いざ低山へ、といってもどんな服装で登ればいいのか? なにを持っていけばよいんだろう……。そんなあなたは、登山専門店を訪ねましょう。東京・水道橋の登山専門店「さかいやスポーツ」でハイキング道具の選び方を教えてもらいました。
編集部・梶原(上の写真左)
文芸部を希望したのになぜか配属されたビーパル編集部もはや2年目。当たって砕けるチャレンジ企画を任されることが増えてきた。日焼けとマッチョ化に必死に抗う23歳。「長く使える良品を 賢く買いたいです!」
さかいやスポーツ 田中大亮さん(上の写真右)
東京・水道橋の登山用品専門店「さかいやスポーツ」のエコープラザに勤務。ULハイキングを愛し、軽量なクッカーと食材を使った山飯アレンジが得意。眺望のある山が好き。「OK! 最高の買い物術を 伝授します!」
最初にそろえるべきはライトとレインウェア!
梶:まったくの初心者から低山ハイクに挑戦したいのですが、最初はどんな道具からそろえたらよいのでしょうか?
田:登山用品の機能には二つの側面があります。ひとつは命を守る機能。もうひとつは山で快適に行動するための機能です。どんな道具もこの二つの側面を持っていますが、前者の要素が強いものから買いそろえるとよいでしょう。雨に降られても体温を保持してくれる雨具と、夕闇が迫ったときに行動不能に陥らないようにしてくれるライトは最初にそろえたいですね。
梶:バックパックやシューズじゃないんですね! 意外です。
田:もちろん、それらも重要です。登る山、将来登りたい山に合わせて入手していきましょう。登山用品のなかでも靴とバックパック、ウェア類はサイズが合わないと性能を発揮できません。これらは専門店で入手されることをおすすめします。
梶:私、将来登りたい山のイメージも描けないのですが……。
田:例えば「撮影が好きだから、いつか写真を撮りつつ山に登って山小屋に1泊したい」といったイメージでいいんです。それを伝えていただければ、低山ハイクにも使えて、小屋泊の装備と撮影機材が収まるバックパックや、しっかり足首を支えるシューズを提案できますから。まずは、ご相談ください!
生きて帰るためのマストバイ山道具
ライトはヘッドランプ型をチョイス!赤色灯モードがあると小屋泊でも便利
ブラックダイヤモンド/
コズモ350
¥4,950
「ライトは両手が空くヘッドランプ型が便利。400ルーメン程度の光量のものが明るさと持続力のバランスに優れています。山小屋に泊まるときも、赤色灯モードがあると眠っている同宿の人に迷惑をかけにくいですね」
レインウェアはゴアテックス採用モデル一択! 廉価な防水透湿素材にも実力派あり
ミズノ/
ベルグテックEX ストームセイバーⅥ レインスーツ
¥18,150
モンベル/
ストークムルーザー ジャケット Men’s
¥25,300
ストームクルーザー パンツ Men’s
¥16,500
「レインウェアは形状も素材も千差万別。最初の一着は、防水透湿素材を使った上下セパレート式のものがおすすめです。防水透湿素材にもいろいろありますが、ゴアテックスを使ったものが信頼性と劣化のしにくさにおいて頭ひとつ抜けていますね。ゴアテックスに手が出ない場合は、ベルグテック製のものがコストパフォーマンスが高いと思います」
靴とバックパック
小屋泊まりも視野に入れるならハイカットシューズ。軽快に登るならローカットを
サロモン/
XA PRO 3D V9 GORE-TEX
¥22,000
トポアスレティック/
トレイルベンチャー2 WP
¥34,100
「低山ハイクで履く靴は、好みで2タイプから選ぶとよいでしょう。ひとつは足首をしっかり支えてくれるハイカットのトレッキングシューズ。もうひとつは軽快なトレイルランニングシューズ。ある程度の重さの荷物を背負って岩場を歩いたり、将来2000m超の山も歩くなら前者をおすすめします。身体能力の高い人が低山をテンポよく歩くなら後者がマッチします」
足型を測り、山を模したセットを使って運命の一足を探せるのは、登山専門店だからこそ。
バックパックは日帰りなら20ℓクラスでOK! いつか縦走するなら30ℓ以上のモデルを
パーゴワークス/
バディ22
¥19,800
ミレー/
サースフェーNX30+5
¥28,050
「低山ハイクは容量20ℓ程度が使いやすいですが、本格的な登山も視野に入れるなら30ℓ強を選ぶと小屋泊まりの縦走にも使えます。購入時にチェックしたいのが背面長(ウェストベルトからショルダーベルト基部までの長さ)と通気性。背面長が自分に合っているのは必須条件です。夏場は背面の蒸れを逃す機構があると涼しく過ごせます」
快適に山を楽しむための服
上半身は一枚でも違和感のないウール混紡のシャツ。下半身はパンツ&タイツ
モンベル/
メリノウールプラス ライト ロングスリーブT Men’s
¥10,120
ザ・ノース・フェイス/
バーブパンツ
¥16,500
モンベル/
ジオライン L.W.タイツ Men’s
¥3,300
「山では汗を吸って発散するベースレイヤー、体温を維持しつつ水分を外側に押し出すミッドレイヤー、風雨を遮るアウターレイヤーの3層を足し引きしながら体温調節します。機能重視のベースレイヤーはファッション性に乏しいので、低山ではウールと化繊を混紡した一枚で着ても違和感のないシャツが使いやすいですね。パンツは夏用の薄手のものにタイツを組み合わせると、春から秋まで快適に使えます」
ミッドレイヤーには軽くて汎用性の高いフリースを
ミレー/
K ライトグリット ジャケット
¥16,500
「軽くて保温性に優れ、濡れても水分を保持しにくいフリース的なウェアは使い勝手がいい。積極的に汗を排出する構造のものが着用していて快適です」
ポケッタブルな薄手ジャケットは体温調節に役立つ
パタゴニア/
メンズ・フーディニ・ジャケット
¥15,400
「たためば握りこぶし大になり、必要な場面でさっと取り出せるウインドシェルは体温調節の要。一枚あると便利なアイテムです」
オールシーズン活躍する薄手ダウンジャケット
ティートンブロス/
ラフトジャケット
¥30,800
「気温の低い春秋や夏の高山では中綿入りの防寒着が活躍します。化繊中綿は濡れに強いですが収納性と軽さではダウンが優秀です」
※協力/さかいやスポーツ シューズ館、ウェア館、LaLaさかいや、エコープラザ 03(3262)0583
※構成/藤原祥弘 撮影/小倉雄一郎
(BE-PAL 2023年11月号より)