えてきたら曲がればいいよね」と気楽に考えていたことにより、ほかの特徴を注意深く見なくなっていたことも、道を間違いそうになった原因でした。まさしくこれは「地図読みあるある」! 奥深いです。
約4時間、ゆっくり時間をかけて登ったり下りたり、地図を穴のあくほど見つめたりして、充実したトリップになりました!
ゴールの「こもれびの湯」で冷えた体を温泉で癒します。ゴールに温泉を用意しておけるのも、ご褒美感があってコンパクトな1dayトリップとしてはおすすめ。
本格的なシーズン前に、地図読みの基本を押さえておくのも良いかもしれません。山歩きより、地図の奥深さの方にハマってしまうかもしれませんよ!
地図読みトレッキングツアー情報
- アドベンチャーディバズ
https://www.adventure-divas.com/ - 地図読みをもっと深く学びたい!という方は…『ぐるぐるナビ地図読みトレッキング』
https://www.adventure-divas.com/tours-events/gurugurunavi/ - まずは低山から山の魅力に親しみたいという方は『ハッピー登山』
https://www.adventure-divas.com/trips/happytozan/
旅行・冒険が好きなイラストレーター。長野県出身。ブログhttp://blog.livedoor.jp/kota1022/