横浜市泉区・戸塚区を拠点に生態調査や里山保全活動を行なっている“ご近所生きもの観察案内人”の相川健志さん。今回は、不思議な「アリヅカコオロギ」の生態について案内します。
アリヅカコオロギってどんなムシ?
「アリヅカコオロギ」は、文字通り、アリの巣(アリ塚)に居候するコオロギの仲間です。アリの巣での生活に適応するために翅(はね)は退化し、体長も一般的なコオロギの10分の1ほど、2~4mmしかありません。
アリは、外敵に対して敏感です。そこで、アリヅカコオロギはアリのニオイを体につけ、アリに襲われないようにしています(しかし、襲われることもあるそうです)。そして、アリの巣にうまく入り込むと、アリから口移しで直接エサをもらったり、ときにはアリの幼虫を食べたりして生活します。
アリヅカコオロギの仲間は日本に10種類以上生息。種類によって、共生するアリの種類が異なります。このようにアリと共生しているムシを、「好蟻性(こうぎせい)昆虫」といいます。
私とアリヅカコオロギとの出会い
ある日、飼育しているニホンヤモリのエサを探して、庭にあった石をひっくり返したときのこと。アリと一緒に、小さな生きものを発見しました。多くの人に嫌われているGの赤ちゃんに似ているような、でも、ちょっと違うような……。
早速、ネットで検索。そして、その正体がアリヅカコオロギの仲間だということが判明しました!
知識としてアリと共生するコオロギの存在は知っていましたが、こんなに身近にいるとは思いもしませんでした。アリヅカコオロギについて調べていくと、上記で紹介したことも含め、いろいろ興味深い生態をしていることが判明しました。
以下に、この目で見たアリヅカコオロギの生態を写真とともに報告します。
子どものころから生きものたちを観察し続けてきましたが、自分が暮らしているすぐそばに、こんなにも不思議で面白いムシが存在しているとは驚きでした。身近な生きものをしっかり観察し、小さな「?」探求していくと、奥深い世界にふれることができることを、アリヅカコオロギとの出会いを通じてあらためて実感しました。