「道具というのは、信頼できることがいちばん大事です」
そう語る植村直己が1970年に日本人としてエベレストに初登頂した際に使用した腕時計は、1966年の南極観測越冬隊で極低温下での性能が実証されたセイコーのダイバーズウォッチだった。
植村がいうとおり、冒険家が腕時計に求める機能をつきつめれば、それは信頼性であろう。超高所の山においてその先鞭をつけたのはロレックスだ。1930年代からヒマラヤに向かう登山隊に提供を続け、得られた情報を製品の機密性や堅牢性にフィードバックしていった。それが結実したのがイギリス隊によるエベレスト初登頂だ。
エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイが人類で初めて8848mを登りきった1953年5月29日、頂上で「午前11時30分」の時を刻んだのは、優れた防水性能を誇るロレックスの『オイスター』だった。
1976年、人類で初めて素潜りで100mの壁を超えたジャック・マイヨールにとって、信頼性とは防水性と視認性だった。人間が息を止めていられる限界の約7分間を、大気圧の10倍の水圧の中で正確に計れなければ、死に直結するからだ。そんな彼の腕には、1930年代から耐水実験を繰り返していたオメガのシーマスターがあった。
「命そのものが正確さに依存している」――空の冒険家、世界初の大西洋無着陸単独横断飛行を成功させたチャールズ・リンドバーグには正確性が必要だった。自動航行装置はもちろん、レーダーもなかった当時、現在位置を正確に把握することはパイロットの生命線だった。リンドバーグの厳しい要求に、ロンジンは操縦しながら経度を割り出せる腕時計で応えた。
さらに空の上、宇宙を目指した冒険家の命を守ったのもひとつの腕時計だった。それはNASAに正式採用され、1969年にアポロ11号とともに月に降り立ったオメガ・スピードマスターである。その翌年、アポロ13号が酸素タンクの爆発事故を起こした時のことだ。手動でエンジンを14秒間噴射し軌道を修正しなければ、地球への帰還はかなわない――スピードマスターは宇宙空間でこの14秒を正確に計測したのである。
そう、冒険家の信頼に応えた腕時計が、冒険の歴史を刻んできたのである。
Edmund Hillary Tenzing Norgay 1953
2か所の時刻を表示する独創的設計
ロレックス/エクスプローラーⅡ Ref.216570 ¥770,000
冒険家のための時計として誕生したのがエクスプローラーシリーズだ。こちらは24時間針と目盛り付き固定ベゼルで昼夜の区別が可能。さらに時針と24時間針で、2か所の時刻がわかる。
問い合わせ先/日本ロレックス
TEL 03(3216)5671
防水:100m/直径:42㎜/パワーリザーブ:約48時間/素材:904Lステンレススチール/風防:サファイアガラス
不屈の冒険魂が宿る歴史的傑作
ロレックス/エクスプローラー Ref.214270 ¥620,000
1953年のエベレスト初登頂を記念して発表。耐蝕性に優れたステンレススチールのケースを採用。アウトドアウェアからスーツまで幅広く合わせられる、シンプルで無駄のないデザインだ。
英国遠征隊がエベレスト初登頂時に着用していたオイスター。ロレックスと冒険の関係はここから始まった。
問い合わせ先/日本ロレックス
TEL 03(3216)5671
防水:100m/直径:39㎜/パワーリザーブ:約48時間/素材:904Lステンレススチール/風防:サファイアガラス