いよいよというか、ようやくというか、秋真っ盛り。夜は寒いくらいだから、家やテントの中でまったりと過ごそう。そんなときにおすすめなのが、こちらの2冊だ。
BOOK 01
動物の言葉から読み解く真のコミュニケーション
『動物たちは何をしゃべっているのか?』
山極寿一、鈴木俊貴著
集英社
¥1,870
誰かと打ち解けたいと思ったとき、「もっと話してみよう」とわたしたちは対話を試みる。ヒトの最大のコミュニケーションツールはなんといっても言葉だろう。
では、野生動物たちは? じつはあらゆるおしゃべりをしていることが明らかになってきている。本書は、ゴリラ研究者とシジュウカラ研究者による対談形式の言葉探求の旅。動物たちの言葉を主題に、ヒトとは一体どのような動物なのかを探っていく。「警戒して・集まれ!」など鳴き声に文法を持つシジュウカラや餌場を知らせるミツバチのダンス。彼らは餌や天敵、繁殖など命に関わることを発する。
つい最近まで動物には複雑な思考はないとされていたが、ヒトにはない動物だけが持つ認知能力がある。森で捕らえられた状況を(ヒトが教えた)手話で説明したというゴリラもいた。
いまはインターネットを介したSNSのコミュニケーションが盛ん。人類700万年の歴史からすると、言葉は最近(といっても10万年前くらい)生まれたという。言葉はたくさんあるコミュニケーションのひとつに過ぎなかったとも。
「我々ヒトが猿人類から引き継いだ縁の作り方は、身体を共鳴させること」
わたしたちは言葉に頼り過ぎているのかもしれない。
BOOK02
脳も心臓も何もない海底のお掃除屋さん
『ナマコは平気!
目・耳・脳がなくてもね!
5億年の生命力』
一橋和義著
さくら舎
¥1,650
古くは『古事記』にも登場するというナマコ。ウニやヒトデなどが仲間の棘皮動物だ。タイトルにあるように目、耳、脳、心臓もない。しかし、海の底で静かに生きている。ストレスがかかると内臓を放出したり、どろどろに溶けたり。真っ2つにしたら分身。じゃあ3つにしたら!? 本書は知られざるナマコの生態を、著者が愛情たっぷりに解き明かす。ナマコってすごい。
※構成/須藤ナオミ
(BE-PAL 2023年11月号より)