CO2排出量を減らす取り組みのひとつとして、注目が集まる“リユース”。リユースとは再使用の意味で、一度使われた製品を原料に戻すことなく、洗浄などしてそのまま使い回すことをいいます。
今年2月に誕生した地球と人にやさしいウェルネスブランド・REUNIONでも、リユースボトルを使ったお酒造りに向き合っています。お酒を入れるボトルも環境に配慮したものにしたいという考えから「リユースボトルプロジェクト w/ REUNION」を本格始動しました。
実際に、「REUNION」の1st Collectionである「WELLNESS GIN(ウェルネスジン)」にリユースボトルを利用した「WELLNESS GIN w/ REUSED BOTTLE」が、 2023年10月1日から150本限定で発売されます。
REUNIONの酒造りと“ウェルネスジン”とは?
2023年4月22日のアースデーにデビューしたREUNIONの「WELLNESS GIN」。そもそも“ウェルネスジン”とはどういうものなのでしょう。
「お酒は、水、土、植物、微生物が健やかであって初めておいしいお酒ができます」と話すのは、REUNIONを展開する株式会社WWWEのCEO服部竜大さん。
よいお酒を造ろうとがんばるのではなく、地球の健康によいことをがんばることがモットー。結果として、人の健康にもよいおいしいお酒ができ、こうした健康の循環が広がることを目指しているといいます。
そんな思いから造られたのが、醸造から蒸留まで手仕事によって作られた100%プラントベースのスピリッツ。キーボタニカルに北海道を中心とした国産霊芝を採用し、環境再生型農業で育てられた植物を使っています。
霊芝といえば、漢方として古くから珍重されてきた幻のキノコです。そして、ジンは1660年にオランダの医学博士により熱病対策のための薬酒として生まれたのが起源です。
REUNIONでは、ジンのオリジンへのリスペクトを込めて、古くから数々の薬効が伝承されている霊芝を採用し、ギルトフリーのお酒を造りました。
「人生を楽しさで彩る」というREUNIONのコンセプトのもと、食前、食中、食後、すべてのシーンで飲んでもらいたいというウェルネスジンは、115年の歴史を持つ蒸留のパイオニア「佐多宗二商店」と共に酒造りを行っています。
REUNIONが“リサイクル”ではなく“リユース”にこだわる理由
環境に配慮した酒造りから、さらに一歩進んで、ボトルも環境に配慮するリユースボトルプロジェクト。もともとは予算オーバーでビンを購入できなかったことがきっかけでリユースを検討し始めたそうです。
まずはビン集めからスタートし、集めたものを洗瓶してくれる業者探しを始めたものの、「現実的ではない」と何社にも断られたといいます。
というのも、意外なところにリユースがむずかしい洗瓶事情があったから。それは、ラベルの糊がとり切れないことです。
元々リターナブルシステムのビンは、ラベルが剥がしやすいなど、リユースを前提に作られていますが、ワンウェイボトル(※1回使い切りを想定して作られたボトル)の場合、ラベルをはがした後の糊が洗瓶だけではとり切れないものもあり、2回洗浄するとその分水を多く使ってしまいます。
それでもREUNIONがそのままビンを再利用するリユースにこだわるのは、リサイクルするよりも温室効果ガスの排出量を削減できるからです。
ビンを5回リユースすることで約80%のCO2を削減できます。今後REUNIONでは、シールやラベル事業者の協力パートナーを募り、ビン洗浄に適したラベル糊の開発や供給を呼びかけていくといいます。
リユースボトルはどのようにして実現したのか
500mLタイプで意匠権がないものやキャップの口径サイズが同じボトルをセレクトし、洗瓶して酒蔵に送り、充填することでリユースボトルのウェルネスジンができ上がります。
ビンをどれくらい集められるかわからずスタートしたプロジェクトですが、今回150本販売されるのは、それだけのボトルを集めることができ、洗瓶する会社が見つかったからです。
ハードルの高い洗瓶を可能にした老舗企業
その会社こそが、1893年(明治26年)創業のトベ商事です。おせんべい屋さんからスタートしたという会社は、ビンに入ったお酒や飲み物が西洋から輸入されはじめ、造り酒屋が樽や徳利ではなくビンを扱い始めたころにビン業をスタートしました。
当時は、使用後のビンを収集するところがなかった時代。そこでビンの買い取りを始めたところ、「せんべい屋にビンを持っていくと買ってくれる」と話題になったそう。多くのクズなどゴミ回収業者がビンを売りに来たことから、空き瓶を買って、酒蔵やビール会社に納める事業を始めました。
「昭和35年ごろから40年代くらいは、空きビンの全盛時代でした。その後、ビールは缶に、しょうゆやジュースはペットボトルになりました。そして、当時はすべてリサイクルすればいいと考えていました」と、ビンの歴史を話してくれたのは、トベ商事会長の戸部昇さん。
東京23区で分別回収がスタートしたときにリサイクルを始めたそうですが、SDGsが提唱され始めると、今度はリユースの問い合わせが増えたといいます。リサイクルは、一度原料に戻して、新たにモノづくりをするためエネルギーを使いますが、リユースは洗うだけで使えます。
「リユースは、1つのモノを延命してくれます。経済発展はしてきましたが、今は、それらを見直す時期にきているのではないかと感じています。1本のビンを返すことで、CO2が減らせます。これは誰にでも簡単にできることです」ビンの変遷を知る戸部さんだからこその言葉です。
洗瓶の方法を探るべく工場へ潜入!
ラベルの糊がとり切れないことから、むずかしいとされていた洗瓶。今はどのように洗瓶されているのか、トベ商事の洗瓶工場を見学してきました。
9か所に洗浄工場があり、1日に大型洗瓶機で2万5千本から3万本、小型洗瓶機で6千本のビンを洗浄しているといいます。
UV光で殺菌し、細菌・ウイルスを減菌し、100度で乾燥させます。
トベ商事では、5つのカメラで検査し、さらに目視でもビンのひびやラベル残りをチェック。それをロボットがパレットに積んでいきます。工場内はかなり高温でしたが、中に入れるものが食品であるため、徹底的に管理されていました。
リユースボトルをより広めるために
ボトルをリユースするのが日常であるドイツのスーパーのように、他の企業とも協力して、「リユースっていいね」と消費者に感じてもらえるムーブを広げていきたい。そのために、まずはプロジェクトに賛同してくれるBARとアライアンスを組むことから進めています。
BARで使用した500mLボトルなどのリユースボトル収集のほか、逆にBARでリユースボトルを使用してもらうことがアライアンスの条件です。
賛同店舗のひとつである東京・恵比寿のBAR「unknown」で、ウェルネスジンをいただきました。
幼いころ霊芝を煎じて飲んでいた経験から、あの特有の苦さを想像してしまいましたが、そんなことは全くありませんでした。
一般的なジンより口当たりがやさしく、ストレートで飲んでもソーダで割ってもおいしい。今までジントニックが飲めなかった人も大丈夫ではないかと思うほどの飲みやすさです。
筆者の持論ですが、環境に配慮されていても、おいしくないとなかなかリピートにはつながらないもの。これはリピーターが増えそうな予感がします。
リユースボトルで販売されるのは、ボトルの数の関係で今回は150本。今後リユースボトルの流通が増えれば、さらに市場に出回ることになります。
10月は3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進月間で、3R関係8省庁(財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・消費者庁)で普及啓発活動も実施されます。
まずは身近なリユースボトルの製品を選ぶことから始めてみるのもいいですね。
リユースボトルを利用した「WELLNESS GIN w/ REUSED BOTTLE」のラベルは真っ白であることが特徴です。何も描かれていないボトルのラベルに自分なりの文言やイラストを描き、地球のウェルネスを考えるひとときに楽しみたいお酒となりそうです。
REUNION
https://re-union.world/