アウトドアを思いっきり楽しむには、大切なウエアのメンテナンスが必要不可欠。中でもレインウエアなどのアウターは、定期的なお洗濯や、必要に応じて撥水性を取り戻すケアをしている方もいるでしょう。ただ、きれいに洗濯して、すすいで、撥水剤を浸透させて、乾かして…と、案外手間ひまがかかるんですよね。
自宅で行うと数日かかる場合もあるお手入れを、なんと約1時間で完了する洗濯コースが、この9月29日にBaluko Laundry Place(バルコ ランドリープレイス) 代々木上原で導入されました。体験レポートします!
mont-bellと共同開発した「モンベル撥水コース」とは?
“Baluko Laundry Place”のロゴを、街で目にしたことがある人もいるのでは?それもそのはず、2017年に1号店をオープンして以降、都内では100店舗以上、全国各地で合わせて200店舗以上をフランチャイズ展開する人気のコインランドリーです。
今回体験したのは、「Baluko Laundry Place」の中で2店舗目のサービス導入となる「モンベル撥水コース」。レインウエアなどのアウトドアクロージングを長く愛用してほしいと、両者が共同で開発。コインランドリーで撥水加工が施せるコースです。
「このサービスを最初に導入したのは、2023年5月にオープンした北海道小清水町店です。小清水町は人口4500人ほどの小さな街なのですが、市役所跡地を再開発するにあたり『地元の人たちが安心して使えるコインランドリーをつくりたい』と、ご相談をいただいたのがきっかけ。
小清水町に『mont-bell』直営店やフレンドショップがあり、ブランドが地元に根付いていたこと。また、僕たちコインランドリーも地元に密着することで成り立つものであること。そして、『mont-bell』さんが手がける撥水剤が地球環境にやさしいことなど、様々な要因があいまって、一緒にサービスを開発することになりました」(以下「」内、金子さん)
コースに使用する撥水剤は、「mont-bell」オリジナル製品。環境負荷の低い非フッ素タイプの「O.D.メンテナンスはっ水剤」です。また、排水による環境負荷も考慮して、使用水量は最小限におさえているそうです。
「そもそもコインランドリーは、洗濯や乾燥などにかかる時間を細かくプログラミングしてコースを設計します。『モンベル撥水コース』では、少ない水でも撥水剤が洗濯物全体にゆきわたるように、特殊なすすぎ工程を追加しています」
約1時間で完了するコースをいざ体験!
「衣類の中でも、撥水性を必要とするアウターウエアやスリーピングバッグのメンテナンスにおすすめ」とのことで、編集部から持ち込んだのはスリーピングバッグ。
スリーピングバッグを自宅で洗うのは、かなり重労働ですよね。しかも、しっかり乾かそうとすると数日かけて日陰で干す必要もあります。編集部・井田によると「大切なものだし、正しいメンテナンス方法も分からないので、あまりケアできていなかったんです」とのこと。
ここからは、実際のコースを体験する流れをご紹介します。
STEP1:洗濯表示を確認して、洗えるかどうかをチェック
自宅でメンテナンスするときも、最初に洗濯表示を確認するのはセオリー。今回も、持ち込む前に確認。洗えるかどうかをチェックしました。
洗えるもの
・水洗い&タンブル乾燥が可能な衣類
・ウィンドブレーカー
・レインウェア(透湿性のあるもの。ゴム引きなどの完全防水のものは不可)
・スキーウェアなどのアウター
・ダウンジャケット
・スリーピングバッグ(中綿がダウンまたはポリエステル素材のもの)
「コインランドリーで採用されているタンブル乾燥は、衣類をドラムの中でパタンパタンとゆするように乾かします。この動作に対応できる素材は洗えます」
洗えないもの
・中綿が羊毛、コットンのもの
・レザー製品
・衣類の劣化があるもの
・テントやタープなど面積の大きなもの
・ゴム、ビニル樹脂、EVA樹脂、ポリプロピレンなど、熱に弱い素材を使用したもの
「フリースなどの中間着や、Tシャツなど直接肌に触れるものは、撥水することで吸湿性が損なわれてしまうので、このコースにはおすすめしません。また、メリノウールなどの羊毛やコットン素材も、水を吸ってガチガチになってしまうのでだめ。バックパックのようなフレームの入っているものも、傷める可能性があるので洗えません」
STEP2:ファスナー類は閉じてドラムの中へ
一度に洗えるのは約5kg。一度に詰め込みすぎると、ちゃんと洗えず、乾かない原因にもなるそうです。「洗う量は、庫内の1/3〜1/2くらいを目安にしましょう」。
また「ポリエステル素材の中綿のものとレインウェアなど、異素材でも一緒に洗って大丈夫」とのことで、今回はスリーピングバッグのほかに、レインウェア、パンツ、薄手のダウンジャケットも一緒に投入。
このとき、ファスナーがある場合はしっかり閉めます。また、ファスナーなどについたパーツがドラム内で引っかかって破損する可能性を避けるためにも、裏返しておくと安心。
「裏返して洗っても、つけ置きで撥水剤を全体に染み込ませるので、ちゃんと撥水加工が施されます。安心してくださいね」
すみずみまで洗浄して撥水加工を施すために、ネットには入れません。
STEP3:1,700円を投入してスタート!
利用料金は、一度につき1,700円。「Baluko」専用アプリをダウンロードすれば、キャッシュレスでも利用できます。
洗い始めてすぐ、とっても静かなことに気がつきました。ドラム内ではウエアやスリーピングバッグがたっぷりの泡でぐるんぐるんと洗浄されています。
「アウトドアウエアに限りませんが、汚れはもちろん洗剤の成分を残さないよう、まずはしっかり洗ってすすぎます」
約30分で洗濯・すすぎを終えたら、5〜6分ほど撥水剤入りの水につけ置きし、35分かけて低温でじっくりと乾燥させます。
「乾燥機・洗濯乾燥機の標準乾燥温度は70度ですが、洗濯乾燥機の低温乾燥コースとモンベル撥水コースでは、さらに低い60度に設定しています。アウトドアアイテムの中には熱に弱い素材もあるので、幅広く安心してお使いいただけるようにしました」
乾燥は、強力なガス乾燥機で行われていますが、これもかなり静かです。パタパタ…ッと中のものが上下しているのが見えます。
「大容量のドラムの中で、タンプリングという揺する動きをするのが、短時間でふわふわに仕上がる鍵です」
STEP4:出来上がったらすぐに取り出してチェック
およそ1時間後、洗い上がりのサインが出たら、クールダウンを待たずにドアを開けてOKです。
「コースが終了してすぐに取り出していただければ、シワもつきづらいですよ」
ふっかふかになったスリーピングバッグは「ジッパーのところが少し湿っているので、追加で乾燥機にかけましょう」とのこと。隣にあるガス乾燥機へ。100円で8分間乾かすことができます。
STEP5:追加で乾燥
乾燥機に2度かけて、待つこと16分。金子さんからの「合格!」をもらい、井田のスリーピングバッグは洗い上がりました。
長期保管している際についたにおいは、すっかりどこかへ。中綿も、洗う前より随分ふっくらして、収納バッグに納めるのに2人がかりでも苦労したほど。
「頻度にもよりますが、撥水加工は数ヶ月ほどもちます。シーズン前にお手入れいただくのもよし、登山やスキー帰りに使ったウエアを持ち込んでいただくのもおすすめです。
ダウンジャケットはとくに、特殊なウエアだからとクリーニングに出す方も多いと思いますが、洗濯表示のタグを見て自分でメンテナンスできるものなら、ぜひ利用してもらいたいです。『モンベル撥水コース』なら、その場で約1時間あれば洗濯から撥水加工、乾燥まで出来て持ち帰れますし、1,700円で数着のウエアとスリーピングバッグがメンテナンスできる。手前味噌かもしれませんが、洗う手間や専用洗剤の購入なども考えると、抜群のコスパだと思います!」
洗濯&乾燥の待ち時間はカフェタイム
洗いあがりまで全てお任せという、およそ1時間の空白。ぼ〜っと空でも眺めるかあ…なんて思っていたら、金子さんが「ドーナツとコーヒーで休憩しませんか?」と嬉しい一言を!二つ返事で、いそいそとカフェコーナーへ。
そう、この店舗の嬉しいところがカフェコーナーの併設です。
ショーケースには10種類以上のドーナツがずらり。ここで提供されているのは、金沢発の「Baluko Laundry Place」オリジナルドーナツブランド「どうなつ日和」のもの。食べ応えのあるサイズ感で、北海道産の小麦など、食材にこだわった生地はふわふわ。毎朝、手作りしたドーナツがショーケースに並びます。
店の外にはテラス席もあり、心地よい季節は屋外でのんびりするのも気持ちよさそう。また、店内にはWi-Fiも飛び、3つあるカウンター席には電源まで!洗濯のできあがりを待ちながら、リモートワークもできちゃいます。
コインランドリーといえば、家の最寄りに“洗いに行くだけ”の場所。また、洗っている間は一度家に帰ったり、他の用事を済ませに出たりするイメージもありました。でも、ここなら待っている間も有意義に過ごせそうです。なんだったら、大切なウエアやスリーピングバッグをメンテナンスするために、たとえば休日に代々木上原店へ出かけるのも楽しそう!
「モンベル撥水コース」今後の展開は?
現在は、北海道小清水町と東京・代々木上原のみで扱われている「モンベル撥水コース」。
「たとえば、今後は『mont-bell』さんの拠点がある大阪など、全国各地に展開できたらと考えています」とのこと。山の麓やキャンプ場に併設されている、なんていう便利なコインランドリーも思わず想像してしまいます。さらなる展開に、乞うご期待!
【取材強力】
Baluko Laundry Place
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