ポップアップルーフを全車に装備する歴史あるメーカー「キップ」
国内で販売されているキャンピングトレーラーは国産・輸入車など数多くのモデルがあります。国産をはじめ、輸入車のなかでも欧州のモデルは軽さを重視して作られたモデルが多いのが特徴。というのは、アメリカではピックアップトラックやSUVでけん引することが多いのですが、欧州ではハッチバッグやセダン、ステーションワゴンなどでけん引することも多いためボディの軽量化が求められているのです。
今回はキャンピングトレーラーのなかでも、オランダ生まれのメーカー『キップ』社の「ヴィジョン」シリーズ2モデルを紹介しようと思います。
と、その前にキップ社の歴史を簡単に説明しておくと、
1947年にクルマのボディ加工の会社を営んでいたキップさんが自分用のキャンピングトレーラーを作ったのがはじまり。そのことがきっかけとなり、その後市販モデルとしてさまざまなタイプのトレーラーを製造。1950年代には屋根が昇降するポップアップルーフ搭載モデルも登場し、現在の礎にもなっています。
そんなキップの現行モデルは全モデルが空力に優れたデザインにポップアップルーフ、アウトドアルックのスタイルを採用しているのが大きな魅力。現在日本で販売されるヴィションは同じボディサイズで装備やレイアウトの異なる3つのバリエーションを展開。「アウトバック」「アドベンチャー」「トラベル」がラインナップされています。外観は欧州モデルには少ない2トーンかつ下部にはブラックのシボ塗装が施されており、アウトドア感がたっぷりと感じられるスタイルもキップらしいポイントです。
カップルで広々と使うなら「アドベンチャー」
「アドベンチャー」はエクステリアがグリーンの2トーンで、エントランスが他の2モデルより後ろ寄りの配置になっており、フロントには常設のダブルベッド、中央はリビングスペースでリヤにキッチンというレイアウトを採用。
室内高は通常時で178cm、ポップアップルーフを上げたら204cmとさらに採光がアップしボディサイズ以上の開放感が得られます。リビングは2人で使うのにちょうどいいサイズで、ソファ下には引き出し収納も装備していてすぐに手を伸ばして取り出せるのもうれしいです。また上部収納庫にベッド下収納、さらにキャビネットとクローゼットも備わり、旅や遊び道具が十分収まる容量を確保。
注目はリヤにあるキッチンの奥にトイレスペースが隠されており、天板を跳ね上げるとトイレが出現するといったギミックに思わずびっくり。キャンピングトレーラーは定置利用や防災を意識して購入する人も多いので、トイレは普段は使わないけどいざという時だけ利用したいという人にはこうした隠れトイレはいいと思います。
それ以外の装備も床暖房やアルミホイールなどと充実しているのもシリーズ共通。3人就寝が可能ですが、リビングのサイズやレイアウトを考えると2人でゆったりと使いたくなる気がします。
ファミリーや仲間と使うのに最適な「トラベル」
アドベンチャーとは異なりボディカラーがベージュの「トラベル」は前後に2つのリビングを配置し、センターにキッチンのレイアウトが特徴。フラットかつ開放的な空間はフロントダイネットで4人、リヤダイネットで2人がのんびりとくつろげる広さになっているのが大きな魅力。旅先やキャンプ場では車内にゲストを招いて食事や談笑したりすることもしやすい設計。
就寝についてはフロントのリビングを展開して3人、リヤは1人の設定。家族で旅するときは夫婦と下の子がフロント、上の子がリヤ側という使い方になると思います。ベッドサイズも十分と確保されているのでゆっくりと休めます。常設ベッドではないので展開する手間はあるものの、2リビングの広さは格別。また、トイレルームがないないぶん室内のゆとりがたっぷりと感じられます。
同じボディサイズでも異なるレイアウトのトラベルとアドベンチャー。どちらも家具類の作りがよく、欧州のなかでも個性が感じられるモデルでした。
価格はアドベンチャーが490万9000円〜、トラベルのほうは481万8000円〜。
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