10月25日、東京ビッグサイト(江東区)にてジャパン・モビリティショーが開催されました。25日と26日はプレスデーで27日が特別招待日、一般公開は28日(土)から11月5日(日)で開催。日本最大の自動車の祭典であるジャパン・モビリティショー。以前は東京モーターショーというイベント名でしたが、今回からは車両やパーツのみならず自動車産業の枠を大きく超え、モビリティ関連の他産業やスタートアップ産業なども参加することとなりました。その出展・参加は前回開催された2019年の東京モーターショーの192社から475社と2倍以上に増加して規模も大きくなっています。
日本最大の自動車の祭典が開幕
そこで初日である25日のプレスデーに会場入りして取材をおこなったのですが、驚いたのはモビリティショーでは日本のキャンピングカー文化を根ざす活動を行うJRVA(一般社団法人日本RV協会)が出展。東8ホールすべてがキャンピングカーで埋め尽くされていました。展示車両は人気の軽キャンパーをはじめ最新のバンコンやキャブコン、キャンピングトレーラーに加え、豪華な輸入車まで31台ものキャンピングカーがずらり。
今回はショー会場で見たさまざまなキャンプや車中泊向けの車両を紹介したいと思います。
数多くのキャンピングカーがそろう
まずは大手キャンピングカービルダー、ナッツRVのジープニー。トヨタ・カムロード(ダブルタイヤ)をベースにしたキャブコンバージョン。全長5mを切る4.99mのボディサイズで扱いやすく、独自の電装システムである「エボライト」も標準で装備。近年、カムロードベースのキャブコンの価格は1000万円前後が平均的というなか、このモデルは装備を厳選し、798万6000円〜という価格を実現している点も見逃せません。
軽キャンパーでは不動の人気を誇る「ミニチュアクルーズ」シリーズを製造する岡モータースは、アトレーをベースにしたデビューしたてのミニチュアクルーズSVを展示。このモデルについては近日、詳細にレポートしようと思いますのでお楽しみに。
キャンピングカーエリアで一際注目を集めていたのは、バンコン製造のスペシャリストであるトイファクトリーが手がけた、ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年を記念して作られた「ダ・ヴィンチ<ディズニー100>エディション」。フィアット・デュカトをベースにして製造されたダ・ヴィンチは既に発売されていますが、このモデルはディズニー100年という歴史を物語として感じられる数多くの装備が車内に散りばめられており、車内に一歩踏み入れればそこはディズニーの世界一色。もちろんディズニー社の公認で、生産台数は世界で5台のみで価格は西暦と同じ2023万円! 12月24日まで受け付けており、年明けに抽選を行い春頃デリバリーの予定。
自動車メーカーのブースも見どころばかり
続いて自動車メーカーのほうをチェック。ホンダブースでは、新型軽商用EV「MEV-VAN Concept」と「N-VAN e: プロトタイプ」を展示。MEV-VAN Conceptのほうは交換できるバッテリー「Mobile Power Pack e:」8本を搭載。交換式のため取り替えて充電できるようになっているので効率的に電力マネージメントが可能。N-VAN e:のほうは市販予定のモデルでフロア下に薄型のバッテリーを搭載して荷室空間や積載性はN-VANらしさを維持。N-VANは車中泊カーやキャンピングカーベースとしても人気なので、航続距離や充電時間など気になる点は多いですが、デビューが待ち遠しいです。
トヨタ車体ブースではワールドプレミアとして「グローバル ハイエース BEV コンセプト」を展示。こちらはグランエースをベースにBEV(バッテリーEV=フル電気自動車)化。商用車としての広大な荷室はもちろんのこと、助手席レスのためなんと室内長は最大で約3.5mを実現! このコンセプトモデルが今後どのような形で市販モデルへと昇華していくか? 期待したいです。
トヨタではミニバン&商用車のコンセプトモデル「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」やピックアップトラック「IMV0(ゼロ)」の2台が気になりました。
カヨイバコのほうは、現在で言うタウンエースバンのサイズ感で、ハイエース以下軽ワンボックス以上という日本では使い勝手のいいサイズ。フロア下にバッテリーを搭載したBEVで、その名の通り拠点間を行き来しながら部品や製品を安全かつ効率的に運ぶ「通い箱」がコンセプト。広い室内は趣味性も高く、展示車にはアウトドアでの使用をイメージした車両もありました。
IMVゼロは見たとおりのピックアップトラック。既にハイラックスが存在していますが、こちらはより道具感のあるシンプルなデザイン。強固なフレームを採用し、荷台部分が自由に架装できる想定で、キャンピングカーや移動販売車などにも対応できる設定。会場には移動式カフェも展示されていました。
フルモデルチェンジ間近のスズキ・スペーシアのコンセプトモデル。可愛らしい表情とカラーリングに、広い室内空間とこちらも発売が待ち遠しいですね。
デリカシリーズを有する三菱自動車は「デリカD:Xコンセプト」を初公開。リブボーンフレームにS-AWC4駆メカを搭載し、エンジンはPHEVという想定。ワイルドでゴツめのデザインのなかに未来感もあり、こちらも今後どういうふうになっていくのか期待大。
ショー会場で気になったクルマを紹介してきましたが、モビリティショーはまだまだ始まったばかり。会場には子供も楽しめるイベントやクルマ職業体験である「アウト・オブ・キッザニア」などのブースもたくさんありり、周辺には移動販売車が数多く並んでいるので休憩や食事も楽しめ、1日ではもの足りないかもしれないほど充実。ぜひ会場で人々が自由に移動するための2輪・4輪、乗用・商用車といった乗り物はもちろんのこと、移動を取り巻く環境やそれを統括するルールなど、モビリティ社会の多様さを感じながらまわってみてはいかがでしょうか?