人気コインランドリーの「モンベル撥水コース」ってどうなの?“30年前の寝袋”を洗ってみたら…
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    2023.10.06

    人気コインランドリーの「モンベル撥水コース」ってどうなの?“30年前の寝袋”を洗ってみたら…

    「モンベル撥水コース」とは一体…!

    アウトドアを思いっきり楽しむには、大切なウエアのメンテナンスが必要不可欠。中でもレインウエアなどのアウターは、定期的なお洗濯や、必要に応じて水性を取り戻すケアをしている方もいるでしょう。ただ、きれいに洗濯して、すすいで、水剤を浸透させて、乾かして…と、案外手間ひまがかかるんですよね。

    自宅で行うと数日かかる場合もあるお手入れを、なんと約1時間で完了する洗濯コースが、この9月29日にBaluko Laundry Place(バルコ ランドリープレイス) 代々木上原で導入されました。体験レポートします!

    mont-bellと共同開発した「モンベル撥水コース」とは?

    東北沢駅から徒歩4分、代々木上原駅から徒歩13分ほど。日差しがたっぷりそそぐ店内では、コインランドリーに加えて、クリーニングサービス、カフェも併設。

    “Baluko Laundry Place”のロゴを、街で目にしたことがある人もいるのでは?それもそのはず、2017年に1号店をオープンして以降、都内では100店舗以上、全国各地で合わせて200店舗以上をフランチャイズ展開する人気のコインランドリーです。

    今回体験したのは、「Baluko Laundry Place」の中で2店舗目のサービス導入となる「モンベル撥水コース」。レインウエアなどのアウトドアクロージングを長く愛用してほしいと、両者が共同で開発。コインランドリーで撥水加工が施せるコースです。

    Baluko(バルコ)の金子 創さんにアテンドしていただきました。金子さんは、クリーニング師の資格も所有。

    「このサービスを最初に導入したのは、2023年5月にオープンした北海道小清水町店です。小清水町は人口4500人ほどの小さな街なのですが、市役所跡地を再開発するにあたり『地元の人たちが安心して使えるコインランドリーをつくりたい』と、ご相談をいただいたのがきっかけ。

    小清水町に『mont-bell』直営店やフレンドショップがあり、ブランドが地元に根付いていたこと。また、僕たちコインランドリーも地元に密着することで成り立つものであること。そして、『mont-bell』さんが手がける撥水剤が地球環境にやさしいことなど、様々な要因があいまって、一緒にサービスを開発することになりました」(以下「」内、金子さん)

    「O.D.メンテナンス はっ水剤(つけ込み専用) 300mL」¥2,420。自宅で使う場合、使用量の目安は、レインウエア上下セットに対し約1/4本。

    コースに使用する撥水剤は、「mont-bell」オリジナル製品。環境負荷の低い非フッ素タイプの「O.D.メンテナンスはっ水剤」です。また、排水による環境負荷も考慮して、使用水量は最小限におさえているそうです。

    「そもそもコインランドリーは、洗濯や乾燥などにかかる時間を細かくプログラミングしてコースを設計します。『モンベル撥水コース』では、少ない水でも撥水剤が洗濯物全体にゆきわたるように、特殊なすすぎ工程を追加しています」

    約1時間で完了するコースをいざ体験!

    編集部・井田の祖母が登山に使っていたスリーピングバッグ。およそ30年前の年代モノで、素材はポリエステル製の中綿。

    「衣類の中でも、撥水性を必要とするアウターウエアやスリーピングバッグのメンテナンスにおすすめ」とのことで、編集部から持ち込んだのはスリーピングバッグ。

    スリーピングバッグを自宅で洗うのは、かなり重労働ですよね。しかも、しっかり乾かそうとすると数日かけて日陰で干す必要もあります。編集部・井田によると「大切なものだし、正しいメンテナンス方法も分からないので、あまりケアできていなかったんです」とのこと。

    ここからは、実際のコースを体験する流れをご紹介します。

    STEP1:洗濯表示を確認して、洗えるかどうかをチェック

    自宅でメンテナンスするときも、最初に洗濯表示を確認するのはセオリー。今回も、持ち込む前に確認。洗えるかどうかをチェックしました。

    洗えるもの

    ・水洗い&タンブル乾燥が可能な衣類
    ・ウィンドブレーカー
    ・レインウェア(透湿性のあるもの。ゴム引きなどの完全防水のものは不可)
    ・スキーウェアなどのアウター
    ・ダウンジャケット
    ・スリーピングバッグ(中綿がダウンまたはポリエステル素材のもの)

    「コインランドリーで採用されているタンブル乾燥は、衣類をドラムの中でパタンパタンとゆするように乾かします。この動作に対応できる素材は洗えます」

    洗えないもの

    ・中綿が羊毛、コットンのもの
    ・レザー製品
    ・衣類の劣化があるもの
    ・テントやタープなど面積の大きなもの
    ・ゴム、ビニル樹脂、EVA樹脂、ポリプロピレンなど、熱に弱い素材を使用したもの

    「フリースなどの中間着や、Tシャツなど直接肌に触れるものは、撥水することで吸湿性が損なわれてしまうので、このコースにはおすすめしません。また、メリノウールなどの羊毛やコットン素材も、水を吸ってガチガチになってしまうのでだめ。バックパックのようなフレームの入っているものも、傷める可能性があるので洗えません」

    STEP2:ファスナー類は閉じてドラムの中へ

    「モンベル撥水コース」が設定されているのは、Mサイズの洗濯乾燥機2台。大切な寝袋、いってらっしゃい!

    一度に洗えるのは約5kg。一度に詰め込みすぎると、ちゃんと洗えず、乾かない原因にもなるそうです。「洗う量は、庫内の1/3〜1/2くらいを目安にしましょう」。

    また「ポリエステル素材の中綿のものとレインウェアなど、異素材でも一緒に洗って大丈夫」とのことで、今回はスリーピングバッグのほかに、レインウェア、パンツ、薄手のダウンジャケットも一緒に投入。

    このとき、ファスナーがある場合はしっかり閉めます。また、ファスナーなどについたパーツがドラム内で引っかかって破損する可能性を避けるためにも、裏返しておくと安心。

    「裏返して洗っても、つけ置きで撥水剤を全体に染み込ませるので、ちゃんと撥水加工が施されます。安心してくださいね」

    すみずみまで洗浄して撥水加工を施すために、ネットには入れません。

    ドラムの中には小さな穴がたくさんあり、ここにパーツが引っかかる可能性があるそう。

    ポケットのファスナーについた引き手などは、要注意パーツ。

    ロゴなどのプリントも剥がれる可能性があるので、心配なら裏返しましょう。

    STEP3:1,700円を投入してスタート!

    お金を入れたらいよいよスタート!

    利用料金は、一度につき1,700円。「Baluko」専用アプリをダウンロードすれば、キャッシュレスでも利用できます。

    洗い始めてすぐ、とっても静かなことに気がつきました。ドラム内ではウエアやスリーピングバッグがたっぷりの泡でぐるんぐるんと洗浄されています。

    「アウトドアウエアに限りませんが、汚れはもちろん洗剤の成分を残さないよう、まずはしっかり洗ってすすぎます」

    室内には、ガス乾燥機の大きなダクトがありました。

    約30分で洗濯・すすぎを終えたら、5〜6分ほど撥水剤入りの水につけ置きし、35分かけて低温でじっくりと乾燥させます。

    乾燥機・洗濯乾燥機の標準乾燥温度は70度ですが、洗濯乾燥機の低温乾燥コースとモンベル撥水コースでは、さらに低い60度に設定しています。アウトドアアイテムの中には熱に弱い素材もあるので、幅広く安心してお使いいただけるようにしました」

    乾燥は、強力なガス乾燥機で行われていますが、これもかなり静かです。パタパタ…ッと中のものが上下しているのが見えます。

    「大容量のドラムの中で、タンプリングという揺する動きをするのが、短時間でふわふわに仕上がる鍵です」

    STEP4:出来上がったらすぐに取り出してチェック

    およそ1時間後。全体的にふっくらツヤツヤとしたような!?

    およそ1時間後、洗い上がりのサインが出たら、クールダウンを待たずにドアを開けてOKです。

    「コースが終了してすぐに取り出していただければ、シワもつきづらいですよ」

    ふっかふかになったスリーピングバッグは「ジッパーのところが少し湿っているので、追加で乾燥機にかけましょう」とのこと。隣にあるガス乾燥機へ。100円で8分間乾かすことができます。

    STEP5:追加で乾燥

    もう一息!

    乾燥機に2度かけて、待つこと16分。金子さんからの「合格!」をもらい、井田のスリーピングバッグは洗い上がりました。

    試しに水をかけたところ、ちゃんと弾いてくれました。

    長期保管している際についたにおいは、すっかりどこかへ。中綿も、洗う前より随分ふっくらして、収納バッグに納めるのに2人がかりでも苦労したほど。

    金子さんが実験的に入れたコットン製のTシャツも、コロコロと水を弾く!

    「頻度にもよりますが、撥水加工は数ヶ月ほどもちます。シーズン前にお手入れいただくのもよし、登山やスキー帰りに使ったウエアを持ち込んでいただくのもおすすめです。

    ダウンジャケットはとくに、特殊なウエアだからとクリーニングに出す方も多いと思いますが、洗濯表示のタグを見て自分でメンテナンスできるものなら、ぜひ利用してもらいたいです。『モンベル撥水コース』なら、その場で約1時間あれば洗濯から撥水加工、乾燥まで出来て持ち帰れますし、1,700円で数着のウエアとスリーピングバッグがメンテナンスできる。手前味噌かもしれませんが、洗う手間や専用洗剤の購入なども考えると、抜群のコスパだと思います!」

    洗濯&乾燥の待ち時間はカフェタイム

    店内に併設されたカフェは、誰でも利用でき、テイクアウトも可能。

    洗いあがりまで全てお任せという、およそ1時間の空白。ぼ〜っと空でも眺めるかあ…なんて思っていたら、金子さんが「ドーナツとコーヒーで休憩しませんか?」と嬉しい一言を!二つ返事で、いそいそとカフェコーナーへ。

    そう、この店舗の嬉しいところがカフェコーナーの併設です。

    筆者は、牛乳をたっぷり使用した「みるく」(242円)と「ソイラテ」(605円)をチョイス。日除付きのテラス席には観葉植物も置かれて、素敵な雰囲気。

    編集部・井田は代々木上原店限定「岩塩アーモンド」(286円)と「チャイティーラテ」(605円)を。道路に面したカウンター席は、日差しがたっぷり入ります。

    ショーケースには10種類以上のドーナツがずらり。ここで提供されているのは、金沢発の「Baluko Laundry Place」オリジナルドーナツブランド「どうなつ日和」のもの。食べ応えのあるサイズ感で、北海道産の小麦など、食材にこだわった生地はふわふわ。毎朝、手作りしたドーナツがショーケースに並びます。

    店の外にはテラス席もあり、心地よい季節は屋外でのんびりするのも気持ちよさそう。また、店内にはWi-Fiも飛び、3つあるカウンター席には電源まで!洗濯のできあがりを待ちながら、リモートワークもできちゃいます。

    コインランドリーといえば、家の最寄りに“洗いに行くだけ”の場所。また、洗っている間は一度家に帰ったり、他の用事を済ませに出たりするイメージもありました。でも、ここなら待っている間も有意義に過ごせそうです。なんだったら、大切なウエアやスリーピングバッグをメンテナンスするために、たとえば休日に代々木上原店へ出かけるのも楽しそう!

    「モンベル撥水コース」今後の展開は?

    現在は、北海道小清水町と東京・代々木上原のみで扱われている「モンベル撥水コース」。

    「たとえば、今後は『mont-bell』さんの拠点がある大阪など、全国各地に展開できたらと考えています」とのこと。山の麓やキャンプ場に併設されている、なんていう便利なコインランドリーも思わず想像してしまいます。さらなる展開に、乞うご期待!

    【取材強力】
    Baluko Laundry Place
    mont-bell

    私が書きました!
    編集者・ライター
    ニイミユカ
    自然豊かな兵庫県北部出身、浅草在住。2018年7月生まれの娘の母。たき火をつつきながらビールを飲む時間が至福のひととき。衣食住にまつわる企画を、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆する

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