そしていちばん印象に残っているのは、絵に描いたように美しい砂浜と海です。ここに寄港する前にも、タヒチ島、ボラボラ島、フアヒネ島など数々の南国の楽園に寄りましたが、ここは別格の美しさでした。
そして、クック諸島の後にカヌーで訪れたサモア独立国ウポルのトスア海溝もとても印象的です。観光スポットなので地元の人はあまり行かないようですが、海溝の向こう側はすぐに海で、この中の水は淡水と海水が混ざった汽水です。外気が少し涼しかったせいか、水が生暖かく感じました。一度は訪れてみたいスポットとして、とても有名なところだそうです。
最後の寄港地がニュージーランドのアオテアロアだったのですが、それまで寄港した島々とは全くと言っていいほど景観が違いました。それまではどこも、南国的な雰囲気を漂わせていましたが、ニュージーランドは南緯35度以下に存在しているので、どちらかというと、日本の雰囲気に近いです。しかし日本と比べると人口が圧倒的に少ないので、人々は自然にちかい暮らしをしていました。特に先住民マオリ人の自然感には驚きました。見た目や、話すことなど、私と何も変わらない同世代のマオリ人クルーと、生活を共にしていたのですが、ある日、マラエ(マオリ族の集会所)で歓迎祝典のため、一緒にお邪魔しました。そのときは、夏が感じられるような晴天でした。靴を外に脱いで中に入ろうとしたとき、その彼に、”濡れるから、中に入れなよ”と言われました。”ありがとう!”と返事したものの、何を言っているのかと思っていましたが、部屋の中での儀式が終わり、食事会に移ろうとしていたとき、外を見ると土砂降りになっていました。びっくりしすぎて口があいてしまいました。”なんで雨が降るってわかったの?”と聞くと、”パターンがあるんだよ”と言われました。世界にはこんなにも、自然と一緒に生活している人たちがいるんだなと、驚きました。
様々な島に行きましたが、どこも本当に印象深く想い出深い場所です。どこに行っても、子供たちがとても素直に、古代式カヌーに興味を示して、集まってきてくれました。さまざまな土地に寄港することの最大の意味は、たくさんの人々や子供たちとつながっていくことだと私は思っています。彼らこそが未来への希望なんだ、ということをこの航海を通してつくづく思いました。
(第3回は伝統航海術について、です。お楽しみに!)
ホクレアの最新情報については、http://www.hokulea.com/
もしくはFacebookの「ホクレアクルー」ページをチェックしてください。
ホクレアの娘[vol.1] >>
ホクレアの娘[vol.2] >>
ホクレアの娘[vol.3] >>