ヘドロが溜まっているけれども、川にはたくさんの生き物の気配が感じられる。アラメ、ウツボ、モクズガニ、コイ、小魚の群れ……。ゆっくり観察したい気持ちもあるけれど、すでに先頭集団からだいぶ遅れている。まあ、自分のペースで楽しめばいいか、と思っていたら、ようやく息子も立ち直って自分の足で歩くと言い出した。
道はますます狭くなり、ついにコンクリートの上を歩くことができなくなって、川に降りてじゃぶじゃぶ進んでいく。
順調に歩いていると、今度は大人が肩まで水に浸かっている姿を発見。え、ここ行くの……!? お弁当が入ったリュックを背負ったまま、呆然としていると「カバンくださーい。持っているあいだに、先に渡っちゃって!」と手助けしてくれる方が。これぞ“皆で助け合いながら”の精神! 大人だって、頼りたいときには素直に頼っちゃえばいいのだ。
周囲には新緑の木々が溢れ、子どもでも無理なく歩ける水位になってきて、会話を楽しむ余裕が出てきた。さっきまでしょんぼりしていた息子は、どんどん楽しくなってきたらしく、「わあ! 絵に描きたくなる風景!」と叫んでいた。普段、飛行機や電車の絵しか描かないけれど。